琵琶湖水鳥・湿地センター > ラムサール条約 > ラムサール条約を活用しよう | 第7回締約国会議 |
日本語訳:環境庁,2000年[了解を得て再録].
英語 フランス語 スペイン語 (以上,条約事務局) PDF (環境省のインデックスページ)
1.ラムサール登録湿地の管理計画の策定、そして湿地の賢明な利用に関する意思決定過程において、地域住民の参加を奨励するよう求めている「賢明な利用の概念実施のためのガイドライン」(勧告4.10)及び「賢明な利用の概念実施のための追加手引き」(決議5.6)を想起し、
2.1996年にモントリオールで開催された「世界自然保護会議」の決議1.51と、1995年の日本の登録湿地谷津干潟での国際湿地シンポジウムにおける「習志野声明」が、先住民に関して、地域住民や地域社会に情報を提供した上で、湿地管理に彼らの積極的な参加を求めたことと、1998年6月にデンマークのオルフスにおいて採択された「国連欧州経済委員会の情報公開、政策決定における市民参加、環境的公正に関する協定」を意識し、
3.国際労働機関の「独立国における先住民及び部族民に関する第169協定」を意識し、
4.また、多くの場合において先住民や地域社会がすでに、湿地の管理や持続可能な利用に関わってきており、湿地利用に関して長期にわたる権利、先祖伝来の価値観、伝統的知識や慣習を有していることも意識し、
5.さらに、特にラムサール条約事務局に対して、WWF(世界自然保護基金)、釧路国際ウェットランドセンター、カドー湖研究所、IUCN(国際自然保護連合)、締約国及び関連NGOと協力して、湿地管理に地域住民や先住民を巻き込むことによる利益を評価し、本締約国会議における考慮のために、ラムサール条約の賢明な利用原則の採択や適用を、参加型アプローチによって進展させる方法についてのガイドラインを準備することを求めた、勧告6.3を想起し、
6.ラムサール条約の「1997−2002年戦略計画」の実施目標2.7が湿地の保全と賢明な利用において、先住民を含んだ地域社会の情報提供を受けた上での積極的な参加、特に女性の参加を奨励する
ための行動を述べていることを確認し、
7.地域の利害関係者を巻き込むことは、そのような参加がこれまでにラムサール条約が奨励してきた様々な行動を十分に活かすような形で行われた場合には、条約の第3条1に基づく湿地の賢明な利用という目標達成のための活動を促しうると、参加型アプローチの実施に関するガイドライン作成段階で記録され分析された事例研究によって明らかになったこと、そして、これらの事例研究から得られた知見は、締約国等が、これまでの失敗例を避けるように参加型アプローチを育成するよう支援できることに留意し、
8.さらに、第7回締約国会議のテーマが「人と湿地−命のつながり」であること、そして本締約国会議の分科会Ⅲが、湿地管理への地元住民及び先住民の参加を促進するための手段や仕組みについて、詳細に検討していることに留意し、
9.また、IUCNが、釧路国際ウェットランドセンター、カドー湖研究所、WWF、及びラムサール条約事務局と協力して作成した「湿地の管理への地域社会及び先住民の参加を確立し強化するためのガイドライン」と題する草案文章について、本締約国会議の分科会Ⅲが検討を加えていることにも留意し、
10.オーストラリア、スイス、英国の各国政府が提供した、「湿地の管理への地域社会及び先住民の参加を確立し強化するためのガイドライン」の策定及び関連事例研究に対する財政支援に感謝し、
締約国会議は、
11.ラムサール条約全般や賢明な利用原則の履行における、締約国のためのさらなる手引きとして、本決議に付属書として添付されている「湿地の管理への地域社会及び先住民の参加を確立し強化するためのガイドライン」を採択する。
12.締約国に対して、地域レベル、集水域レベル、国家レベルにおける湿地の賢明な利用原則の履行やラムサール登録湿地やその他の湿地の管理において、地域社会や先住民が情報提供を受けて積極的に参加しかつ責任分担することを促進するために、この「ガイドライン」を適用することを求める。
13.さらに、締約国に対して、本決議に付属する「ガイドライン」を適用する場合には、可能な限り女性、青少年、及びこれらの層を代表する組織を参加させることを優先事項とし、特別な配慮を払うことを求める。
14.締約国に対して、国家湿地政策や関連する法律の制定に際しては、地域社会や先住民と広範な協議を行うこと、そしてこうした政策や立法措置が導入された時には、社会全般がその履行に積極的に参加できるようにするために、本決議の付属書に合致するような仕組みを持つものとすることを要請する。
