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日本語訳:環境庁,2000年[了解を得て再録].
英語 フランス語 スペイン語 (以上,条約事務局) PDF (環境省のインデックスページ)
1.世界の泥炭地の賢明な利用、持続可能な開発、及び保全についてのさらなる協力を奨励した勧告6.1を想起し、
2.IUCN生態系管理委員会による「東南アジアを中心とした熱帯森林性泥炭地の管理ガイドライン」の刊行、国際泥炭湿地協会による「泥炭地の賢明な利用に関する声明」、国際湿原保全グループが作成中の「泥炭地の賢明な利用ガイドライン」、そして国際湿地保全連合や他の機関が実施してきた、国家レベルや地域レベルの泥炭地の賢明な利用と管理に関するガイドライン、計画、政策を支援する数々の新しい事業を例として、1996年の第6回締約国会議以降に積極的な対応と先駆的活動を行った多くの機関を祝福し、
3.泥炭地のような自然資源を利用するに当たっての、各国の発展のための経済的及び社会的必要性と、環境保全目標との間の熟慮されたバランスを誓った「アジェンダ21」を想起し、
4.泥炭湿地火災等、人間が原因となって引き起こされる世界中の著しい炭素損失の影響について、世界的に認識が低いことに懸念を表し、
5.すべての湿地における炭素の貯蔵や隔離といった問題が、気候変動に関する国際連合枠組み条約の「京都議定書」に関する世界的議論の中心課題として含まれる必要性を十分に意識し、
6.多くの国々で、指定されたラムサール登録湿地の数が増加しており、それらが泥炭地生態系を含んでいる、あるいは泥炭地生態系が主要な湿地となっていること、したがってラムサール条約「1997−2002年戦略計画」で、泥炭地がこれまで「国際的に重要な湿地」リストへの登録が少なかったタイプの湿地であるとされたことに対応していることを歓迎し、
7.泥炭地生態系とそれに伴う自然資源の持続可能な開発、賢明な利用、保全の促進強化に対し、政府、民間、環境NGOの各部門において国際的に大きな関心が集まっていることに満足をもって留意し、
締約国会議は、
8.すべての泥炭地タイプの目録作成と評価を支持すること、さらに適切な場合には、「国際的に重要な湿地」のリストに含めるよう、自国内の泥炭地生態系を追加登録することに、今後も高い優先度を与えるよう各締約国に求める。
9.締約国、国際団体パートナーやその他の関連組織に対し、世界の泥炭地の機能と価値についての認識と理解を高めるための行動、また熱帯及び亜寒帯の泥炭地のように、特に危険な状態にある地域を保護するための行動を緊急にとるよう要請する。
10.本勧告の付属書として添付される「泥炭地の賢明な利用と管理のための地球的行動計画」の草案を支持し、締約国や他の関連組織に対して、草案をさらに改善し、その「実施戦略」を支持する適切な事業や活動のための資金を確保する点で、協力するよう勧告する。
11.ラムサール条約の科学技術検討委員会及び国際団体パートナーに対して、この「行動計画」が完成した後、以下の各事項の進展に関して、締約国による行動計画の評価を支援するよう促す。
ⅰ)ラムサール登録湿地として泥炭地を指定するための追加ガイドライン、
ⅱ)国及び地域における泥炭地の持続可能な開発、賢明な利用、管理のためのさらなるガイドライン、
ⅲ)泥炭地の開発や復元の技術を、途上国及び市場経済移行国へ移転するための先駆的行動、
ⅳ)泥炭地タイプとその生態学的特徴の標準化された、かつ世界的に適用可能な分類法。
12.この「地球的行動計画」草案における協力者に対して、そのさらなる進展、特に「実施戦略」及び「世界泥炭地パートナーシップ」設立における進展を、2000年8月にカナダのケベック州で開催される「ミレニアム湿地イベント」で報告すること、また「地球的行動計画」に修正を加え、2002年のラムサール条約第8回締約国会議において検討そして採択されるように準備を進めることを求める。
