決議Ⅷ.15：「サンホセレコード」

「湿地：水、生命及び文化」
湿地条約（ラムサール，イラン，1971）
第８回締約国会議
バレンシア，スペイン，2002年11月18-26日

決議Ⅷ.15

湿地管理を推進するための「サンホセレコード」

１．コスタリカのサンホセで開催された第７回締約国会議（ＣＯＰ７）の決議Ⅶ.12は、ラムサール条約事務局に対し、「サンホセレコード」と呼ばれる記録、すなわちラムサール条約の「賢明な利用の概念の実施に関するガイドライン」の適用の実証モデルとなる管理計画が行われている湿地の記録を本条約が設けることの実現可能性について、科学技術検討委員会（ＳＴＲＰ）の支援を受けて調査し、ＣＯＰ８で報告するよう指示したことを想起し；

２．ラムサール条約湿地の管理について現在行われている検討に寄与し、また管理者にその経験とノウハウを共有することを奨励したいと願い；

３．あらゆる地域の国々の間で、経験による知見を蓄積し共有するプロセスを支援しようと努め；

４．地域社会の全面参加によって管理の改善を進めることの必要性を考慮し；

５．湿地の持続可能な利用を実施するための技術的ノウハウの研修と移転の重要性を同じく考慮し；

６．「サンホセレコード」を創設することが適切であると判断したＳＴＲＰの勧告を考慮し；

締約国会議は、

７．資源が得られるならば、本決議の付属書にある通り、湿地の管理とその運営の仕組みを向上させるための「サンホセレコード」の創設を承認する；

８．「サンホセレコード」の目的は、管理計画を策定するために利用したプロセス、またもし得られるならばその計画のコストについての情報を含め、ラムサール条約湿地及びその他の湿地で実施された効果的管理の事例と模範的慣行に着目すること、また他の実施担当者にとっての手本となり参考情報となるよう、計画、実施内容、連絡先を入手できるようにすることと決定する；

９．サンホセレコードに効果的管理事例と模範的慣行を掲載するための基準は、国のガイドライン、地方の要求事項、今回の締約国会議の決議Ⅷ.14として採択された「ラムサール条約湿地及びその他の湿地に係る管理計画策定のための新ガイドライン」のうちのいずれかまたはすべてに則っていること、またその管理事例は上記ガイドラインを適用し、かつそれを実証していなければならないことと重ねて決定する；

10．締約国に対して、このサンホセレコードの実務的業務の計画と維持管理に自発的に貢献するよう促す；

11．ラムサール条約事務局に対して、ＳＴＲＰの支援を受けて、資源が許す限り、サンホセレコードの創設と維持管理に必要な手順を確立するよう求める；

12．締約国、ＳＴＲＰ、各国の広報教育普及啓発担当窓口、ラムサール条約の国際団体パートナー、ラムサール条約湿地の管理者及びその他の組織に対して、ラムサール条約湿地及びその他の湿地における効果的管理事例と模範的慣行をサンホセレコードへの掲載に向けて特定し、確定後は定められた手順を踏んで、記載申請を提出して審査を受けるよう奨励する；

13．ラムサール条約事務局に対して、ＳＴＲＰの支援を受けて、サンホセレコードの実施状況を評価し、その成果についてＣＯＰ９に報告するよう要請する。

付属書

湿地管理を推進するためのサンホセレコード