15.さらに、締約国に対して、適切な場合には、湿地の持続可能な利用のための国レベル、地方レベルでの政策決定に先住民や地域社会が直接参加できるように、そのために必要な財源の提供も含めた立法上政策上の規定を作ることを要請する。
16.締約国に対して、地域社会や先住民を含めた利害関係者の代表が、国内ラムサール委員会や同様の組織に出席するようにし、可能な場合には、今後の締約国会議における政府代表団の中に、政府以外からの利害関係者の代表が参加するように促す。
17.締約国に対して、湿地とその保全に関する政策決定にあたり透明性を確保し、また、ラムサール登録湿地の選択及びすべての湿地の管理においては、その過程における利害関係者の十分な参加を保証しつつ、技術的データ等の情報を十分に提供することを奨励する。
18.さらに、締約国、専門家、地元住民及び先住民に対して、政策決定に際しては、最善の科学的知見や地元の知恵が十分に考慮されるようにするために、湿地の管理や計画立案において協力し合うことを奨励する。
19.締約国に対して、推進役としての技能開発、協議のための過程作り、微妙な文化的問題に対する配慮、そしてラムサール条約の「賢明な利用ガイドライン」の適用といった内容について、政府機関の行政担当者や地域住民に研修の機会を与えることに特別な配慮をしながら、参加型アプローチの実施のために必要な能力の養成を優先的に行うよう求める。
20.締約国に対して、必要に応じ、参加型アプローチの確立を促進するために必要な専門知識を持った、先住民グループ、地域住民グループ、湿地教育センター、NGOの参加や支援を求めることを促す。
21.締約国に対して、参加型管理を確立するためには財政措置や奨励策が触媒として働く場合が多いこと、それゆえ、地域社会や先住民の参加を促すための努力においては、優先的に考慮されるべき事項であると認識することを求める。
22.湿地保全や賢明な利用プロジェクトや一般的な水資源総合管理プロジェクトを支援している、多国間及び二国間開発援助機関に対して、本決議の付属書及びその中で明記されている国レベルの優先行動を考慮に入れることを要請する。
23.ラムサール条約事務局に対して、湿地管理を支援する参加型アプローチや先住民の知識体系に関する情報を交換するため、そして本決議を履行する際に締約国の役立つと思われる研修やその他の話題に関する情報を収集するために、人的資源及び財源が許す限り、情報センターを設立し、担当官を置き、国際条約事務局を含む国際的団体と連絡を取り合うことを指示する。
24.ラムサール条約事務局と協力機関に対して、国際団体パートナー、先住民グループや地域住民グループの経験を活かしながら、ラムサール登録湿地や他の湿地における参加プロセスの確立と強化に関する新たな経験に照らし合わせて、この「ガイドライン」を第9回締約国会議までに一層充実させることを要請する。
25.第8回締約国会議のための国別報告書の一部として、この「ガイドライン」履行のために大きな努力が払われた例、特に湿地管理への地域社会や先住民による参加を拡大し効果を高めるための努力について、特別な注意を払うことを決定する。
[英語原文:ラムサール条約事務局,1999.Ramsar Resolution VII.8 "Guidelines for establishing and strengthening local communities' and indigenous people's participation in the management of wetlands", May 1999, Convention on Wetlands (Ramsar, 1971). http://ramsar.org/res/key_res_vii.08e.htm.]
[和訳:「ラムサール条約第7回締約国会議の記録」(環境庁 2000)より了解を得て再録,琵琶湖ラムサール研究会,2001年6月.]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]
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URL: http://www.biwa.ne.jp/%7enio/ramsar/cop7/key_res_vii.08j.htm
Last update: 2006/09/27, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).