1.ラムサール条約第6回締約国会議を前にした1996年3月、一連の関連機関が「世界の湿原と泥炭地保全に関する国際会議」(Rubec 1996)を組織するために協力した。これは、泥炭地と湿原の持続可能な開発、賢明な利用、保全及び管理のための行動の必要性に世界の関心を集めることに焦点を当てた、一連の国際的作業会議のうちの一つであった。それらの会議には、「第6回国際湿原保全グループ会議」(Moen 1995)や、「泥炭地会議」(Parkyn, Stoneman and Ingram 1997)等がある。その結果として、泥炭地は「国際的に重要な湿地のリスト」による世界的な湿地ネットワークの中では、あまり取り上げられていないタイプの湿地であることが認識された。NGOによって現在実施されている様々な取組によって、「世界の泥炭地の賢明な利用行動計画」、泥炭地生態系管理のための地域及び国のガイドライン(例えば Maltby 1995;Safford and Maltby 1998)、そして協力機関となりうる諸機関の間の協力において、何がそれらの要素となるかが特定されてきた。
2.気候変動枠組み条約第4回締約国会議(1998年11月、ブエノスアイレス)において、炭素固定化が「京都議定書」履行を促す重要な仕組みの一つとして注目を浴びつつあるのは明らかであった。これは本質的には、泥炭地にある炭素資源の賢明な利用、そして炭素クレジットの国際的取引機構の実施可能性を、考慮に入れなければならないものだ。泥炭地は、世界の炭素貯蔵場所の構成要素となりうるもので、価値ある経済資源であると認識されてきた。気候変動、湿地、生物多様性、そして国際取引の問題に関わる様々な条約の中で培われてきた、経済と環境の課題を結びつける構成要素の一つとして、泥炭地タイプの認識を促進しようと、現在多くの部門で国際的な議論が進められている。
3.こうして、気候変動、炭素貯蔵、賢明な利用、泥炭地の持続可能な管理といった課題が、1999年5月7日から9日の間、コスタリカのサンホセで開催される「第13回地球生物多様性フォーラム」の泥炭地ワークショップの主要な構成要素とすることが提案された。このワークショップはIUCNと多数の協力機関の後援により準備された。ワークショップでは、「泥炭地の賢明な利用と管理のための地球的行動計画」の草案が検討された。
4.この「泥炭地の賢明な利用と管理のための地球的行動計画」で提案される内容は、これまでに開催された次のような国際会議で検討された考え方を勧告案の形でまとめあげたものだ。
1994年 ノルウェーのトロントハイムで行われた第6回国際湿原保全グループシンポジウムにおける「トロントハイム宣言」(Moen 1995)。
1995年 スコットランドのエジンバラで開かれた国際泥炭地会議の「エジンバラ宣言」(Parkyn et al. 1997)。
1996年 オーストラリアのブリズベンで開かれた国際泥炭地及び湿原保全ワークショップ(Rubec 1996)で提案された、「泥炭地及び湿原保全に関する地球的行動計画」(Lindsay 1996)。
1996年 ラムサール条約第6回締約国会議の勧告6.9及び「1997−2002年戦略計画」。
1997年 ドイツのスールヴォルトで開かれた国際泥炭湿地協会と国際湿原保全グループの共同作業会議の勧告(Rubec 1997)。
1998年 IUCN生態系管理委員会の報告書「東南アジアを中心とした熱帯森林性泥炭地の管理ガイドライン」(Safford and Maltby 1998)。
5.1999年5月7日−9日に開催された「第13回地球生物多様性フォーラム」の泥炭地ワークショップは以下の目的を持っていた。
ⅰ)世界的な泥炭地の持続可能な開発、賢明な利用、保全のための戦略を作成するため、そして協力を推進するためにこれまで行われてきた活動の状況を概観する。
ⅱ)そのような戦略を実施するため政府、民間企業、非政府機関の間の地球規模の協力関係を築く。
ⅲ)気候変動枠組み条約の下での京都議定書の実施や炭素貯蔵といった課題における、国際協力を支援する機構を探る。
6.世界泥炭地行動計画における協力機関は多数のネットワークや組織を含むものとなりうる(これは包括的なリストではない)。
ⅰ)IUCN生態系管理委員会、
ⅱ)ラムサール条約及びその締約国、
ⅲ)国際湿原保全グループ、
