「鮭児の時知らずタン」  第50話
「鮭か…、何のよう?」
「何してるの?」
 あまり感情を感じさせない声でお姉さんは聞きました。
「もうすぐ死ぬところよ。なかなかいい人生だった」
「どうして死ぬの?老衰じゃないよね」
「いささか、食べ過ぎたみたい。今までも沢山食べてきた。これからもそのつもりだった。でも、やりすぎたみたい」
「貴女は私の仲間を食べたわ」
「ええ。そうよ。だから?私は今までと同じように鮭の群れを襲い。食べた。でも満たされなかったから、近くにいたイルカの親子を襲って、母親を食べた。おかげで満たされたし、気分も良かった」
「なら、どうして…」
「ただね、見逃したハズのイルカの子供が、隠れもせず無防備に海の真ん中で暴れてたのよ。たまたまそれを見つけて…。頭に来たのよ。とても。だから、その子も食べた」

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