■かまいたちの夜リレー小説篇とは

ゲーム「かまいたちの夜」に登場する人物で、ペンションシュプールでの出来事をリレー小説にしてみようという企画です。

 

「かまいたちの夜リレー小説篇」 ログ

  「さっきの悲鳴なんだったんだ!教えてくれ。」
言いたくなかったでも言うしかなかった。
「死んでいるんです。」
「は?」
みんな目を丸くする。
「俊夫さんが死んでいるんです。」
僕はついに言ってしまった。
「えっ?」
めがねの子が言う。
「またなの?」
髪の長い子が言う。
「殺されたの?」
ちょっと太った子が言う。
「はい。」
僕はいった。その時テレビの音が聞こえてきた。
「次のニュースです。去年長野県×××市シュプールというペンションで殺人未遂でつかまった田中一郎容疑者が今日長野県内の刑務所から脱獄しているのが見つかりました。これについて長野・・・」
「なっなんだってぇ!!」

  脱獄した田中さんが俊夫さんを?去年果たせなかったことを、同じ日に同じ場所で?
その時、小林さん、真理たちが大広間の方にやってきた。
「みどりさんは?」
僕はみどりさんの姿が見えないのでたずねた。
「俊夫さんが殺されたショックで、自分の部屋で寝込んでるわ。あら、そちらの3人は?」
さっき来た3人の女の子の方を向いて真理は言った。
「ああ、この子たちは、去年もくる予定だったけど、吹雪でこれなくなって。それにあんなことがあったから…この子たちも無料招待だよ。」
と、小林さんは言った。
「そう、早くでようと思ったんだけど、ナイターもあったし、夢中になっちゃって。すごい吹雪だったから、また駄目かと思いました。」
そんなことを言いながら僕達は自己紹介をした。髪の長い子が渡瀬加奈子、めがねが河村亜希、太めの子が北野啓子さんということだった。自己紹介がすんだころ、僕は報告しなければいけないことを思い出した。
「小林さん、電話線が切断されているんです。それに…田中さんが脱獄したそうです!」
  「な・に・!?田中・・さん・が?」
え?僕の気のせいだろうか。いつもこういうときに限って冗談を言う
小林さんにはめずらしいほど真剣な表情だ。
「小林さん!?」
と思わずその表情を覗き込んだ。
「え?あ、あーそうだ警察だな?よし僕が町まで行ってこよう。」
我にかえったようだ。
「それが吹雪がひどくて運転できないそうなんです。」
僕は言った。
「そうそう。無理よ。」
渡瀬加奈子。髪が長く挑発的な格好をしている。
「私でさえやっとこだったんだから。」
運転には相当自身があるようだ。
「いや大丈夫です。伊達にシュプールなんてぇペンションやってぁいませんよ。」
さっきの表情は気のせいだろうか。
小林さんはいつもらしくちょっとふざけた感じでそういうと
さっさと外出の準備を始めた。

  やはり外はすごかった。
「やっぱりやめませんか?」
僕は言った。
すると美樹本さんが
「ここは若い奴が行こう。僕が行くよ。」
若いか?と僕達は思いながら彼に頼む事にした。
「ブロロロロロ。」
「では行ってきます。」
そう言って美樹本さんは行ってしまった。
その時
「きゃぁぁぁぁぁ。」
悲鳴が聞こえた。
「真理!?」
僕は走った。
すると真理はみどリさんの部屋の前にいた。
「どうした?」
「みどリさんが・・」
部屋をのぞくと・・・
みどリさんが死んでいた。
「!!」
  「みどりさん・・」
真理は血の気の引いた顔でみどりさんを見ている。
「どうして・・」
みどりさんの手には鉄アレイが握られていた。
頭からは大量の血が流れている。
自殺か・・ん!?鉄アレイ!?
「どうして鉄アレイなんかで・・」
僕は思わずそうつぶやいた。
すると

  「田中よ・・・田中一郎が来たのよ・・・」
春子さんが、振るえながらこちらを見ていた。
「みどりさんは、自殺に見せかけて殺されたのよ。そうよ、俊夫さんを殺したから、僕と付き合えとか言ったに違いないわ。それで、断られて去年と同じ様に鉄アレイで!」
そういって、春子さんは床に倒れこんだ。
「春子、ちょっと部屋で休もう。」
香山さんが春子さんに肩を貸して、部屋に戻った。
「わ、私帰る!まだこの辺に殺人鬼が潜んでるんでしょ!田中一郎が!」
OL3人組の一人、啓子が言った。
「まだ、田中さんだって証拠はないですよ。」
僕は言ったが、
「じゃあ、誰が?みどりさんが俊夫さんを殺して自殺したって言うの?遺書は?」
「ちょっと皆さん、冷静になりましょう。遺書か何かないか、部屋を探しましょう。」
真理は皆をなだめた。このペンションで2人も殺されたのに、真理の冷静さには少々驚いた。
「透、しっかりしてよ!こういう時こそ冷静にならなくちゃ。」
真理は僕に小声でそういった。そうだ、冷静にならなくちゃ。真理に馬鹿にされてしまう。
こうして僕たちは、みどりさんの部屋を調べることになった。
  「ちょっと!これ・・」
加奈子さんが何か見つけたようだ。
「それは・・・」
「鉄アレイ?」
真理が不思議そうな表情で答えた。
また鉄アレイだ。
僕はみどりさんの手にあるものを確認した。
どうやら同じもののようだ。
すると小林さんが思い出したように言った。
「あれ?そういや俊夫君いつだったか部屋に鉄アレイがあるっていってたな。みどりちゃんの部屋にも同じものがあったのかぁ。」
え?俊夫さんの部屋に?僕は驚いた。
「じゃあみどりさんは俊夫さんの部屋にあった鉄アレイで自殺したってこと?」
真理は怪訝な表情で小林さんを見ている。

