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  メダカって  なぜ大切なの?  なぜいなくなったの?  どうすれば戻ってくるの?


  メダカって?

学 名    Oryzias latipes(オリジアス ラティペス)
         英名 Ricefish(ライスフィッシュ)米の魚と呼ばれ米作地域に関係が深い

生息場所  日本、アジア東南部で河川下流域の池や沼(流れの緩やかな所)に生息している

雌雄の区別 オス・・・背びれに切れ込みがあり、尻びれの全体が平行四辺形状に長くなっている
         メス・・・尻びれが短く三角形になっている。お腹がオスに比べて大きい

 

 注意:野生のメダカは頭が黒いのが特徴で、からだ全体にオレンジ色しているのはヒメダカといって、人間が観賞用に飼育したものです


 なぜメダカが大切なの?

 メダカは遠い昔より米作と関わりが深く、流れの速い川には棲めないため田んぼの水たまりやその周辺の水路、池などに多く生息しています。他の魚と違い、狭い範囲で川から田へ、田から川へと移動を続けて身を守ってきました。
 メダカは魚の中で最も小さく、食物連鎖(小さい生き物は、大きな生き物に食べられてしまう自然界のシステム)の下にあり、ザリガニやタガメ、ヤゴなどに食べられ、また、鳥たちがその虫たちを食べ、その鳥をタヌキやキツネといった野生動物が食べ・・・・と、いった循環があります。だからメダカは少しでも多く生き残れるように、たくさんの卵を産みます。生まれながらにして、あの素早い動きが備わっているのも、たくさんのメダカが集団で泳ぐのもそのためでしょう。
 でもメダカがいなくなると、それを餌にしていた生き物が生きていけなくなります。そうなると食物連鎖のバランスが崩れて、ひいては人間の生活にもどこかで影響がでてくることとなります。
 最近貴重な野生生物が次々と環境破壊によって絶滅しています。人間だけがいつまでも豊かでいられるはずがありません。今のうちにこのバランスを何とか元へ戻さないと取り返しのつかないことになってしまいます。
 


 なぜメダカがいなくなったの?

 私たちのまわりには、かつてメダカだけでなくタナゴやオイカワ、アユ、フナ・・・と、いったいろんな生き物が棲んでいました。その姿をだんだん見かけなくなったのには、実は人間の生活が大きく関わっているのです。人間は、自分たちの生活の便利さとひきかえに非常に多くのものを失ってきました。田んぼの区画整理をしたり道を広げたりするために用水路や川をU字溝や暗渠(コンクリートで覆ってしまう)にしました。コンクリートで囲まれた川は流れも速く、水草も生えない状態で魚が休んだり卵を産み付ける場所がありません。
 また、ブラックバスやブルーギルといった外来種(他の国からやってきた魚)が棲むようになって、それらに全て食べられてしまい、生態系が崩れてしまったことも原因の一つでしょう。


どうすれば戻ってくるの?

 メダカはきれいな水でしか生きられないというイメージが強いですが、必ずしもそうでないようです。少しくらいの水質の変化には耐え、(と、いうよりも耐えられるメダカだけが残る)遺伝子のレベルでその流域の水に順応していくメダカが、長い世代交代を繰り返して生まれてくるのだそうです。水温の変化にも強く、冬場の水面が凍るような時でも水底でじっと春を待っています。
 しかし、そんなメダカも水草などの逃げ場が無くなった環境では、産卵はもとより棲むことさえできなくなります。
 最近では、当ホームページの理科室P1でご紹介したように、コンクリートの護岸といってもいろいろな工夫がされるようになってきました。先ずは生活排水や農薬等のなどの影響を極力少なくすることが一番大切ですが、そのほかに川の流速(緩やかな流れをつくる)、水草の確保(水草の育つ環境をつくる)、他の生物と共存できる環境を作ることが大切だと思います。ビオトープ作り等も大切なことですが、まずその環境を元に戻すことから始めましょう。
 私たちは、「河川改修工事で絶滅しては大変」との思いから、一時避難的に飼育していますが、河川の状況が回復次第少しずつ放流しようと考えています。また、狭い環境でいつまでも飼っていると近親交配による奇形種の発生の心配もありますから、そのへんも考慮しながら保護していきたいと思っています。
 私たちにできることは、まだまだたくさんあるはずです。ぜひみなさんのご意見をお聞かせ下さい。

takiyan−@mx.biwa.ne.jp

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