「鮭児の時知らずタン」  第62話
 それから川に向かって歩いていくと、沢山の鮭が追い抜いていきました。
 ミンナ一生懸命で一心不乱に走っていきました。時知らずタン達は鮭たちに手を振りながら、一歩一歩ゆっくりと前に進んでいきました。そして、大勢の鮭たちが集まっているところまでたどり着きました。大喜びでミンナの所に歩いていく途中、ふとお姉さんが立ち止まりまって、時知らずタンの手を強く握りました。
「あの人がいる…。どこにいるのか、誰だか解らないけど…、あの人がいる!あの人のニオイがする…」
 そう言いながら堪えきれずに、お姉さんは泣き出しました。その涙はとても大きくて綺麗で、だから時知らずタンはお姉さんの手の上に優しく手を添えました。

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