  みんなは大広間へ行った。
でも僕達(僕、真理、小林さん)はここにいることにした。
「う〜ん。・・・!!」
僕は考えた。
「真理。この部屋に鍵は?」
「かかってなかったわ。」
「・・・・・犯人は田中一郎じゃないよ。」
僕は言った。
「えっ?」
みんな驚いている。
「田中一郎が犯人だとしたら窓は開いている。しかしこの部屋の窓は開いていない!!」
僕は決まった。と思いながら言った。
「でも玄関から・・・」
真理が反抗してくる。
「玄関からはだめだ。僕達がいたからな!」
今度こそ決まった。
「あっ!!」
「でも他の部屋から・・」
「それも無理だ。窓が開いてたらこの大雪が部屋に入る。しかしこの廊下をみる限りそんな事はないさ!そのうえこれは自殺じゃない。殺人だ。首のところを見ろ。ロープのあとがある。これで殺したんだ!!」
そう言って僕はクローゼットの中を開けた。もちろんそこには長いロープがあった。

  「そろそろ戻りませんか?」
真理が言う。
「そうだな。」
小林さんが言う。
僕と真理と小林さんはみんなが待っている大広間へ向かった。
「あれ?」
大広間につくと今日子さんしかいなかった。
「あの子達は?」
「トイレに行きましたよ。」
「トイレ?」
すると三人はやってきた。
「すごい殺され方でしたけどやっぱり・・・・」
啓子ちゃんだ。
その時・・・・・・
「どぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん。」
すごい音がした。
「外だ!!」
小林さんと僕は外へ向かう。
すごい吹雪だ。
「おい。透君あっちに火が!!」
その方向を見ると確かに火がのぼっていた。
「行ってみましょう。」
そこへ行くと美樹本さんの乗っていった車から火がのぼっていた。
もちろんその中には丸焦げになった美樹本さんがいた。
「・・・・・!!!」

  猛然とあがる火柱を、僕と小林さんは呆然と眺めていた。
車は、大きな木にぶつかっていた。
「透君!もう帰ろう!あんなに黒焦げで、顔の形もわからないくらいだ。美樹本さんは、もう…」
僕達は慌てて外に出たので防寒着は着ていない。早く帰らないと、僕達は凍死しかねない。
美樹本さんは、この吹雪で視界が閉ざされ、運転をあやまり木にぶつかったのだろうか。
命からがら、僕達はなんとかペンションにたどり着いた。

雪まみれになった僕と小林さんは、しばらくがたがたと震え、話せる状態じゃなかった。大広間で、今日子さんが入れた、暖かいコーヒーを飲んで一息ついたとき、小林さんが口を開いた。
「美樹本君が、死んでいた。」
大広間に集まったみんなは息をのんだ。
「でも、あれは事故だと思う。木にぶつかっていた。あんな吹雪だったんだ…あのとき、俺が行くなんて言わなければ…」
小林さんは、自分を責めていた。
「誰かが、美樹本さんの車に細工をしていたとしたら?ブレーキが利かないようにしたとか。だとしたら、遅かれ早かれ運転した時に…」
僕の言葉が言い終わらないうちに小林さんは、
「どうして美樹本君を殺す必要があるんだ?一体いつ細工する時間があったんだ?当て推量もほどほどにしてくれ。」
僕は返す言葉がなかった。あの現場をしっかりと検証できたわけじゃない。ただ、木にぶつかって燃えている車を見ただけ…でも、何か違和感を覚えたんだ。

「これから、どうするんや?町に警察呼びに行った美樹本君は、死んだんや。電話も通じない。透君の推理からすると、犯人は田中やない、このペンションの中に犯人がおるっちゅうことやな。」
椅子に座って僕達の話を聞いていた香山さんが、口を開いた。
  「さて、いったい誰がやったんや?」
ペンション『シュプール』内の人間はいま全員ここにそろっている。
小林さんに今日子さん・・香山夫妻・・OL3人組、そして・・僕と真理。
いったい誰が・・。
推理しろ!でないと僕もそして真理も殺される!

俊夫さんの殺害について考えてみる
去年の事件から考えてみる