「鮭児の時知らずタン」  第61話
 その後はふたりでゆっくりと歩きました。お姉さんは時々、時知らずタンを見て照れくさそうに顔を赤くして笑いました。
 多分、お姉さんは本当に優しい人で、はじめて自分に優しくしてくれたのがお姉さんだったから、一緒に歩いていこうと思ったんだろうなぁ…と、顔を赤らめたお姉さんを見て、時知らずタンはそう思いました。
 お姉さんがまた照れくさそうに笑ったから、なんとなく時知らずタンも照れくさそうに笑い返しました。
何だか変な間だな…と思っていると、
「故郷を目指して頑張りましょう!」
と言って同じ鮭があっという間に走り抜けていきました。

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