◆◇◆ AFTER THE BOUT ◆◇◆


◇4◇


 月明りの下、静まり返った墓地の中を歩く人影があった。
 墓地の中で一際壮麗な墓石の前で人影は立止まった。

 「ギース様…」

 カチッ
 ライターの灯が一瞬その持ち主を丸く照らし出した。
 ビリー・カーンは火を点けた煙草を墓石の前に置いた。
 花を捧げることは自分にも、墓の主にも似つかわしくないように思われた。

 「ギース様、お久し振りです。葬儀にも出なくてすみませんでした。ずっとあわせる顔が無くて…お役に立てなくて申し訳無いです」

 ギースとテリー・ボガードの戦いの時も、ギースの臨終の時も自分は側にいることができなかった。
 思えば、キング・オブ・ファイターズの当日に呼び出され、ボガード兄弟を始末するように言われたのがギースの姿を見た最後であった。
 ボガード兄弟を倒す…図らずもビリーにとって亡き主の遺言となり彼の今後の生きる目標となった。

 「ギース様、オレはしばらくサウスタウンを離れます。修行し直して、もっと強くなって…必ずボガード兄弟を倒してみせます。ギース様とオレのプライドの仇を取るために…それまで、お別れです」
 ビリーは一礼すると、墓標に背を向けたのであった。


◇TOP◇  ◇BACK◇  ◇NEXT◇