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ラムサール条約 第7回締約国会議

勧告7.2 小島嶼開発途上国

日本語訳:環境庁,2000年[了解を得て再録].

 英語   フランス語   スペイン語  (以上,条約事務局)    PDF  (環境省のインデックスページ)


「人と湿地:命のつながり」
"People and Wetlands: The Vital Link"
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第7回締約国会議
1999年5月1018日 コスタリカ サンホセ

小島嶼開発途上国、島嶼湿地生態系、ラムサール条約

1.太平洋地域の湿地の保全と賢明な利用に関する勧告6.18、特に小島嶼開発途上国の持続可能な開発のための「バルバドス行動プログラム」への言及を想起し、

2.島嶼性の途上国には特別な要求があることと、サンゴ礁、藻場、マングローブといった重要な湿地があることを認識し、それら島嶼性の途上国の加盟を奨励するため特別な努力を行うとした、「19972002年戦略計画」の総合目標1に留意し、

3.関係する地域が小規模であること、島嶼の生態系が脆弱な特徴を有すること、そして小島嶼国の地理的孤立による高いレベルの固有性によって、小島嶼国の国民が湿地に密接に依存していることを意識し、

4.国際湿地保全連合オセアニア支部の支援を得て、小島嶼開発途上国のために、これらの国に広く該当する特別な状況への、ラムサール条約の適切性と利益についての小冊子を作成し配布したラムサール条約事務局を祝福し、

5.加盟を奨励する努力にもかかわらず、また小島嶼開発途上国の沿岸及び淡水湿地への脅威が続いているにもかかわらず、世界の小島嶼開発途上国の比較的ごく少数しかラムサール条約に加盟していないことを意識し、

6.また小島嶼開発途上国が環境保全の実施にあたり、そのもとで作業しなければならない人的、資金的制約と、適切な場合にはこの実施の統合と合理化が望ましいことを意識し、

7.世界自然保護モニタリングセンターが作成した報告書「生物多様性関連協定における整合性のある情報管理のための基盤作りの検討」に含まれる提言、特に国の報告手続きの合理化に関する提言を認識し(決議.4)、

8.統合的環境管理のために二国間、多国間援助機関から小島嶼開発途上国に提供された支持と支援を、またオセアニア地域の南太平洋地域環境プログラムやインド洋委員会のような地域機関がこれらの活動の促進に果たす重要な役割を確認し、

9.オーストラリアのラムサール条約担当政府機関と国際湿地保全連合の協力関係のもとで、オセアニアの小島嶼開発途上国にラムサール条約の湿地の賢明な利用原則を実施するため、技術的及び研修に関する支援が提供されていることを承認しつつ留意し、

10.カリブ海地域の小島嶼開発途上国を含めた、中南米地域の締約国のための研修イニシアチブを支援した、米国の支援を受けラムサール条約事務局が管理する「未来の湿地プログラム」を意識し、また賞賛し、

11.さらに、生物多様性条約とラムサール条約の間の共同作業計画の下で(決議.4)、二つの条約の施行への統合的アプローチによる、小島嶼開発途上国の支援に高い優先度が与えられることを想起し、

12.1998年12月のオセアニア地域で最初の地域会議を主催したニュージーランド政府を祝福し、この会議からの勧告を歓迎し、

13.締約国、国際団体パートナー、ラムサール条約事務局に対して、地域ごとのラムサール連絡担当官の設置と維持に対する支援を求めるよう要請した勧告6.6を想起し、

締約国会議は、

14.以下の小島嶼開発途上国の政府に対し、これら諸国の特別な状況と要求に対するラムサール条約の取組を今後さらに向上させるため、条約への加盟をより優先度の高い問題として考慮するよう求める。アンティグアバーブーダ、バルバドス、カボベルデ、ドミニカ、ミクロネシア連邦、フィジー、グレナダ、キリバス、モルディブ、マーシャル諸島、モーリシャス、ナウル、パラオ、サモア、サントメプリンシペ、セーシェル、シンガポール、ソロモン諸島、セントキッツネビス、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン、トンガ、ツバル、バヌアツ、並びにクック諸島とニウエ(湿地候補の指定が必要)。

15.小島嶼の湿地生態系をその領土内に有するすべての締約国に対し、こうした地域の脆弱さと特別の管理要求を認識して、これらへのラムサール条約の適用に特別の注意を向けるよう、また適切な場合には、それらの湿地を国際的に重要な湿地の登録簿に含めることを考慮するよう要請する。

16.ラムサール条約事務局が、独自に、また他の条約事務局、地域的な機関と計画、ラムサール条約の国際団体パートナー、援助機関と協力して行うべきさまざまな優先行動を特定するために、常設委員会に対し小島嶼開発途上国の持続可能な開発のための「バルバドス行動プログラム」を見直すよう求める。

17.さらに、常設委員会による上記の「バルバドス行動プログラム」の見直しに対応して、ラムサール条約事務局に対し、ラムサール条約の国際団体パートナーとともに、小島嶼開発途上国で統合的環境管理を進めている確立されたプログラムや機関との協力の覚書や共同行動計画を調査し、適切な場合にはこれを作成するよう求める。

18.財源と人的資源が許す限り、各種の協力の覚書及び覚書や付随する共同作業計画を通じて、国際的な環境関連条約の整合された実施を進める精力的な取組を継続するよう(決議.4)、また世界自然保護モニタリングセンターの報告書「生物多様性関連協定における整合性のある情報管理のための基盤作りの検討」からの勧告実施への支援を継続するよう、ラムサール条約事務局に対し指示する。これらの活動はいずれも、小島嶼開発途上国が直面する資源制約に取り組む上で助けになる。

19.小島嶼開発途上国が気候変動の影響による直接的で緊急の利害と、この脅威に取り組む上での湿地の重要な役割に留意しつつ、ラムサール条約と気候変動に関する国際連合枠組み条約の間の協力の覚書の締結を強く支持する(決議.4)。

20.また、二国間、多国間開発援助機関に対し、小島嶼開発途上国における湿地関連プロジェクトへの支援を継続し、適切な場合にはその支援を拡大するよう、また本締約国会議で採択されるさまざまなガイドラインのこれらの国々での試験的実施を優先事項とするよう求める。

21.他の締約国及び援助機関に対し、オーストラリア(上記第9節)及び米国(上記第10節)の事例に従って、小島嶼国インターンシップ計画や、ラムサール条約事務局内に恒久的ポストとして小島嶼問題に関する専門職をおくことへの指示等、小島嶼開発途上国への、技術・研修のための直接援助を提供する機構を構築するよう促す。

22.締約国、国際団体パートナー、ラムサール条約事務局に対し、オセアニアで第1回の地域会議で述べられたように、地域ごとのラムサール連絡担当官の設置と維持への取組を強化するよう強く要請する。


「記録」表紙

[英語原文:ラムサール条約事務局,1999.Ramsar Recommendation 7.2 "Small Island Developing States, island wetland ecosystems, and the Ramsar Convention", May 1999, Convention on Wetlands (Ramsar, 1971). http://ramsar.org/rec/key_rec_7.02e.htm.]
[和訳:「ラムサール条約第7回締約国会議の記録」(環境庁 2000)より了解を得て再録,琵琶湖ラムサール研究会,2001年6月.]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]


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