ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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第36話 バリ人になっていく… BackNext

う、かなり前になるが、娘と二人でデンパサールのケンタッキーフライドチキンの店へ入った時の事。 そこでチキンとライスがセットになったメニューをオーダーし、さて、食べようとしたところ、スプーンもフォークもない。 見回すと他のお客さんも皆、素手で食べている。娘は学校で素手で給食を食べているせいか、自然な手つきで食べ始める。 僕も真似して素手でトライするが、これがなかなか上手く行かない。口の中に食べ物と一緒に指を入れたはいいが、指を口から抜く時にご飯粒がぼろぼろ落ちる。 落とさないように顔を上に向けて手を口から抜くようにすると、これは大変に下品な食べ方となる。 仕方がないから今度は手の平に食べ物を乗せ、犬のように食べるようになる。これまた下品極まりない。

かねた娘が、「パパこうやって食べるんだよ」 と、正しい素手の食べかたを教えてくれる。 「こうやってチキンを少しちぎるでしょ、そしてケチャップをちょっとつけてご飯のところへ持ってくるでしょ、そしてこのくらいの大きさにしてチキンとご飯を一緒にして、こうやってお口に入れるの。」 なるほど。食べかたのポイントは二つあるようだ。一つは食べやすい形におかずとご飯を一緒に形を整える事。そして二つ目は手から口へ移す手の動きにあるようだ。 人差し指、中指、薬指の指先近くに食べ物を乗せ、口に近づけ、親指の爪で食べ物を押し出すようにする。
今では僕もこの食べかたにかなり慣れてきた。一歩バリ人に近づいた感じだ。 こういったレストランでは必ず手を洗う場所がトイレとは別にホールに設けてあるから便利だ。 地元の小さいレストランでは素手で食べる時は必ず指を洗う為の水の入った小さいボールが付いてくる。



頃お世話になっている日本人のS女史(バリ人の旦那を持つ)の家にお邪魔した時、丁度、昼飯時だったので自家製ナシチャンプル(ご飯の周りにいろんなおかずが乗っている)をご馳走になった。 彼女もすっかりバリの生活に馴染んでおり、自宅では素手で食べる事が多いそうだ。素手の方が食べ物が美味しく感じられるという。 素手での食事に慣れてしまうと、金属のスプーンやフォークが使いたくなくなる。 あの金属が歯にあたる感触が不快に感じるようになり、せっかくの料理を十分に味わえなくなるという。 素手での食事に慣れてきた僕は、彼女のこの説明におおいに頷いてしまった。

た、もう一つ素手での食事のメリットと感じる事は、口に入れる前に、その食べ物の硬さ、柔らかさ、ぬくもりなどが指先から伝わってくることだ。 触った瞬間に美味しさが伝わってきそうだ。スプーンなどを使って食べると口に入るまで、どういう感触のものかわからないが、素手で食べるという事は、味覚、嗅覚、視 覚だけでなく触覚まで使って食べることになり、いっそう食事が楽しいものとなる。 日本人もみかんなどを食べる時には、手でみかんの弾力などをチェックして、美味しいかどうか判断して食べたりする。 缶詰のみかんをスプーンですくって食べるより、このように自分の触覚も使いながら食べた方が美味しかったりするものだ。

う一つバリ人の習慣?で身についてしまったものがある。 マングローブや田園を突き抜けるバイパスを車で走っていると、タクシーの運転手やバイクで移動する人が、路肩に駐車して、立ち小便をする姿をよく見かける。都会ではまず、見かけない光景だ。 大きく広がる田圃に向かって小便を放つその傍で、牛の親子(バリ島の牛は表情が可愛い)が、のんびりと草を食んでいるその光景は、人間と自然との一体感を妙に感じさせる。 都会にいると、人間が全てをコントロールしているような錯覚に陥りがちで、「人間 対 環境」、「人間 対 他の動物」、 というように人間を中心に全てを考えがちだ。 しかし、こういう光景を眺めると、人間は自然の中の一部であるということを再認識させられる気がする。 僕も家にいる時は庭で用を足すことが多くなってしまった。なんかその方が気持がいいし、植木の為にもなっているのではないだろうか。



る日、バリ島へ遊びに来た友人達を、いつものように夕食は有名なビーチサイドのシーフードレストランへ連れていった。 そこの味は美味しい事この上ないのだが、トイレがあまりきれいでないので、ちょっと女性はかわいそうだ。しかもトイレは男女兼用ときている。

僕は食事途中、トイレに行こうとしたが、混雑していたので、ビーチで用を足そうと、砂浜に出た。 大海原に向かい星を見ながらの小便は気持ちがいい…などと余裕を持ったのもつかの間、向かい風が意外と強く、おしっこが戻ってきて僕のパンツを汚すではないか。 あわてて180度向きを変え海を背にしたら、今度は真っ暗だった30m先の駐車場の車が突然エンジンをかけ、ハイビームのヘッドライトで僕の方を照らす。 バカヤロー!ライトを消しやがれ! 急いで海に向きなおすと、自分に戻ってくるし、また反対に向けばライトに照らせれるし…… 行き場を失った僕は股間に手を当て、がに股でぐるぐる周りながら、しまいには砂浜に足をとられてすっころんでしまった。 おしっこまみれ、砂まみれ……そしてライトは消え、幕は閉じた……俺っていったい…・・

めば住むほど、知らず知らずのうちにバリ人の習慣が身についていくようだ。 習慣とは、その地に根ざしたものだから、基本的にはその習慣はその地においては合理的であることが多い。 また、「行為」の習慣だけでなく「考え方」の習慣、言い換えれば事象の捉えかたまでもが、誰から教わるわけではないのに、バリ人との触れ合いのなか、また この南国の大自然に接するなか、僕の心の中で自然と変化しているような気がしてならない。

(2000.7.4)

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