ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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第23話 朝 BackNext

明けにはまだ早い4時、近所の鶏が朝の静寂を破って挨拶をし始める。 一羽が鳴き始めると360度の方角から、放し飼いの鶏たちが自分の存在を誇示するかのように個性的な鳴き声を次から次ぎへと披露する。 鳴き声に注意して耳を傾けると、それぞれ微妙に違い、鳴き方にも性格が表れているようで面白い。

5時半、朝靄の中、ベッドから起き上がり、家の全ての窓を開ける。最初の窓を開けたときに入ってくる澄み切った空気が僕の五感を十分に刺激する。 あぁ気持いい…軽くストレッチをしてから10分ほど瞑想。そして中村由利子のピアノをBGMにし、e-mailのチェック。 早朝は回線が空いているせいかスムースにネットサーフィンを楽しむ事が可能だ。それを好い事に「久しぶりだから…・」と自分に言い訳しながらアダルトサイトに行ったりする。 何やってんだ朝からまったく。爽やかな朝なのに、また頭がもやもやとしてくる。

6時、娘が起きてきて一緒に庭掃除だ。娘はまず、毎日食卓に飾る花を庭から摘んでくる。ハイビスカスとプルメリア。僕は庭の落葉を集め、家の前の道路の掃除をする。 家内は朝食の準備と洗濯だ(我が家にはお手伝いさんはいない)。番犬のバリ犬二匹も外へ散歩にでかける。牡のケンタは最近彼女が近所にできたらしく、そこへまっしぐらだ。 朝から何しに行くのだろうか。先日は恋敵と彼女の取り合いで大乱闘し、体中血だらけになって帰ってきた。どうやら負けてしまったようだ。 貴重な日本製の塗り薬で手当てをする。それから一週間ほど元気が無かったが、新たな彼女が見つかってからいつもの元気さを取り戻した。



て、朝食だが、我が家では朝の市場で買って来る事もある。市場は4時からオープンし、9時ぐらいにクローズする。年中無休。 よってバリ島の人は日本人のように冷蔵庫に買いだめする必要無く、その日に必要な食材分だけを買い出しに来る。 バリ島へ来た頃、レストランで味わうほとんどのインドネシア料理はチリが効いてる辛いものなので、一体ここの子どもたちは何を食べているのか不思議だった。 しかし、あるある。朝の市場に行けば、こんなに多くの種類のバリ島の食べ物があったのかと思うほど面白いものが見つかる。 市場は体育館ほどの大きさの建物の中に100店以上出店している。市場の外でも自分の畑で採れた野菜などを勝手に道端に並べて売る人でごったがえし、サテー(焼き鳥)をその場で焼いて売る人も現れる。 生鮮の野菜、果物、魚、肉を始め、ココナッツやバナナで作った餅みたいなものや、お粥(RP1000、約20円)なども売っている。 また、生活雑貨も手に入る。要するに、朝の市場はバリ人が生活するのに必要なものは全て揃う「よろず市場」なのである。 また、最初の頃、何故だか朝市がいつも接するバリ島の雰囲気とは違う感じがした。何故だろうと思ったら、市場にはほとんど女性しかいない事に気がついた。 売る人も買う人もみんな女性だ。南国の女性も皆、朝からよく働く。

て、我が家のお気に入りの朝市の店は二つある。
一つは露店のサテー屋さん。3種類サテーのうちサテーイカン(魚のサテー)は絶品だ。10串でRP2000(約40円)。 買い始めて三回程は倍のRP4000払っていたのだが、ある日突然、これからはローカルプライスでいい、と言われ、いきなり半額になってしまった。 この様な場合、以前の僕だったら、それまで倍の価格を払っていた事に対し憤慨するものだが、なぜだかその時は“ローカルな人間”として認めてくれた事に妙な嬉しさを覚え、複雑な心境だった。 サテーイカンは練ったマグロにココナッツやチリ等を加えたものを串焼きにしたものだ。なんでこんなに美味しい味が出るのか不思議だ。家内はこの味付けをマスターしたいと言い続けて一年経つ。 いつ自家製のを食べれるのだろうか…

そして二つ目は、私達の大家さんの奥様の手作りお菓子の店だ。奥様は毎日自宅の離れにある台所で、それらを作っては朝4時に大きなたらいに一杯に入れ、頭に乗せて徒歩で朝市に出かける。 かしわ餅のようなお菓子を始め、米で作った揚げせんべいなど、10品ほど店に並べる。朝市の中でも人気商品で、ちょっと遅い朝7時ぐらいに行くともう売れ筋の餅は売り切れている。 こんなに売れるものだったらもっと人を雇うなり、機械を導入したりしてたくさん作ればいいものを、と資本主義にどっぷり浸かった僕の頭は考える。

かし、きっとそんなことを言ったとしても怪訝な顔をされるのがオチだろう。毎日の安定した収入があるのに、何故、それ以上の収入を無理してまで追う必要があるのだろうかと…・。 そうなんだ。バリ島が先進国と言われる国と違うところは 、この“みんな無理をしていない”というスタンスだ(例外もあるが)。 人よりもお金持ちに、ライバル企業よりも高収益に、を追求していった結果が今の先進国の姿で、なるほど数字上は豊かかもしれないが、みなの顔つきはますます険しくなるばかりだ。 かといってバリ島のすべてに賛成と言っているわけではない。ただ、訪ねて来てくれる友人達は、地元の人の屈託の無いフレンドリーな態度に接すると、みな、何故かホッとするような和やかな気持ちになるようだ。 緊張する必要が無いんだ。今の都会ではそのような気持ちを味わいにくくなっているからかもしれない。
(1999.7.19)

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