アケボノゾウ化石の発見
1993年2月中旬、多賀町四手の工事現場で工事関係者や地元の化石研究家によって、ゾウの骨や牙の化石が発見されました。3月5日に多賀町の自然誌調査員がこの話を聞き、町教育委員会で緊急の発掘調査を行いました。その結果、2本目の牙の発掘をはじめ多くの骨がうまっていることが確認されました。3月19日から町の教育委員会は琵琶湖博物館開設準備室(現:琵琶湖博物館)と県内の地学関係の先生や学生の協力を得て、パワーショベルなどを使った本格発掘を始めました。この結果、頭の骨を除いたほぼ全身の骨が見つかりました。動物の骨の化石はバラバラで見つかることが多く、一等分の骨がまとまって、見つかることは、日本でも数例しかない非常に珍しいことです。本格発掘の最終段階(4月2日)には、決め手となる待望の臼歯が発見され、このゾウが「アケボノゾウ」であることがわかりました。
→は指
アケボノゾウとは? アケボノゾウは、約250万〜70万年前に生息していた日本固有のゾウです。肩の高さが2m弱と比較的小さなゾウでしたが、からだのわりに大きな牙(今回発見されたもので約1.8m)を持っていました。
今回見つかったアケボノゾウは、日本一まとまった全身骨格で、アケボノゾウのからだの特徴や進化の様子を研究するのに役立つ大切な化石です。
シカもいた
四手からはゾウだけでなく、多くのシカの化石も見つかっています。シカの化石については、その種類や形態について調査中で、今後の研究が期待されます。
くわしくは、「アケボノゾウ発掘記」(多賀町教育委員会発行)に掲載しています。
多賀の自然と文化の館にて1,500円で発売しています。