ⅳ)国際湿地保全連合、
ⅴ)国際泥炭湿地協会、
ⅵ)湿地科学者協会、
ⅶ)地球環境ネットワーク、
ⅷ)米国湿地科学政策研究所。
7.泥炭地もしくは湿原行動計画を策定しようとする様々な取組がこれまでにも行われてきた。Lindsay (1995) が提示した質問を基にして、次の6項目の問題が、現在の世界的な状況に合致したものだと思われる。
ⅰ)世界の泥炭地及び湿原の資源は現在どのような状況にあるか。
ⅱ)この資源の生態学的及び経済的な特徴はどれほど正しく把握されているか。
ⅲ)泥炭地は現在、どのように、またなぜ利用されているか。
ⅳ)我々はなぜ泥炭地や湿原を持続可能なやり方で利用するべきか。
ⅴ)泥炭地や湿原は、どのように保全され、賢明に管理されるべきか。
ⅵ)成功しているかどうかを知るためには、どういったモニタリング手段が必要か。
8.想定される「世界泥炭地行動計画」は一連の「機会」に焦点を当てており、それぞれについて、議論のためにいくつかの勧告がまとめられている。これらの勧告は全般的に、上述された過去のいろいろな国際会議や刊行物の中で提示されたものから作られている。これらのリストによって、多くの出典からの既存の勧告のいくつかをまとめることができ、8項目の機会としてそれぞれのテーマが挙げられている。
9.こうして「行動計画」の草案は、様々な問題に取り組むための以下のような8つの機会を提示している。
⑴ 泥炭地に関する言葉の定義を理解すること、
⑵ 世界の泥炭地及び湿原のデータベース、
⑶ 世界的な泥炭地モニタリング及び普及啓発計画、
⑷ 賢明な利用の概念を理解し標準化すること、
⑸ 政策及び立法上の手段を用いること、
⑹ 国及び地域の泥炭地管理ガイドライン、
⑺ 研究と協力のネットワーク及び情報センター、
⑻ 計画と研究の優先順位の明確化。
10.英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、フィンランド語、ドイツ語といった各種言語を通じて一貫した、泥炭地と湿原の用語と分類法を世界全体で理解し標準化する。
行動:
1.1.世界中の泥炭地と湿原の、各地域での利用、目録作成、管理の現状について、一連の情報出版物を作成し、世界各国に配布する。
1.2.国際泥炭湿地協会、IUCN、国際湿地保全連合、国際湿原保全グループ等の機関やラムサール条約締約国といった協力機関の支援を得て、
ⅰ)効果的な連絡網を確立する。
ⅱ)泥炭地の分類と用語についての、対象を絞った出版物を作成する。
ⅲ)泥炭地の賢明な利用、持続可能な開発、管理、保全に関する文献のデータベースを作成する。
ⅳ)泥炭地の保全に関する用語について、合意が形成された最新の定義を示す、「泥炭地用語辞典」を、理想的には数か国語で出版する。
1.3.国際湿原保全グループや国際泥炭湿地協会等の関連協力機関は、泥炭及び泥炭地、湿原の用語をまとめ、その用語集の共同出版に向けて準備するための共同作業部会を組織する。
1.4.共同作業部会は、適切な時期にこのテーマでの小規模な国際ワークショップまたはシンポジウムを企画準備する。
1.5.協力機関は、泥炭及び泥炭地用語集といった出版物刊行を、「国際泥炭ジャーナル」のような既存の学術雑誌の特別号として企画する。
1.6.協力機関は、世界の湿原のタイプ及び湿原地域に関する報告書を作成する。
1.7.「世界泥炭地行動計画」の協力機関は、2000年8月にカナダのケベック州で開かれる「ミレニアム湿地イベント」で、「泥炭地/湿原評価のためのモデルとシステム」そして事例報告を発表するためのワークショップ開催のために協力する。
11.炭素貯蔵を含めた、泥炭地と湿原の生態学的特徴と分布に関する世界規模のデータベース構築が不可欠である。
12.泥炭地の地球規模の分布に関する広範な情報が、いくつかの地域的、世界的調査にまとめられている。例えば国際泥炭湿地協会発行の「世界の泥炭資源」(Lappalainen 編 1996年)や、国際湿原保全グループとノルウェーのトロントハイム大学発行の「ヨーロッパの湿原:分布と保全状況」(Lofröth and Moen 印刷中)がある。国際湿地保全連合とラムサール条約も、世界自然保護モニタリングセンターのような機関と協力して、地球全体での湿地資源の状況について報告を作成中である。炭素貯蔵に関する地球規模のデータベースも、気候変動に関するいくつかのプロジェクトで進展してきてはいるが、まだ初歩的な段階にあり、不十分な場合が多い。
