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元朗の裏道を歩いていると、LPを聴く為のターンテーブルの中古品を店頭に並べている店を発見。僕は思わずその懐かしさにしばしそこにたたずんでしまった。
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1989年、初めて香港に駐在員として赴任したとき、会社より「海外赴任手当」という有り難い、使途自由なお金を支給された。自由と言っても、その目的は、生活に必需と思われるものを揃える為だ。例えば炊飯器であったり食器や布団などなど。
独身だった僕は、その赴任手当に自分の貯金を加え、着任早々オーディオ購入に充ててしまった。香港赴任する前まで、会社の独身寮でお世話になっていた僕は、いいオーディオで聴く、というのがその頃の夢だったんだ。
香港は輸入関税がゼロの国で、世界のすばらしいオーディオ器機が、当時、日本よりもかなり値ごろに手に入ったんだ。
この1989年は、レコードからCDへの過渡期だったとはいえ、まだまだ過去の名盤はCDで復刻されておらず、音楽好きにはターンテーブルは必須だった。
日本から300枚以上のLPを香港へ持ってきた僕は、ターンテーブル、アンプ、スピーカーには、こだわって当時としては高品質のものを揃えた。
ただ、まわりの先輩達は僕のこの行動にあきれていたな。そりゃそうだ。そもそも赴任に際しLPレコードを持ってきたり、赴任手当をオーディオ購入に充てるようヤツはあまりいない。
香港のマンションにオーディオが運び込まれ、初めて針を落としたときの感激を今でも覚えている。ボリュームを小さくしていても、今まで聞こえてこなかったような音までを鮮明に拾ってくれる。まるでライブ感覚だ。
時は流れ、1998年に香港からバリ島へ引っ越す頃には、世の中はCD、レーザーディスクが全盛で、すっかりレコードは時代に取り残された存在になっていた。
香港在住の友人Gさんが、レコード300枚を全部買い取ってくれて、全てのレコードとオーディオ器機を香港で処分した。
引っ越し先のバリ島では、DVDも視聴できるミニコンポを購入し、それが我家のAV(audio visual)生活を満足させていた。
そして再び2011年に、バリ島から香港へ引っ越す頃には、時代はipodに代表されるように、音楽はハードディスクに保存される時代になりつつあった。だからミニコンポももう使わないので売ってしまい、香港へ持ってきたのは小さなipodとipod専用スピーカーだけだった。
AV器機とならんで進化が早いのが通信手段だ。固定電話とファックスの時代が長かったが、インターネットが主流になった現在では、ファックスも固定電話もいらなくなり、携帯とコンピューターがあれば、どこでも仕事ができるようになった。
バリ島から香港に再移住するときには、fax付き電話もバリ人の友人に譲ってきてしまった。
過去の名刺を見ると、その時代の背景が分かり興味深い。僕が社会人になった1983年頃の名刺には、通信手段は会社の固定電話だけしか載せてなかった。それから数年経って、fax番号が加わり、ポケットベルの番号を入れる人も増え、その後、携帯の時代がやってきて、2000年に近づいた頃はメールアドレスも名刺に含まれるようになった。
今では、携帯番号とメールアドレスは必須で、スカイプのIDを載せている人も増えている。逆にfax番号は無い名刺も多い。
香港の我家には固定電話もfaxも無い。必要が無いのであたりまえなのだが、こんな時代が来るとは一昔前までは考えもつかなかった。
それにしても元朗の中古ターンテーブルを売っている店、頻繁に店の前を通るのだが、一台も売れていないようだ。
大体2万円前後だ。
14年前に僕が友人Gさんに売ったレコードは、実はまだGさんがそのまま持っていてくれていたんだ。当時Gさんは僕のレコードが欲しくて買ったわけではなく、困っていた僕を助ける意味で買ってくれたんだ。
どうもすみませんでした。
そして今回、再移住して久しぶりにGさんとお会いし、そのレコード300枚を買い戻すことになった。まだ手元にはないが、懐かしく聴きたいレコードは沢山ある。ここの中古のターンテーブル買おうかな。でもそうすると、今度はアンプも買いそろえる必要があるな。
狭い家だと大変だなぁ。
んーどうしようかな・・・
(おしまい)
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