「鮭児の時知らずタン」  第21.5話
 イルカの子がどれだけ走り回ってもお母さんは見つかりませんでした。走り疲れて立ち止まると足下に穴の開いたボールが落ちていました。なんとなく、イルカの子はボールを手に取りました。
「はじめまして、ボールさん。私は…、ごめんね。まだお母さんに名前考えてもらってないの…」
 イルカの子はまた泣きそうになるのを我慢しました。
「ボールさんも名前あるのかなぁ。ボールさんなんてお名前じゃないよね。…そうね、ウィルソン。ウィルソンなんてどうかしら」
 イルカの子はウィルソンと名付けたボールに色々な事を話しました。それが現実逃避だということも理解できましたが、それでも話し続けました。
「おなか空いたねぇ。ウィルソン…」

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