13.国際湿地保全連合が管理している「ラムサール登録湿地データベース」は、世界各地のほぼ1000か所にのぼるラムサール登録湿地についての記載情報を持っている。このデータベースに挙げられる登録湿地数は、今後10年間で2000か所にまで増加するものと予想されている。これらの湿地の多くは泥炭地である。このデータベースで識別される泥炭地の性質について不足している情報について分析し、今後の方針を検討する必要がある。
行動:
2.1.生物地理区をまだ特定していない国は、必要な情報を得るためのプログラムを開始するよう考慮する。適切な場合には近隣諸国との協議をしながらこれを行う。こういった情報は、世界的に標準化された枠組みの中で、データの統合、一本化を図るために不可欠である。
2.2.ラムサール条約締約国、ラムサール条約科学技術検討委員会、ラムサール条約事務局、国際泥炭湿地協会、国際湿原保全グループ等の関連協力機関は、世界各地の泥炭地調査の範囲と研究レベルを検討し、今後の目録作りが必要な地域を特定する。
14.世界的な統計資料の統合化、そして泥炭地資源の利用、生態学的特徴の変化、復元と機能回復に関する「世界の現状と傾向調査」を行うことが必要である。そうした情報は、泥炭地の機能と価値について報告を行い、認識を向上させる上で基本的なものである。
行動:
3.1.ラムサール登録湿地を含む泥炭地の生態学的特徴の維持に役立つような今後の研究を企画する際に、優先されるべき分野を特定することを特別な目的として、泥炭地生態系が現在どのように理解されているかを見直す。
3.2.国際的にも、また各国内でも、特に泥炭地に関連した教育及び解説のための一連の活動を開始する。ラムサール条約の各締約国は、泥炭地生態系のために実現可能な活動に関して、専門的NGOの支援を得て、以下の項目についての情報及びとりうる活動の選択肢を調べる。
ⅰ)現行の教育プログラムとカリキュラムとの連携、
ⅱ)地元のまたは地域の泥炭地生態系のもつ便益と価値について、地域住民に理解してもらい認識を深めてもらうための教育プログラムや展示会の提案、
ⅲ)国または世界的な経済体制における泥炭地資源の重要性。
15.ラムサール条約の下で定められた定義と原則に合致する形で、泥炭地の賢明な利用の概念について、現在の理解及び合意事項を統合することが必要とされている。国際泥炭湿地協会と国際湿原保全グループが、この課題に取り組んでいることは注目に値する。国際泥炭湿地協会は最近、その機関誌「ピートランド・インターナショナル」(1999年1月号)の記事で賢明な利用に関する声明を発表している。
行動:
4.1.ラムサール条約の締約国は、湿原や泥炭地の持続可能な開発、賢明な利用、管理、保全に関する国際的な問題が、ラムサール条約をはじめ生物多様性、気候変動、砂漠化防止等に関する国際条約の会議での議論と、それらの会議のために作成される決議案とに必ず盛り込まれるようにする。
4.2.各国レベルでの持続可能な開発をうたった国連「アジェンダ21」に合致する形で、世界の泥炭地資源の賢明な利用と管理を支持できるよう、国際条約、協定、規則等を効果的に利用する。
16.持続可能な開発、賢明な利用、保全という目標に合致し、賢明な利用に向けた明確な目標と目的並びに戦略を明示した、国の泥炭地政策を策定する必要がある。加えて、泥炭地の持続可能な管理及び保全策を強化しうる法律と制度の見直しを、国内及び国際的レベルで考慮する。
行動:
5.1.泥炭地の持続可能な利用と管理を確かなものとするために策定された、国の政策や規則の枠組みが効果的に運用されているかを見直し、現在保護されている泥炭地のネットワークが不十分なものだと国内で合意されている場合には、これらの政策や規則を強化する。
