病気

病気とは何か


病気とは→健康でないこと、では健康とは→病気でないこと

これでは「鶏と卵」で堂々巡り、答えになりません。では病気とはどう定義づけするのでしょうか。


  1. 病気とは何か

    病気とは健康でない状態、では健康とは病気でない状態→これでは答えになりません!「鶏と卵」例えば健康診断書というのは「何時までも健康であること」の証明書ではなく、健診した時点での、健診した守備範囲内が正常範囲内にあるという証明に外なりません。診断書を書いた数秒後から体の何処かで癌化が始まっているかもしれないのです。

    1. 1946年WHOの定義

      physical、mental & social に complete wellーbeing

    2. 重松(公衆衛生院)の定義

      1. 身体的、精神的に異常のないこと。社会的にも正常あるいは優れた状態にあること。
      2. 長寿であること。
      3. 身体的およぎ精神活動力、作業能力の高いこと。
      4. 形態学的特長、生理的特長の優れていること。
      5. 環境に対する抵抗性、順応力が強く、小児では発達が順調なこと。

    3. 白石純三(阪大健康体育部教授)の定義

      健康とは、階層をもった有機体システムとしての人間が宇宙システムを統合し、調和を保ちながらネゲントロピック(負エントロピー)に自己実現して行く状態である。カオスでない フリーラジカルでない

    4. 格言

      Orandum est ut sit mens sana in corpore sano。
      健全なる精神は健全なる肉体に宿る。

    5. 私(開業医)の主張

      1. 病気や痛み等の症状には個人差がある
        →A君には痛くてもB君には痛くない等症状の閾値(堪え方)が違う
        →病気の閾値が個人によって違う。
      2. 他覚的に病気である
        →検査値に異常があって病気だと診断しやすい
      3. 自覚的に病気である
        →自分の訴え(自覚症状)だけで病気だと診断しにくい
      4. 治癒の判断
        →他覚的か自覚的か→精神疾患の治癒とは?
      5. 病名と治療
        →経験的、統計的、普遍的が良い

  2. 人間とは何か。人体の定義

    1. 生物と無生物の相違
      生物は子孫を残す。生と死がある。生長する。

    2. 生物と無生物の間にいるウイルス
      生物的特徴→子孫を作る 無生物的特徴→結晶になる

    3. 人間を形成する最小の単位→
      電子・陽子・中性子・中間子→原子→分子→蛋白質→細胞→組織→器官→人体
      結局人体は電子.陽子・中間子を形成する最小の粒子(生物か無生物か?)の集合体である。

    4. 生命とは何か

      生命を形成するのも最小の粒子からなるのか。そして死とは最小の粒子を動かしていた意思の死が細胞の死に至り、組織の死に至り、器官の死に至り、最終的に人体の死になるのか。
      逆に生命あるいは最小の単位の粒子を動かす意思も、最小の単位の粒子からなるのか。
      そしてその最小の単位の粒子と遺伝子との関係は?

  3. 病気の分類(病理学的)

    1. 症候群

      風邪症候群、頚肩腕症候群など、原因は多々あると思われるが、同じ症状が出る一群の病気を症候群という。

    2. 外傷→物理的原因による疾患

      交通事故・落下事故・銃創・切創・刺創 ・咬傷・火傷・ 凍創・電撃創・潜函病・溺水・日射病・放射線障害等がある。

    3. 奇形→先天性(生まれついてのもの)

      染色体奇形(ダウン氏病)・組織奇形(アミロイドージス)・臓器奇形(馬蹄腎)・個体奇形(ベトちゃん・ドクちゃん)

    4. 寄生虫症→目に見える虫が体内に寄生する病気

      虫→回虫・吸虫・条虫・蟯虫・ジストマ・(アニサキス)・蚤・虱・南京虫・壁蝨(寄生虫)
      同じ寄生する生物でも目に見えないと感染症といわれる

    5. 感染症伝染病

      原虫の寄生→つつが虫・マイコプラスマ・トキソプラスマ・クラミディア
      細菌の寄生→結核・コレラ・赤痢・破傷風・溶連菌等。→伝染病
      ウィルスの寄生→麻疹・風疹・ポリオ・水痘・流行性耳下炎 ・A〜F型肝炎・インフルエンザ・エイズ等

