古民家再生、伝統工法の復興に向けて

  有限会社 梓工務店
代表取締役 伊東 裕一
2006/4/25

呼吸をする家を建てよう

 「いい家が建てたい」この思いは、お施主さん、心ある施工者〜(設計者・職方軍団も含め)〜なら思いは同じです。この思いを共有してこそ、初めて『いい家』が出来るのではないでしょうか?ただ問題なことに「いい家」基準が10人10色で、各々の人生観、価値観が多様であるように、「いい家」の概念も多様にあるということです。

民家 すくなくとも、大筋のコンセプトが住み手側と造り手側が同じでなければ何も始まりません。私共の家造り、というより私が本当に『いい家』だと思っているのは、〜200年、300年と受けつがれる家〜しかも、その家の家族が健康であること、それは「家」そのものが老は取っても健康で生いきする家「病気がちで長生きしてもしょうがない。」こんな言葉をよく耳にします。正に、家においてもそのことが言えると思います。

 四季があり、温帯モンスーン地域(夏のむし暑さが異常)に属している日本の気候条件の中で、これと解決する方法は、風を感じて生きること、人も風を感じ、家そのものも風を感じられる(真壁造りにする・床下を解放する)ものでなければ、けして健康を保持できるものではありません。 そのためには、家はムクの木と土と紙と石で造ること、コンクリートに頼るのはベースのみにすること、いわゆる石端建足固メ工法を取ること、150年以前の江戸時代まで工法に戻すこと、まさに真の意味での伝統工法を復旧させることのみこの命題を解決しうると考えます。

木組 ただ懐古趣味で、伝統工法を推奨しているのではありません。現在の技術力、機械力をもってすればもっとすごいことが出来ることも可能です。たとえばクレーンが使えることによる組み方の進歩があげられます。過去においては映画などで見たことがあるかもしれませんが、一本一本の材料を沢山の人数で滑車などを使って組み立てていた訳です。それが現代では、東西南北の面の柱や胴梁などを地上で先に組んでおいて、下組みした各面の架構をクレーンで吊り上げ、架構同士の仕口を直角に組むことができるようになりました。こんな手順は重機の無かった時代には絶対にできなかったことです。このクレーン技術のお陰でホゾを長くしたり複雑な組加工をしても高い精度で組み上げることができるので真に強い強度を確保できるのです。

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