5.2.協力機関は地球規模及び国レベルでの、「泥炭地の持続可能な開発、賢明な利用、管理のための行動計画とガイドライン」の作成を進める。こういった「行動計画」の全体的な目的には、以下の各事項を含む。
ⅰ)国レベルでの目標の実施を通じ、泥炭地及び湿原の機能と価値の持続可能性を促進する。
ⅱ)これらの国々によって行われた泥炭地と湿原についての誓約について、国際条約や協定、持続可能な開発を支援する合意や規則の履行を通じて、その実現を促す。
17.国または地域レベルの「行動計画」実施のために、泥炭地の管理システム、ガイドラインそしてモデル作りが必要である。IUCNの生態系管理委員会が、「熱帯森林性泥炭地の管理のためのガイドライン」についての小冊子を最近出版した(Safford and Maltby 1998)。このガイドラインは国または地域レベルにおいて、他の泥炭地タイプに応用するための事例となりうる。
行動:
6.1.協力機関は、「泥炭地管理のためのガイドライン」を含む、国及び地域レベルで「泥炭地行動計画」を策定し実施するため、開発援助機関への提案を作成する。これは、亜寒帯のヨシ・スゲ湿原、沿岸マングローブ系、熱帯泥炭沼沢地林等、泥炭地が景観の重要な要素を構成するすべての国々に適用される。この点に関して、「熱帯森林性泥炭地の管理のためのIUCNガイドライン」は一つの例となる。
18.共同プロジェクト開発や関連機関の間の努力を統合し、そうすることにより共通の目的意識を培うために、研究やプログラム協力のための泥炭地ネットワーク及び情報センター作りが必要である。
行動:
7.1.泥炭地についてその持続可能性、資源の賢明な利用、管理、保全手段を促進するため、主要な国際団体の中に場所を借り、国際的調整を行う事務所とその機能を確立する。この実施とそのための資金確保は、協力機関や、ラムサール条約及び生物多様性条約の締約国で広大な泥炭地の景観を有する国々と協力して行う。
7.2.泥炭地の持続可能な開発、保全、資源利用の問題に関わる機関の間における、国際協力と情報交換のさらなる強化を積極的に支持する。
7.3.大学、産業界、政府間のネットワークにおける研究能力を高めることを通じ、世界の泥炭地と湿原の生物多様性と生態学的特徴をさらに理解し、研究する必要がある。これには、泥炭地に関する情報センターの設立や、泥炭地の生態学、科学、技術における研修の大幅な拡大が含まれる。
7.4.ラムサール条約は地球規模の泥炭地の問題に関して、利害関係者や、国際泥炭湿地協会、国際湿原保全グループ、IUCN、国際湿地保全連合のような専門機関やネットワークと協力して、これまで以上に積極的に指導的役割を果たす。
7.5.国際泥炭湿地協会、国際湿原保全グループ等の協力機関やその他の機関、そしてラムサール条約の締約国の支援を得るとともに、次のような方法によって、地球全体の泥炭地に関してより効果的な連絡網を構築する。
ⅰ)泥炭地に関する電子メールとインターネットのネットワーク構築、
ⅱ)個々のプロジェクトごとに、プロジェクトを発注する機関や政府に対して、最善の実施方法についてガイダンスや助言を提供できる泥炭地の専門家の、ネットワークの特定と強化。
7.6.泥炭地問題に関心を持つすべての機関は、世界の泥炭地資源の賢明な利用を促進するために、国際生態学会、湿地科学者協会、国際泥炭湿地協会、国際湿原保全グループと協力して、2000年8月6日−12日に開催される「ミレニアム湿地イベント」に積極的に参加する。
7.7.国際作業部会は、「世界の泥炭地及び湿原の持続可能で賢明な利用のための討議用資料とガイドライン」を作成する。国際泥炭湿地協会や国際湿原保全グループのような専門機関は、この資料の項目内容案を作成する。その後各機関は、この相互に合意した一連のテーマについて主導的役割を発揮し、資料の各セクションを執筆する。これらの寄稿原稿は、総合資料としてまとめられ、ラムサール条約等の機関と協力して刊行され全世界に配布されるものとする。
7.8.泥炭地に関わる機関は、それらの評議委員と招待参加者による合同会議を毎年少なくとも1回開催し、お互いに関心のある重要な課題に焦点を当てる。これには、1997年11月に開催された国際泥炭湿地協会/国際湿原保全グループの合同ワークショップの例とその時の経験が土台となる。
