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バリ島のポリスマンの見た目はかっこいい。ベージュの上着に茶のパンツ。褐色の肌に良く似合う。 大きな交差点にはほとんどポリスマンがいるので、道を聞くのには極めて便利であり、彼らもまた親切だ。ポリスに限って言えば日本も香港もバリも総じて親切と言えるだろう。ただ、違反を犯したときの対応は大分違ってくる。
僕が最初に車を運転している際にお咎めを受けたのは、交差点で停止線を1メートルほどオーバーして停車したときだった。 僕の国籍を判断しているような目つきで右の方からポリスマンが近づいてくる。華僑系インドネシアン?台湾人?日本人?と探っているような目つきだ。取り敢えず英語で違反の旨を告げられ、交差点にある交番へ向かう。
交番といっても日本のように立派ではなく1メートル四方程の小屋だ。その小屋にはコカコーラの宣伝が大きく掲げられており、交番には見えない。どこの交差点の交番に行ってもコカコーラの宣伝だ。コカコーラの宣伝部も交差点の一番宣伝効果の高い目立つ場所をよくも見つけたものだ。さすが世界のコカコーラ!
「あなたは交通違反をした。」
「わかってます。」
「本来ならチケットをここで切り、君はデンパサールの裁判所へ行って罰則金を支払い、またここへ戻ってこなければならない。」
「…………」
「それでは君が大変だから、私が代わりにここで罰則金を受け取り、あとは書類を回しておいてあげる」
「???別に裁判所に行くことはいといませんけど。自分で支払ってきますよ。」
「いや、だから、今、君がここで払えば、後の事はこちらに任せておけばいいって!!」
なるほどそういうことか。結局そこで罰則金を支払ったが、その罰則金は果たしてどこに行ったのだろうか。彼の夕食代?子どもへのプレゼント?この物価の安いバリ島で、この様な罰則金は一種の間接税と思うようにしている。
2回目の経験は信号無視の時だ。バリ島の交差点は通常赤信号でも左折はOKの場合が多い(左折は常にOKという意味)。 左折すると短い助走ラインがあり、うまく本線と合流できるようになっており、非常に合理的な作りで、最初の頃は感心してしまった。
また、常に左折OKでない交差点では、左折専用の信号が設置されている。 違反を後者の信号がある交差点で犯してしまった。左折の信号が赤だったにもかかわらず、いつもの癖で左折したところポリスマンに止められた。
話しの内容は前述のポリスマンのときとさほど変らない。しかし最初は高圧的だったポリスマンは話しをして行くうち、だんだんと穏やかになってきて、私がお金を今日は持ってない旨を告げると、笑いながら今度から気を付けるようにとの事で、何のお咎めも無しだった。
どうなっているのかな???見逃してくれた事に感謝し、深々とお辞儀をしてその場を後にした。
この柔軟な態度、悪く言えばいい加減な態度がバリ島では随所に見られる。これが僕がバリをバリ人を好きになる一つの理由かもしれない。 仕事上で言えば、納期にしても品質管理してもとても意識が低いが、ここにいるとそんな細かい事を気にしている事がおかしく感じられるので不思議だ。
日本ではお客様の要望を満たす為、際限のないサービスをする事になり、ストレス病に陥ってしまう日本人が多い。しかし、バリ島ではお客様第一という考えがそもそもないので、皆のんびりして穏やかだ。きっと日本も高度成長時代以前の田舎はこんな感じだったのだろうか。
もうすぐバリ島の新年だ。皆お正月の飾り付けで忙しくしている。
(1999.3.13)
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