      原虫や細菌、ウィルスが人体内に住み着き、子孫を増やしていくのを感染症といい、感染した状態を炎症という。炎症には2つの型がある。

      1. 特異的炎症
        →特異な細菌や原虫によって引き起こされる炎症で多臓器に及ぶ。 結核・梅毒等がそれに当たる。

      2. 炎症(…炎)
        →細菌の感染によって臓器が炎症をおこす。
        腦脊髄膜炎・肺炎・肋膜炎・膵炎・胆嚢炎・胃炎・大腸炎・腎盂炎・膀胱炎・結膜炎・中耳炎・扁桃腺炎・鼻炎・副鼻腔炎・膣炎・皮膚炎 等がそれに当たる。

        最新情報!:ヘリコバクターピロリ→胃粘膜に寄生する細菌で胃潰瘍と胃癌の原因と言われる。→胃潰瘍と胃癌は感染症か?

    6. 循環障害

      管腔の内部が閉塞又は破裂した事によって生じる疾患
      管腔→消化管(食物が通る管)・脊髄神経管(脊髄液に充たされた脳・脊髄を収めた管)
      →胆管(胆汁が通る管)・尿管(尿が通る管)・腺管(外分泌が通る管)
      →血管[動静脈](動静脈血が通る管)・リンパ管(リンパ液が通る管)・その他

      閉塞する原因は以下が考えられる。

      1. 内腔の壁が肥厚して詰る→コレステロールの沈着→脳硬塞・狭心症・腎不全の原因
      2. 内腔に異物が詰る→血栓・塞栓・気泡・石→胆管結石・尿管結石
      3. 内腔に新生物が出来て詰る→癌→食道癌
      4. 外部から圧迫されて詰る→癌→膵頭部癌

      破裂の原因→動脈瘤の破裂が多い→クモ膜下出血
      胸部大動脈瘤・腹部大動脈瘤の破裂→即死

      臓器の中にはバイパスの出来にくい箇所がある(腦動脈・冠動脈(心臓}・腎臓細動脈・大腿動脈等)そのような所で動脈が閉塞すると、養っている組織の壊死が起こり、組織の機能不全が起こり、その組織が人間の生命維持に必要不可欠な組織であった場合は、人間は死を迎える。

      動脈の閉塞・破裂による疾患

      1. 腦動脈→腦梗塞・腦出血・硬膜下出血・くも膜下出血(腦卒中・腦軟化)
      2. 冠動脈→狭心症・心筋梗塞・虚血性心疾患
      3. 腎臓細動脈→糸球体不全→尿毒症(→透析・移植)
      4. 大腿動脈→バージャー病(壊疽)
      5. その他:肺梗塞・上腸管動脈閉塞

      閉塞を促進する因子→高血圧症

      1. 一次性高血圧→本態性高血圧→家族性・遺伝性
      2. 二次性高血圧→他の病気によって引き起こされる高血圧症→腦圧亢進・腦幹障害、大動脈狭窄、腎動脈狭窄、
      3. 褐色細胞腫、原発性アルドステロン症、腎周囲炎、糸球 体腎炎、腎盂腎炎、妊娠中毒症

      血圧の復習

      1. 最大→心臓の収縮期圧→165以上高血圧症
      2. 最小→心臓の拡張期圧→95以上高血圧症
      3. 年令差・個人差がある
      4. 一日の内絶えず変動する