7.9.国際泥炭湿地協会と国際湿原保全グループは、ラムサール条約、国際湿地保全連合、IUCN湿地プログラム、湿地科学者協会、国際生態学会等の適切な機関または団体との情報の連携を強化する。これは定期的な刊行物の交換といった手段等を通じて行われる。
19.科学上及び管理上の研究協力を通じて、危機的状況にある泥炭地の持続可能な開発、保全、管理、そして賢明な利用の計画に対して優先事項を決める必要がある。これは地球規模でそのような泥炭地を特定するために、将来の、そして事前の計画策定の助けとなる。加えて、協力機関は、労力の重複を避け、使える資金や人材等を最大限に活用しながら、泥炭地の復元といった課題のための研究や技術を促進し支援する。
20.1997年11月に開催された国際泥炭湿地協会/国際湿原保全グループの合同会議において、世界の泥炭地の管理や賢明な利用のため、もしくは科学研究の必要性といった観点から泥炭地に関する59件のテーマが主要課題として特定された(Rubec 1997 を参照)。この会議の参加者は、これらのテーマを検討するため、相対的優先度という観点から格付けした。これら59件のテーマのうち、以下の12件がさらなる検討と勧告作成のために選ばれた。
1)泥炭地に関する用語、
2)泥炭地及び湿原を保護するための行動、
3)利用された泥炭地から発生する温室効果ガスによる気候への影響、
4)賢明な利用の概念、
5)なぜ湿原を利用するか、
6)熱帯の泥炭地、
7)生物地理区が異なることによる、利用/保全と保護の違いを認識する、
8)情報の交換、データ取得、ネットワーク形成、
9)泥炭地の目録作成と統計資料、
10)泥炭地利用の選択肢と価値を定義する、
11)生態学的プロセスと科学情報、
12)農村部での泥炭採集の社会経済的影響と便益。
行動:
8.1.地球全体から見て重要な泥炭地、及び危機的状況にあると認識される、泥炭地タイプの代表的ネットワークの長期的保全を確保するために必要な行動をとる。
8.2.相当額の研究資金の提供を通じ、泥炭を含むすべての自然に成長する媒体の研究、開発、マーケティングを促進する効果的な手段を講じる。
8.3.泥炭地の持続可能な開発と復元のための技術と専門知識を、途上国と市場経済移行国に移転するための地球規模の機構を構築する。
8.4.泥炭地資源の利用プログラムを国レベルで考慮している国々のための経験と事例として、泥炭地の林業、エネルギー利用、園芸産業が長期間行われている国々における研究と専門知識に基づき、泥炭地の効果的な国家管理ガイドラインを策定する。
8.5.政府、研究者、産業界、NGOの協力を通じ、既に認められた優先順位に該当する泥炭地と湿原の研究プログラムへの国際的、国内的合意を形成する。
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[英語原文:ラムサール条約事務局,1999.Ramsar Recommendation 7.1 "A global action plan for the wise use and management of peatlands", May 1999, Convention on Wetlands (Ramsar, 1971). http://ramsar.org/rec/key_rec_7.01e.htm.]
[和訳:「ラムサール条約第7回締約国会議の記録」(環境庁 2000)より了解を得て再録,琵琶湖ラムサール研究会,2001年6月.]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]
琵琶湖水鳥・湿地センター > ラムサール条約 > ラムサール条約を活用しよう | 第7回締約国会議 |
URL: http://www.biwa.ne.jp/%7enio/ramsar/cop7/key_rec_7.01j.htm
Last update: 2006/09/27, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).