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ラムサール条約 第6回締約国会議
勧告6.17:特定の締約国のラムサール登録湿地

日本語訳:「ラムサール条約第6回締約国会議の記録」(1996年)より,了解を得て再録.

 英語   フランス語   スペイン語  (以上,条約事務局)    PDF  (環境省のインデックスページ)


第6回締約国会議
ブリズベン,オーストラリア
1996年3月1927日

勧告6.17:特定の締約国のラムサール登録湿地

1. 本会議開催中に800ヵ所を超えたラムサール条約登録湿地の増加を歓迎し、

2. 会議主催国オーストラリア政府が新たに7ヵ所の湿地を登録し、また一連の湿地タイプの代表的な湿地を登録する意図を示したことに特別な賛辞を表し、

3. ブルガリア、コスタリカ、グァテマラ、ホンジュラス、日本、ノルウェー、ポルトガル、イギリス、ベネズエラが、本会議で新しい湿地登録について声明を発表したことに賛辞を示し、これらの湿地の記載及び地図を事務局に寄託したことを歓迎し、

4. バングラデシユ、ベルギー、チリ、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、インドネシア、リトアニア、モーリタニア、ペルー、スロバニア、南アフリカ、スリナム、ユーゴスラビアが、(全体会議あるいは国別報告書において)湿地を新たに登録する意図について声明を発表したことに喜びをもって注目し、

締約国会議は、

(勧告5.1及び関連勧告5.1.1、5.1.2、5.1.3についての声明に関連して)

5. ドイツ政府が提供した、Ostfriesisches Wattenmeer mit Dollart の状況に関する情報、Leybucht として知られる地域で講じられた方策を特に評価し、同地域を引き続きモニタリングするよう勧告する。

6. 釧路会議の勧告5.1で表明された、ワッデン海のガス開発についての懸念に対するオランダ政府の対応を歓迎し、環境を守るため講じられた方策の詳細を示した文書が1995年に条約事務局へ送られたことに注目する。

7. さらにベネズエラ政府の、クアレ湿地での人間活動による圧力を削減する方策が講じられているという声明を歓迎する。

8. ポーランド政府の Middle Vistula を保護地域に指定するための努力を承認し、当該地域がラムサール登録湿地として指定される期待を表明する。

9. ロシア連邦政府が1994年に新しく32ヵ所のラムサール湿地を登録したことを喜び、適切な管理方策が展開、実施されるために手段を講じるよう勧告する。

10. 南アフリカ政府が、「東海岸」として知られる砂丘地帯における重金属採鉱を許可しないという決定を通して、セント・ルシア湿地の生態学的特徴を維持するために講じた方策を心より祝福するとともに、将来的には再び採鉱許可が申請される可能性があることから、引き続き警戒が要求されることに注目する。

11. トリニダード・トバゴのナリバ沼沢地での「管理ガイダンス手順」の効果的な適用に注目し、「管理ガイダンス手順」と、それがナリバの問題に独立した見方をもたらした価値に関する同政府の声明を歓迎し、さらに同手順報告書の勧告を履行するための措置がすでに行われていることを重ねて歓迎する。

12. ベトナム政府がメコンデルタにラムサール湿地を少なくとも1ヵ所登録し、レッド・リバー河口のティエン・ハイ地域を登録湿地として加えるために必要な手続きを早急に終えるよう、繰り返し要求する。

13. ハンガリー政府がタタ・オレグ=トゥとバラトン湖を年間を通じてラムサール登録湿地としての指定するよう検討していることに満足するとともに、できるだけ早い時期にこの手続きを終了するよう同政府に要請する。

(本会議における特定の声明に関連して)

14. 新しいラムサール湿地を登録する意向を示した締約国に対し、できるだけ早急に実施するよう要請し、さらに困難が生じる場合にはラムサール条約事務局に協力を求めるよう促す。

