Swan 琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう第7回締約国会議

ラムサール条約 第7回締約国会議

決議.14 侵入種と湿地

日本語訳:環境庁,2000年[了解を得て再録].

 英語   フランス語   スペイン語  (以上,条約事務局)    PDF  (環境省のインデックスページ)


「人と湿地:命のつながり」
"People and Wetlands: The Vital Link"
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第7回締約国会議
1999年5月1018日 コスタリカ サンホセ

侵入種と湿地

1.外来種が侵入的になった場合、それが陸上、海洋にかかわらず湿地の生態学的特徴に、また湿地に生息する種に及ぼす深刻な脅威を意識し、

2.侵入種がいったん定着すると、その適切な管理はしばしば高額の費用を要し、その根絶は通常実行不可能であること、また予防と早期の対策が侵入種に対し採りうる最も費用効果の高い手法であることを確認し、

3.外来種の偶然のまたは意図的な移動や輸送が、新たな侵入種の世界的蔓延に果たす役割を確認し、

4.侵入種の移入防止、不測の移入を避ける手段、移入種と非合法的移入による害の根絶について言及した、「賢明な利用の概念実施のための追加手引き」に関する決議5.6、及び「ラムサール登録湿地及びその他の湿地の管理計画策定に関するガイドライン」に関する決議5.7を想起し、

5.本締約国会議に提出され、外来種と侵入種の定義、侵入種が湿地の生態学的特徴と機能に及ぼす影響、侵入的になりうる生物の例、防除の方法、侵入種と闘うための解決策を述べた、「侵入種と湿地」に関する締約国会議文書24に留意し、

6.ラムサール条約と生物多様性条約の協力の覚書、生物多様性条約第4回締約国会議で支持されたラムサール・生物多様性条約共同作業計画、生物多様性条約にある生態系、生息地若しくは種を脅かす外来種の移入を防止し又はそのような外来種と制御し若しくは撲滅する(第8条義務を確認し、

7.生物多様性条約第4回締約国会議が、陸水での侵入種の影響と管理についてケーススタディーをまとめることを求めた決定/4、また外来種と、その海洋及び沿岸生態系への影響について理解を向上させるよう定めた決定/5等、侵入種に関する多数の関連決定を採択したことに留意し、

8.生物多様性条約第4回締約国会議が、「科学上及び技術上の助言に関する補助機関(SBSTTA)」に対し、外来種の影響の予防、移入及び事前影響緩和のための指針を作成し、そうした原則と関連する作業計画について第5回締約国会議に報告するよう求めたことを認識し、

9.地球規模の戦略と行動計画、また侵入種に対抗するための実用的手段の構築を進めている、環境問題科学委員会(SCOPE)の調整による世界侵入種計画(GISP)の作業、また「生物侵入による生物多様性の喪失防止のためのガイドライン草案」を準備しているIUCN(国際自然保護連合)の作業に留意し、

10.侵入種に関する米国大統領命令(1999年2月3日)、北欧閣僚会議の下に北欧5か国で現在行われている侵入種及び外来種に関するプロジェクト、アフリカのためのIUCN/ラムサール侵入種啓発計画を含め、締約国及び協力機関によってさまざまな地域で行われている、侵入種に関する新規の重要な取組を賞賛し、

11.さらに本締約国会議の直前に行われた、地球生物多様性フォーラムの第13回会議における侵入種に関するワークショップの成果に留意し、

締約国会議は、

12.締約国に対し、その管轄下にある湿地に侵入種がもたらす環境、経済、社会的影響について可能な限り取り組むよう求める。

13.さらに、侵入種の管理を目的として本締約国会議に提出された、「湿地と侵入種についての特別対策書」(第7回締約国会議文書24)に概略が述べられている、侵入種に対する蔓延防止方法と解決策を考慮に入れるよう締約国に対し求める。

14.締約国に対し、侵入種に関する、既に存在するデータベースに関する情報、湿地と湿地に生息する種を脅かす侵入種に関する情報、湿地の侵入種の蔓延防止と根絶に関する情報を、ラムサール条約事務局に提供するよう促す。

