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勧告 5.1: 特定の締約国の登録湿地

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第5回締約国会議
釧路,日本
1993年6月9-16日

勧告 5.1: 特定の締約国の領域内にあるラムサール登録湿地

ラムサールの「国際的に重要な湿地の登録簿」に登録された湿地の数が増加していることを歓迎し、

日本がラムサール湿地登録簿にその領域の内で5ヶ所の新規の湿地を指定したこと、またラムサール条約に基づく責務を、特にその登録湿地の生態学的特徴の維持に関して果たす強い意思を表明したことに対し特別な賛辞を表し、

その他の代表団特に、オーストラリア、オーストリア、バングラデシュ、ブラジル、カナダ、チャド、コスタリカ、チェコ共和国、フランス、ギニア、ハンガリー、イラン、マルタ、モーリタニア、パキスタン、パナマ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア連邦、スリランカ、ウガンダ、イギリス(香港を含む)、ウルグアイ、ザンビアにより、ラムサール湿地登録簿へのさらなる登録に関しての、またその意思があることの声明が(本会議または国別報告書の中で)なされたことに喜びをもって注目し、

モントルーの第4回締約国会議において、その領域内におけるラムサール登録湿地に関し採択された勧告4.9並びにそれに付随する勧告4.9.1、4.9.2、4.9.3、4.9.4及び4.9.5に対してとられた措置について、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、ヨルダン、ポーランド、ロシア連邦、南アフリカ、スペイン、アメリカ合衆国、ベトナムの政府によって発表された声明を記録に留め、

ドイツ、ギリシャ、モーリタニア、オランダ、トリニダードトバゴ、ベネズエラ及びドナウ河下流域の国々の代表団によりそれぞれの領域内の登録湿地で起こっているまたは起こる可能性のある生態学的特徴の変化について第5回締約国会議においてまたは国別報告書の中で声明がなされたことに更に注目し、

途上国の追加の湿地がラムサール湿地登録簿に登録され、それらの管理が適切になされるためには、制度的発展、能力開発、職員の研修のためにより多くの財政的支援が必要であること、多くの途上国の代表によって訴えられたことを特に重視し、

モントルー勧告4.4で保護区のネットワークの設立が求められ、4.12で締約国が水鳥に関する1%基準に基づいて、締約国がラムサール湿地登録簿にふさわしい湿地を特定することへの支援を事務局が行うよう求められ、またイスラマバードで開催された1992年アジア地域会合の報告書では、潮汐地帯の湿地(干潟)を含めたより広い範囲の湿地を代表する登録湿地が追加されるよう求められていることを想起し、

締約国会議は

(勧告4.9及び関連勧告における声明に関連して):

登録地内の堤防の建設が合法であるヨーロッパ司法裁判所の決定に基づいて、ドイツ当局による、Leybucht (Ostfriesisches Wattenmeer mit Dollart) においてとられた補償的措置に注目する。

ハンガリーが Old Lake Tata の年間を通じた保全活動を可能にする結論を歓迎し、パラトン湖にも間もなく同様な対策がとられるであろうこと、従ってその両者に年間を通じたラムサール登録湿地としての地位が与えられるであろうことを信じる。

アイスランドが2ヶ所のラムサール登録湿地において、モントルーレコードより除かれるような処置をとったことに満足の意を表する。

ラムサール条約による支持に引き続き、ヨルダンのアズラク湿地の回復と管理のため地球環境ファシリティー(GEF)により基金が提供されたことに感謝の意を表す。

景観公園を造り、ラムサール湿地登録簿に登録することによって、ポーランド政府に対し、ヨーロッパでまだ最後の人為干渉による調整がなされていない河川の一つである Vistula 河の中流の保全を図るよう、勧告4.9に要請を繰り返す。

ロシア連邦における28カ所の新しいラムサール登録地が早い時期に指定されることを心待ちにする。

チタニウムとその他の重金属の掘削が、南アフリカのラムサール登録地域であるセントルシア水系に与える恐れのある影響への深刻な憂慮を再び確認し、南アフリカ政府にラムサールモニタリング手続きの報告書 No.28 に記載されている勧告に十分な配慮をするように求める。

スペイン政府が勧告4.9.1に関して、特に農業に使用する水を大幅に減らしたり、周辺地域での新しい観光客用施設群(リゾート施設)を最終的に拒否する方針を報告していることを歓迎し、「Doñana 周辺地域の持続的社会経済的な開発のための戦略」を支持するに充分な資金が緊急に準備されるであろうことを確信する。

アメリカ合衆国によって Everglades の水量と機能的価値を復元する方向に向けての対策に関する情報が提供されたことに満足をもって注目し、継続的な改善対策の必要性を強調する。

メコンデルタ地帯に少なくとも1ヵ所のラムサール湿地を登録するようモントルー会議でベトナム政府に対して出された要請を繰り返し、この件に関して事務局がベトナム当局と連絡をとり続けるよう要請し、ベトナム政府にラムサール湿地登録簿に Red River EstuaryTien Hai 地域を追加するために必要な全ての手続きを至急に済ませるように要請する。

(第5回会議で出された特別な声明に関して):

Statoil パイプライン、Emden の新しい港の建設及び低空飛行軍事航空機の西ドイツ Ostfriesisches Wattenmeer mit Dollart における影響に対する憂慮を表明する。

ワッデン海のオランダ領域において行われる可能性のある新しいガス開発への憂慮も重ねて表明する。

モーリタニア共和国当局にインター Maghreb ハイウェーが Banc d'Arguin 国立公園を通過しないように、またそれによる悪影響が起こらないようにするよう求める。

トリニダードトバゴの東トリニダードにある Nariva Swamp における更なる湿地開発を避ける必要性及び、現在そのラムサール登録湿地を悪化させている状況を変える開発戦略と機構に関して、適切であれば事務局がモニタリング手続きの実施を通してトリニダードトバゴ政府を支援する必要性を強調する。

勧告5.1.1から5.1.3に特定されているように、ギリシャ、ベネズエラ、ドナウ河下流の国々がそれぞれ行動をとるように要請する。

(第5回会議の一般的声明に関して):

途上国において更により多くの湿地がラムサール湿地登録簿に登録されるように、またその生態学的特徴が適切な管理を通して保全されるように、途上国の制度的発達、能力開発、職員の研修を支援し得る基金の増加を求める。

渡り鳥の東アジア飛行経路に沿って存在する締約国がラムサール湿地登録簿に追加的湿地を指定すること、特に、渡り鳥の維持に対する重要な役割及び生物の多様性と漁業の保護に関するその価値に鑑み、潮汐地帯の湿地(干潟)の追加的な登録をすることを求める。


[和訳:『ラムサール条約第5回締約国会議の記録』(環境庁 1994)より了解を得て再録]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う]

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