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ラムサール条約 第7回締約国会議

決議.15 奨励措置

日本語訳:環境庁,2000年[了解を得て再録].

 英語   フランス語   スペイン語  (以上,条約事務局)    PDF  (環境省のインデックスページ)


「人と湿地:命のつながり」
"People and Wetlands: The Vital Link"
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第7回締約国会議
1999年5月1018日 コスタリカ サンホセ

賢明な利用原則の適用を促進する奨励措置

1.締約国に登録簿に掲げられている湿地の保全を促進し及びその領域内の湿地をできる限り適正に利用することを促進するため、計画を作成し、実施することを求めるラムサール条約第3条1を想起し、

2.さらに、「賢明な利用の概念実施のための追加手引き」に関する決議5.6、特に湿地の破壊を促すような税制上の便宜や補助金を廃止し、逆に湿地の維持と合致し、その保全を促進し寄与する活動を促進する奨励措置を導入するという、同追加手引きの中での言及を想起し、

3.奨励措置がラムサール条約と生物多様性条約の間の共同作業計画の一つの要素を構成すること(決議.4)、またこのことが生物多様性条約第4回締約国会議の決定/15によって支持されていることに留意し、

4.さらに、生物多様性条約第3回及び第4回締約国会議の奨励措置に関する決定/18及び/10a、特にその後者における奨励措置は生態系アプローチを用いて、また対象となる資源管理者を念頭において計画されなければならないとする認識に留意し、

5.生物の多様性と生物資源の経済評価は、十分に対象を絞り、それに合わせて調整した経済的奨励措置のための重要な手段であることを認識する生物多様性条約の決定/10aに同意し、

6.ラムサール条約とその湿地の賢明な利用原則を実施する上で、この原則の実行への誘因として作用する措置を計画し実施すること、またこの原則を損なう誘因を特定し取り除くことが、きわめて重要であることを確認し、

7.奨励措置についての手引き作成を目標として、生物多様性条約第5回締約国会議での検討に向けた背景資料を作成するため、OECD(経済協力開発機構)、IUCN(国際自然保護連合)、生物多様性条約事務局等の関連組織の間での共同作業をこの問題に関する生物多様性条約の決定/10aが奨励していることを承認しつつ留意し、

8.本締約国会議の分科会に提出された奨励措置に関する発表を考慮した上で、

9.締約国がラムサール条約を施行する上での政策及び法的手段の一つとして奨励措置を考慮する必要性と、第7回締約国会議で、これらの両者についての締約国のための手引きが採択された(決議.6及び.7)ことを認識し、

10.「湿地の管理への地域社会及び先住民の参加を確立し強化するためのガイドライン」(決議.8)により奨励されるように、さまざまな利害関係者、特に地域社会と民間部門の間で、湿地の持続可能な利用を促進するための奨励措置の重要性を認識し、

締約国会議は、

11.締約国に対し、湿地の保全と賢明な利用を奨励する措置を特定し促進する、また逆にその妨げとなる措置を特定し除去するための、既存のもしくは作成中の政策的、法的、制度的枠組みを見直すよう要請する。

12.さらにより具体的には、「国家湿地政策の策定と実施のためのガイドライン」(決議.6)、及び「湿地の保全と賢明な利用を促進するための法制度の見直しに関するガイドライン」(決議.7)を適用する際に、奨励措置が確実に考慮に入れられるようにすることを締約国に要請する。

13.締約国、NGO(非政府組織)、援助機関などに対し、「湿地の管理への地域社会及び先住民の参加を確立し強化するためのガイドライン」(決議.8)を適用する際に、湿地の賢明な利用を促進するよう計画された奨励措置を特別に考慮するよう、またその逆の効果を持つ誘因が存在する場合にはそれを特定し除去するよう求める。

14.さらに締約国その他に対し、湿地、生物多様性の保全、自然資源の持続可能な利用全般に関する奨励措置とその反対の効果をもたらす誘因とに関して、これまでに得た経験と教訓とを互いに共有するよう求める。これら経験や教訓は締約国等がラムサール条約事務局に提供することによって共有され、事務局はこれらを適切に配布し、またラムサール条約ホームページの賢明な利用資料センターを通じ利用できるようにする。

15.科学技術検討委員会とラムサール条約事務局に対し、生物多様性条約及び移動性野生動物種の保全に関する条約(ボン条約)の関連機関、OECD、国際影響評価学会、IUCN、締約国等の関連する機関や国と協力して、奨励措置やケーススタディーの目録等、インターネット上のデータベースを作成するため、奨励措置に関する既存のガイドラインや利用できる情報の検討を行うこと、またこの目的のためには財源が必要であるという認識の下に、奨励措置を実施する機会を特定するためのツールとしての影響評価の利用を検討することを求める。

16.奨励措置の計画、実施、モニタリング、評価の進展について、また逆効果をもたらす奨励措置の特定と除去の進展についての第8回締約国会議に対する報告書を、財源と人材が許す範囲で締約国、各国政府及びその他の関連機関がとるべき具体的行動への勧告と共に作成するよう、科学技術検討委員会及びラムサール条約事務局に対し指示する。

17.締約国会議が講じる奨励措置に関する情報は、ラムサール条約事務局が分析と報告書作成を行えるよう、国別報告書に含まれるべきであることを決定する。


「記録」表紙

[英語原文:ラムサール条約事務局,1999.Ramsar Resolution VII.15 "Incentive measures to encourage the application of the wise use principle", May 1999, Convention on Wetlands (Ramsar, 1971). http://ramsar.org/res/key_res_vii.15e.htm.]
[和訳:「ラムサール条約第7回締約国会議の記録」(環境庁 2000)より了解を得て再録,琵琶湖ラムサール研究会,2001年6月.]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]


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Last update: 2006/09/27, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).