運動とけが
運動とけが
どんな運動でどんなけがをするのか
運動は慣れた頃けがをすると言われます。どんな運動にはどんなけがが多いのか、予め知っていると、けがの防止に役立ちます。では早速勉強しましょう。
運動はもともと健康の維持のためにするものです。しかし、運動は予期せぬ出来事からけがという健康を害するものを伴います。その最悪なものに骨折があります。
- 骨折
打撲、衝突、転倒などにより、直接あるいは間接的に外力が骨に加わって骨の連続性の断たれたものを骨折といいます。レントゲン検査で診断は比較的簡単にできます。
救急処置の要点として疼痛の強い場合は、ショック状態になることがあるのでその対策が必要です。骨折部に対しては医療機関に担送する前に副子などで、骨折部を含む上下の間接を固定することが大切で、時には応用副子(傘、杖、棒、小枝など)を代用しなければならない場合もあります。
- スポーツなどで起こりやすい骨折
- 鎖骨骨折:contact sportなどによる転倒でしばしば見られます。治療は保存的療法(8の字包帯)を原則とし、上肢への神経、循環障害の著明なもの、骨転位の著明なものは手術的療法をします。
- 肋骨骨折:直接あるいは間接的に外力が加わって起こるが、筋力によって発生する場合もあります(ゴルフ骨折)。保存的療法で良い。
- 肘関節部骨折:上椀骨顆上骨折が多いが、上椀骨外顆骨折、上椀骨内顆上骨折も見られます。手術適応が多い。
→後遺症に注意:フォルクマン氏拘縮、外反肘、遅発性尺骨神経麻痺の発生。
野球肘→離断性骨軟骨炎→成長期のスポーツ障害の代表
- 手関節骨折:定型的橈骨骨折(Colles骨折)が最も多い。老人は保存的療法が主流、成長期の子供は場合によっては内固定の手術も必要です。
- 膝関節部骨折:膝蓋骨骨折が多い。
- 足関節骨折:外力の加わり方により種々の型の骨折を生じます。正確な整復位を取ることができない場合は手術を要します。
- 特殊な骨折
- 筋力による骨折
- 上椀骨投球骨折:投球したとき、上椀骨に強い捻転力が加わり上椀骨がらせん状に折れる場合。
- 尺骨肘頭裂離骨折:鉄棒の蹴上がりをした時、上椀三頭筋の強い牽引力により肘頭が裂離するもの。
- 腸骨前上棘裂離骨折:ランニングで前上棘に付着する筋(大腿筋膜張筋、縫工筋)の強い牽引力にうおりその部が裂離するもの。
- 腸骨前下棘裂離骨折:短距離走やキックにより、下前棘に付着する大腿直筋が強く収縮することによりその部が裂離するもの。
- 脛骨粗面裂離骨折:ジャンプ、跳び箱の踏切などで、大腿四頭筋の強い牽引力により、その付着部である脛骨粗面が裂離するもの。
以上の裂離骨折によって転位の少ないものは保存的に、大きいものは手術的に整復固定する。
- 疲労骨折
スポーツ選手として特徴的な使い過ぎによるもので、過度のランニング、ジャンプの繰り返しなどで起こします。一回の急激な強い外力によるものでなく、小さな外傷の繰り返しによって起こるものです。
中足骨、脛骨、腓骨などに見られます。1回のレントゲン検査では見つからない事もあるので定期的な検査が必要です。初期には捻挫として扱われる事が多い。手術の必要はありません。
- 骨端炎
成長期における過度の練習によるものです。成長期は関節部は大部分が軟骨で骨化されていません。従って過度の練習で骨端部(成長点)に炎症が起こります。
- オスグット・シュラッテル氏病:膝の前面、脛骨粗面部の痛みで、ジャンプにより大腿四頭筋の強い収縮が頻回に加わる事により起きます。
- 踵骨々端炎:アキレス腱付着部の踵骨々端部の痛みで、ジャンプによる下腿三頭筋の強い収縮が頻回に加わることにより起きます。
- 離断性骨軟骨炎
成長期に特定の部位を酷使するスポーツ選手にみられます。関節軟骨下組織の無菌性壊死です。
骨片が剥離し遊離骨片となって関節の中を自由に動いているものを関節鼠といいます。
- いわゆる突き指
一番頻度が高く、その種類は様々で、捻挫、骨折、脱臼、脱臼骨折、腱断裂などが含まれます。
- 関節損傷
- 捻挫:関節の生理的運動範囲をこえた外力が加わり、関節包、靱帯が過度に伸展されたり、断裂したものを捻挫といいます。関節損傷の代表的なもので、スポーツ外傷の中でも頻度が高い。特に、指関節、足関節、膝関節などの運動範囲の比較的限られた関節におこりやすい。
- 脱臼:関節の骨頭と関節窩が永続的に正常の状態で無くなったものを脱臼といいます。スポーツ外傷で見られるのは外傷性脱臼であり、骨頭が関節包を破り、関節外に逸脱したもので、したがって殆ど常に関節包、靱帯の断裂を伴っています。外傷性脱臼は骨折の1/10の頻度で見られ、肩関節が最も多く(50%)、ついで肘関節(30%)です。
- 頭部外傷の注意
- 外傷の機序・規模→強さ、転落、交通事故
- 受傷者側の意識状態→消失、脳震盪、けいれん
- 強い持続性頭痛→頭蓋内出血
- 耳出血(鼻出血)→頭蓋底骨折
- 頭蓋底骨折→しばしば致命的
- 頭皮の損傷所見
- 乳幼児、高齢者は要注意→問診、所見が取りにくい
- 外出血が多い→失血