15.ラムサール条約事務局に対し、以下を指示する。

a)侵入種が湿地にもたらす影響に対し特に大きな取組がなされるよう、ラムサール条約が湿地生態系における侵入種対策に高い優先順位を付していることを生物多様性条約、環境問題科学委員会(SCOPE)の世界侵入種計画(GISP)、世界の貿易及び輸送等の関連機関や新規取組に主張する。

b)既存の諸計画との協力を確保し、新たなパートナーシップを築くため、他の条約の事務局や国際組織のこの決議への注意を喚起する。

c)既存の諸計画と協力して湿地と湿地に生息する種を脅かす侵入種を特定する実用的なデータシステムを構築し、湿地の侵入種の蔓延防止及び根絶への方法と助言を含める。

d)湿地、特にラムサール登録湿地の生態学的特徴、またその社会的、経済的利益に、侵入種が既に悪影響を与えた事例のケーススタディーを作成する。

16.科学技術検討委員会に対し、以下を指示する。

a)生物多様性条約の科学上及び技術上の助言に関する補助機関(SBSTTA)、環境問題科学委員会(SCOPE)の世界侵入種計画(GISP)、その他国際条約のもとに設立された諸計画と協力して、またIUCNの「生物侵入による生物多様性の喪失防止のためのガイドライン草案」を考慮に入れて、湿地と湿地に生息する種を脅かす可能性のある外来種を特定し、行動の優先順位を定め、管理するための湿地別のガイドラインを作成する。

b)環境上危険な新しい外来種の管轄区域への移入と、管轄区域内のそのような種の移動や取引を最小限に抑えることを目的として、「リスク評価」を組み込んだ、立法化等の最良の実践例による管理方法の手引きを、締約国の利益を図り作成するため、関連する各国・諸機関等と協議する。

17.本決議の実施には、適切な財源及び人材が得られることが条件であることに留意して、本決議に概要が記されるラムサール条約事務局と科学技術検討委員会の活動を支援するため、締約国に対し任意拠出をするよう促す。

18.締約国に対し、以下を要請する。

a)各締約国の管轄の範囲内で、湿地における外来種の目録を作成し、それらを評価して湿地と湿地に生息する種を脅かすもの(「リスク評価」)と、その蔓延が適切に防止できるまたは根絶できるものとで優先順位付けをする。

b)蔓延防止または根絶を目的として、優先順位の高い侵入種に対象を絞る計画を確立し、またその他の関連する国際的な諸計画を実施する。

c)それぞれの行動において可能な場合には、湿地の侵入種の世界的広がりに外来種の移動と輸送が及ぼす環境、経済、社会的影響について取り組む。

d)決議.7に従って既存の法的、制度的措置を見直し、必要な場合には、環境上危険な新しい外来種の、その管轄域への移入と、その管轄域内でのそれら外来種の移動や取引を防ぐための法令と計画を採択する。

e)環境上危険な新しい外来種(農業用、園芸用に試験中のものを含む)を特定する能力と、立法や最良の実践例による管理の促進、実施のための能力を向上させる。

f)環境上危険な新しい外来種への認識と、その特定と蔓延防止の能力を高める。

g)情報と経験の交換、湿地の侵入種に対処する総合的能力の向上、侵入種対策計画の地域的調整の促進を目的として、他の締約国と協力する。


「記録」表紙

[英語原文:ラムサール条約事務局,1999.Ramsar Resolution VII.14 "Invasive species and wetlands", May 1999, Convention on Wetlands (Ramsar, 1971). http://ramsar.org/res/key_res_vii.14e.htm.]
[和訳:「ラムサール条約第7回締約国会議の記録」(環境庁 2000)より了解を得て再録,琵琶湖ラムサール研究会,2001年6月.]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]


Swan 琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう第7回締約国会議
Valid HTML 4.01! Valid CSS!

URL: http://www.biwa.ne.jp/%7enio/ramsar/cop7/key_res_vii.14j.htm
Last update: 2006/09/27, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).