ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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第12話 リッチなバカンス BackNext

たち家族は平市民。香港にいた頃、安いパックツアーに参加しては、これまた物価の安い国々へ短い期間を利用してよく遊びに行ってた。限られた期間(1週間程)の中で充分に元を取ろうと、綿密な行動スケジュールを立てる。 ゆっくり日頃の疲れを癒すというよりも、慌ただしくその地の観光スポットへ行くことだけを目的とし、そこの良さを充分味わうことなく、行った事そのものに満足を見出したりする。これじゃあまるでオリエンテーションゲームだ。それなりに楽しかったものの、かえって疲れてしまったりする。 休暇も中盤に差し掛かると今度は残りの日にちを数えはじめ、もう何日しか残っていないなどと、嘆くようになる。そして、帰ったらすぐしなければならい仕事を思い浮かべたりし、落着かない。折角の休暇を自分でつまらなくしてしまう。

る日、知人の知人であるフランス人ファミリー3組がバリ島にバカンスへやってきた。 工場経営者、建築家、医者の面々だ。お昼のお誘いの電話があり、早速家族で遊びに行った。行ってビックリ。僕らとはかけ離れたバカンスの過ごし方だ。彼らはホテルに滞在するのではなく、ビーチフロントの高級Villaを一ヶ月借り切っている。 そこはプライベートプールが2つあり、棟もキッチン、ダイニングの棟(これだけでもかなりの大きさだ)、就寝する為の棟、リビングの棟と分かれてあり、庭には噴水もあり手入れも行き届いている。広さも運動場みたいに広い。そして、住み込みメイドが3人。 すっかり場違いなところへ来てしまった僕たちファミリーは、いきなり家賃を聞いてしまったりする。 USD1万/月(約120万円)!!
欧米の物価から見ればこの設備で、メイド付きで一ヶ月120万円は安いだろう。ハワイで同等なVillaはこの値段では借りられない。しかし、この物価安のバリ島では、すごい贅沢だ。
リビングに行くとキーボードや音響器材がおいてある。建築家の彼がフランスから持ってきているそうだ。彼は作曲が趣味らしい。しかし、こんなに重いものをよくもまぁ…・

じ時期に隣のVillaにはオノヨーコさんがバカンスで来ていて、ガムラン奏者を集めては夜な夜な幻想的な音楽に浸っていたそうだ。彼女はフランスでも有名だ。ここバリ島は芸術的なインスピレーションを感じ易いところなのだろうか。ある日本人作曲家も創作する時は日本の喧騒を離れ、バリ島にこもるらしい。 また、バリ島でヨガや瞑想に夢中になる西洋人も多いと聞く。ここの地にあるエネルギーが精神活動を活発にさせるのだろうか。うーむ、僕もそのエネルギーの恩恵に与りたいのだが、今のところあんまり関係なさそうだ。

通り彼らのVillaをネコのように隅々までチェックしビックリし終わった後、プールで一泳ぎ。実際プライベートプールといってもリゾートホテルのプールから見れば規模は甚だ小さい。しかし、自分たちだけしかそこを使わないという事は、大いに贅沢心を満足させる。 彼らは水に浸かったりプールサイドで読書をしたりと、静寂なひとときを楽しんでいる。僕たちも真似してプールサイドに寝そべり空を見上げながら束の間の“リッチなバカンス”を堪能するが、このような楽しみかたを慣れていないので一時間もすれば飽きてしまう。まったく平民はこれだから困る。逆にそわそわ忙しくしていないと落着かないのだ。

の日、今度は夕食のお誘いを受けた。香港からバカンスで来ている日本人家族との約束があったのでお断りすると、一緒に参加しないかと誘ってくれる。有り難いお誘いである。友人をそこの高級Villaへ連れて行ってビックリさせたい気持ちももたげたので、喜んでお誘いを受ける事にした。 このフランス人ファミリーとはまだお会いして2度目なのに、友人家族にはさも旧知の間柄のように紹介してしまう。友人家族はは僕の期待を裏切らず、僕以上にビックリしながら、僕が昨日そうしたようにVillaの隅々をチェックするから笑ってしまう。僕は昨日来ているから余裕を持ってVillaの説明を始め、調子に乗って彼らにバカンスの正しい過ごし方の説教を始めたりする。

「いいか、バカンスはホテルなんかに泊らずに自分たちでこういったVillaを借りて、メイドを雇い、ドライバーも雇い、観光地なんかに行かずに、誰にも邪魔されずにこの自然を満喫するんだよ。」
「だいたい5日間でバリ島を知ろうったって、無理だぜ。やっぱ一ヶ月はいないとな。」

いるんだこうゆう西洋人の過ごし方にすぐ賛同してしまうお調子者が。

燭の火を点し、壁の無いダイニングで波の音をBGMにロマンチックなディナーを楽しみながらふと見上げると、月明かりが椰子の葉の間からこぼれている。何と幻想的な光景だろうか。一瞬時間が止まったような気がした。 誰しもその地における強烈なシーンを脳裏に焼き付かせているが、僕にとってこの夜の椰子の木と月明かりのシーンはバリ島の夕焼とともに忘れられないものとなった。 彼らのバカンスの過ごし方は僕たちにいろんな事を教えてくれた。もし僕にお金の余裕があっても、きっと彼らのように長期のバカンスには費やさないだろう。彼らはお金を時間に代えるが、僕だったらやはり物に代えてしまいそうだ。
今回彼らのバカンスを垣間見て非常に羨ましく思った事は、高級Villaに滞在しているという事よりも、一ヶ月という間、誰にも邪魔されずに自分の好きな事に没頭できるという事だ。日本であれば社長ですら難しいだろう、一ヶ月も会社を空ける事などは。 真の贅沢とは自分自身で時間をコントロールできる事ではないだろうか。彼らと過ごしたひとときがそれを教えてくれた。
(1999.4.12)

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