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「湿地:水、生命及び文化」
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第8回締約国会議
バレンシア,スペイン,2002年11月18-26日
1.地域イニシアティブの重要性が、一般的には条約の目的を促進するため、また特に「戦略計画」を実施する上では、生物地理学的に共通な部分があること、多国間に渡る湿地や湿地依存種が存在すること、そして社会文化的にも結びつきが強いことにあることを認識し;
2.条約第5条及び決議Ⅶ.19が国際協力のための枠組みを提供していることを考慮し;
3.目標とともにプロジェクトと活動のための技術および資金支援の計画や提供における国際的な共同作業の肯定的、触媒機能的、決定的な役割を確認し;
4.この状況の中で、条約履行に関する地域イニシアティブの策定および同地域イニシアティブための支援に関するフレームワークの手引きが有用になることを認識し;
5.「地中海湿地のための協力機構」に関する決議Ⅶ.22、さらに地中海湿地イニシアティブ(MedWet)に関する勧告5.14及び6.11を想起し、またこれが他の地域イニシアティブの取組にとってのモデルとなることを確認し;
6.常設委員会の決定によりギリシャのアテネに2001年、地中海湿地イニシアティブの調整事務所が設立され、ギリシャ政府が資金提供を行っていることを考慮し;
7.2003−2005年の3年間、アテネでの地中海湿地イニシアティブ調整ユニットの運営のために受け入れ、財政的に寄与することの継続を、ギリシア政府が申し出たことをさらに考慮に入れ;
締約国会議は、
8.本決議の付属文書、「ラムサール条約の枠組みにおける地域的取組を発展させるための手引き」を承認する;
9.条約の中核予算から財政支援の価値のあるものとして、1つ以上の地域イニシアティブが上記手引きに従ってCOPによって評価されたとき、予算項目「地域イニシアティブに対する援助」の額の充当を考慮する;
10.締約国に対して、地域的取組を開始する際にはこの手引きを考慮に入れることを求める;
11.この情況において、また2003−2005年について、この決議の附属書Ⅱの中で示されて、2003−2005年地中海湿地イニシアティブ調整ユニット予算とされているように、地中海湿地イニシアティブに対し条約中核予算から財政支援が提供されることを承認する;
12.地中海湿地イニシアティブに対する地域の締約国からの、および特にその調整ユニットの相手国からの財政と政治的な支援の重大な重要性を認識する。2001年と2002年の間の適切なオフィス空間および他のすべての経費を賄うための財源の提供を含む地中海湿地イニシアティブユニットのアテネでの受け入れに対して、ギリシア政府に真の謝意を表する。そして、2003−2005年の3年間中に同じ目的でオフィス設備および財政支援を提供し続けるギリシア政府の寛大な申し出を承認する;
13.この決議の附属書Ⅱに含まれているような地中海湿地イニシアティブ調整ユニットの予算を承認する;
14.事務局長に対して、ギリシャ政府と覚え書きを交わし、2003−2005年アテネのMedWet調整事務所の個別の資金的及び事務的取り決めを行うことを委任する;
15.事務局長に対して、地中海の取組が他地域の参考となるような形で報告にまとめられるよう要請する。
1.地域イニシアティブの全面的な目標は、一般に条約の目的を促進し、湿地に関連する共通に重要な問題についての地域と小地域の協力を通じて、ラムサール条約戦略計画を特に履行することであるべきである。
2.地域と小地域のイニシアティブはボトム・アップアプローチに基づくべきである。優先順位の問題として、新しいイニシアティブによってカバーされた地域あるいは小地域のできるだけ多くの締約国の関与が、当初から求められるべきである。
3.各イニシアティブは、条約に参加する締約国における条約適用に責任を負う管理当局だけでなく、環境と水の問題に責任を負う省庁、政府間、NGO、学会および経済関係者を含む、興味を持ち、そして湿地の問題に直接あるいは間接的に責任を負う、他のすべての適切な関係者にも当初から参加を要するべきである。
4.地域イニシアティブは、明白に定義された役割をもって確立された共同作業のネットワークの開発について運用に基づくべきであり、それにより全てのレベルに全ての関係者の関与を可能にする環境を築くべきである。
5.初期の段階では、地域イニシアティブは補足的で二重でない活動の確立により、その地域で運用するために他の政府間あるいは国際的なパートナーと、共同作業を求めるべきである。
6.地域イニシアティブの運用は、イニシアティブのパートナーと認められるべき、適切な機関によって提供される、強い科学的および技術的な裏付けに基づくべきである。
7.地域イニシアティブの戦略および運用の目標は、政策や現地の技術的な仕事および活動による条約の戦略計画と完全に提携するべきである。
8.地域イニシアティブは、締約国や地域からの他のパートナーからの政治的支援および資金支援の両方を要求する。地域オフィスが設立されることになっている場合、受入国からの本質的な支援は特に重要である。
9.地域または小地域イニシアティブの開始は、計画された活動およびプロジェクトのための安全な操業開始資金に依存するべきである。
10.締約国が決断する条約の中核予算からの財政支援は、3年以下の原則の中で、前もって定義した期間に提供されるであろう。そのような期間の後に、支援は段階的になくされるべきである。地域イニシアティブはそれ自身の資源を生成するべきであり、長期的に財政は自立するべきである。条約の中核予算からの財政支援を決定する場合、地理的に公平な分配が考慮されるべきである。
11.地域イニシアティブは手引きと見識を提供するために、関係者を全て含んだ、独自の諮問メカニズムを確立するべきである。締約国および常設委員会は、ラムサール事務局を通じて、それらの活動に関する報告書を受け取るものとし、条約の履行に関係のあるそれらの一般政策を監督するものとする。
12.地域イニシアティブと条約の間の調整に関する特別な準備は、常設委員会の手引きの下でラムサール事務局によって作り出されるべきであり、またそのような準備は、締約国会議によって最終的に承認されるべきである。
[和訳:『ラムサール条約第8回締約国会議の記録』(環境省 2004)より了解を得て再録,2005年,琵琶湖ラムサール研究会.]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]
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