「鮭児の時知らずタン」  第21話
「どうして、帰ってきたの…」
 時知らずタンに託した思い。夢。身勝手なのは分かっていましたが、それでも、自分が信じていたすべてが崩れた脱力感がお姉さんを包み込みました。
 時知らずタンはお姉さんの枕元に座り込んで謝りました。
「ごめんなさい…。お姉さん。私もみんなと同じように走れませんでした。ごめんなさい」
「それなら、せめて私のところに帰ってこなければ…。せめて、自分勝手でも…、私は…」
 最後まで声にならなくて、こらえきれなくて、お姉さんは子供のように泣きました。
 お姉さんにかける言葉が見つからなくて、時知らずタンはただ、泣きじゃくるお姉さんを見ている事しかできませんでした

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