      循環器系:心臓をポンプとして循環している閉鎖された管腔(心臓→動脈→組織→静脈→心臓)器官jであるから、以下に掲げる要素が高血圧になる原因となる。

      1. 循環血液量が増加する
      2. ナトリウムの貯留、レニン・アンジオテンシン系の亢進
      3. 末梢(組織)の血管抵抗の増加
      4. 動脈硬化、細動脈の硬化、血管の収縮性の亢進
        動脈硬化は血管内腔狭窄、血液粘性の増加、血管弾力の低下を来たし、血圧を上げる。原因は老化現象にある。
      5. コレステロール(LDL)血症
        →悪玉[LDL](血管の壁にごみをくっ付ける)と善玉[HDL](悪玉の付けたコレステロールを拾う)がある。悪玉は少なく、善玉は多い方が良い。

      血圧を下げる

      1. 循環血液量を減らす→利尿劑で利尿する
      2. 末梢血管圧を下げる→薬で抹消血管を拡張する

    7. アレルギー疾患

      抗原が口、気道、諸穴、皮膚等から体の中に入ると体の内部に抗体が出来る。後に再度抗原が体内に入ると、抗原抗体反応が起こる。これをアレルギー反応といい、アレルギー反応で起こる病気をアレルギー疾患という。

      予防接種も一種のアレルギー反応で、予防接種によって免疫抗体が体内に出来、たとえ病原菌が入っても免疫抗体が抗原である菌を不活化して、感染を予防する。

      疾患名

      アトピー性皮膚炎(?)・小児喘息・蕁麻疹・喘息・花粉症・接触性皮膚炎・偏頭痛等。
      薬剤アレルギー・ショック→薬の副作用

    8. 内分泌障害

      内分泌腺とは腺管の導管を持たずに血中に直接ホルモンと呼ばれる生体の機能を調節する化学物質を出す腺組織を言う。下垂体、甲状腺、上皮小体、副腎、膵臓(ラングハンス島より出るインシュリン)、性腺、松果体、胸腺 などがある。良く知られた内分泌障害の病気に糖尿病がある。

      糖尿病

      インスリン作用の不足により起こり、それはインスリン分泌の低下、インスリン情報を受ける能力の低下、細胞内インスリン刺激情報伝達の異常等の原因による。だから糖尿病は種々の原因によって起こる症候群とも言える。

      遺伝性はある。→糖尿病体質の遺伝

      分類

      1. インスリン依存型糖尿病(IDDM)

        ケトアシドーシス起こしやすい、治療にインスリンを使用する。原因は膵β細胞の機能不全による絶対的インスリン不足で、全糖尿病患者の0。5〜1%にしか過ぎない。

      2. インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)

        食事及び運動療法が主となる糖尿病でケトアシドーシスは少ない。膵のインスリン分泌は保たれているが、組織のインスリン抵抗性が増加して起こる糖尿病で、肥満があるか、あった例が多く、40〜60%の例で家庭内に糖尿病を見い出せる。2型糖尿病とも呼ばれる。

      3. 妊娠糖尿病、栄養摂取不全関連糖尿病など。

        糖尿病自体が致命的な病気ではないが、合併症が問題

      合併症
      網膜剥離→失明の恐れがある。眼底写真で診断する。
      糖尿病性神経障害→手足のしびれ
      多発性知覚神経障害→多くは下肢末端に生じる対称性の知覚障害→末端潰瘍
      自立神経障害→起立性低血圧、排尿障害、インポテンス
      腦神経障害、筋萎縮など
      糖尿病性腎症

    9. 悪性新生物

      細胞が無目的に新生し続けていくのを悪性腫瘍と言う。遂には正常な細胞を押し退けて悪性腫瘍細胞だけが巨大に増殖して、機能障害を起こして死に至らしめる。リンパ節、血管、腔内から転移して転移先でも増殖を繰返す。→正常なDNAでなく少し短いDNAを無限にコピーして行く。
      外胚葉由来→癌
      内胚葉由来→肉腫
      血液→白血病
      生き延びる秘訣は→早期診断早期治療→成人病検診
      症状の無い内に健診で見つければ治る→早期胃癌の5年生存率は95%以上。

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