15. チリのカルロス・アンドワンテル(Carlos Andwandter)登録湿地の生態学的特徴の変化の可能性に注目し、このような変化を避けるために必要な方策を講じるようチリ政府に要請する。

16. モントルーレコードに含まれるパロ・ベルデ及びティグレ潟湖で、それぞれラムサール「管理ガイダンス手順」(かつての「モニタリング手順」)を適用するようコスタリカとグアテマラ政府が要請する。

17. 南アフリカのランゲバーン登録湿地の近くのサルダンハ(Saldanha)で、製鉄所とその関連産業施設の建設許可が決定されたことに注目し、この許可の条件となっている厳重な環境コントロール(水利用の節約、工場の位置の修正、汚染規制)を歓迎し、製鉄工場および港湾施設が近くにあるラムサール登録湿地に及ぼす影響を監視するよう南アフリカ政府当局に対して求める。

18. 地熱発電施設の建設計画中止により、コロラド潟湖登録湿地の生態学的特徴が変化する恐れが取り除かれたというボリビア政府による情報を歓迎する。

19. 地球環境ファシリティーの援助を得た管理計画により、メキシコのリア・ラガルトス登録湿地の状況が改善され、同湿地がモントルーレコードから除かれることが可能となるという情報に注目する。

20. ペルーとボリビアの国境にまたがるチチカカ湖は南米最大の淡水湖であり、地域社会の生活と発展のために極めて重要であり、両国政府によるチチカカ湖保全の努力を歓迎し、国境にまたがる登録湿地指定の可能性を検討するよう両政府に対して求める。

21. ドナウ−エルベ−オデール運河の工事の是非をめぐる討議で、このような運河が下記の3カ国の5ヶ所のラムサール登録湿地で、生態学的特徴に深刻な望ましくない変化を引き起こしかねないという事実を十分考慮するよう、オーストリア、チェコ、スロバキア各政府に要請する。

22. 河川水系の淡水流量の減少により生じたスンダーバン登録湿地の、生態学的特徴の望ましくない変化を修正する緩和策を適用するようバングラデシュ政府に求める。

23. フランスとドイツの両政府当局による、ライン川の上部流域に沿った両岸で同時に指定を行うことによって新しい登録湿地を作るという提案を歓迎する。

24. 自然の水文学的な水系の崩壊により現在モントルーレコードに含められているエバーグレイズ登録湿地の生態学的特徴を復元するため、現在講じられている広範な復元方策に関するアメリカ合衆国の声明を歓迎する。

(本会議における一般的な声明に関連して)

25. 特に干潟を含む新たな湿地をラムサール登録湿地として追加指定することを求めた、第5回締約国会議(1993年、釧路において開催)の勧告5.1に対応するものとして、本会議において「ブリスベン・イニシアチブ」が承認されたことを歓迎する。

26. 「オーストラリア連邦政府の湿地保全政策案」の出版を歓迎する。

27. 不適切な開発事業から登録湿地を保護することを目指し、新たな法制度を制定する予定があるという南アフリカ政府の情報に謝意を示し、同様の法制度の整備という観点から、関心のある他の締約国が南アフリカ政府からこの件についてさらに情報を求めるよう勧める。


[英語原文:ラムサール条約事務局,1996.Ramsar Recommendation 6.17 "Ramsar sites in the territories of specific Contracting Parties", March 1996, Convention on Wetlands (Ramsar, 1971). http://ramsar.org/rec/key_rec_6.17.htm.]
[和訳:「ラムサール条約第6回締約国会議の記録」(奥田直久小林聡史 監修,東梅貞義 編集,釧路国際ウェットランドセンター 発行,1996年;環境省HP収録,2006年)より了解を得て再録,琵琶湖ラムサール研究会,2001年8月.]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]

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URL: http://www.biwa.ne.jp/%7enio/ramsar/cop6/key_rec_6.17_j.htm
Last update: 2007/05/16, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).