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7月19日、バリ島の新学期が始まる。7月に入っても娘を入学させる小学校は決まっていなかった。 小学校を選定するのにいろんな学校を見てまわった。バリ系学校、インド系学校、オーストラリア系学校、などなど。まずはバリ系学校へ見学に行った。そこは一年生から英語での授業が多いとの事で興味を持った。
校舎は日本と同様にコンクリートで3階建てだ。一クラスの定員は40人程度だろうか。机、椅子は日本のようなスチール製ではなく、100%木製である。僕が小学生低学年の頃は二人用の机に上蓋がついているものを使っていた。
木製の手触りはいいものである。僕は木でできていることをいい事に、彫刻刀で名前を彫ったりし悪戯していたが、この学校の机は皆きれいにし、大事に使っているのがよくわかる。
事務室にうかがって話しを聞いた。事務室の調度品も非常にシンプルでまったく贅沢をしていないので好感が持てた。また応対して下さった方が大変に丁寧だったのも嬉しかった。
ただ、一クラスの人数が多いのと、娘が果たしてほとんどインドネシア語の授業について行けるかが心配だ。そこの学校は両親とも日本人の子弟はいない。
次はオーストラリア系私立学校へ。環境は抜群だ。市の中心地からかなり離れた静かなビーチフロントの大きな敷地に、コテージのような平屋の木造校舎がいくつか立ち並ぶ。
なんとなく“寺子屋”という雰囲気だ。一クラスも20人程で丁度いい。先生はオーストラリア人がほとんどだが、授業の半分以上はインドネシア語で行われる。
僕は周りの環境が非常に気に入ったのだが、先生が外国人が多いせいか学費がべらぼうに高い(といってもインターよりは断然安い)。どうりで生徒の大半はインドネシアン華僑の子弟なわけだ。残念!諦めよう。
そして友人が勧める昨年できたばかりの、インド系の私立学校へ訪問。この学校はもともとジャカルタにもある。さすができたばかりで校舎、設備も立派だ。
プールまである。あんまり立派すぎて僕にはちょっと敷居が高く感じる。初訪問したとき、丁度子どもたちを出迎えに来る車で駐車場は満杯だった。車はBMWはじめ、バリ島では高級車といわれるものばかりだ。
僕の車より古い車を探しても見当たらない。ここは慶応?立教? 多少気後れしながら事務室へ訪問する。応対して下さったインド系インドネシア人のマネージャーは流暢な英語を話し、非常に丁寧に相談に乗って下さった。
小学一年のカリキュラムを見せて頂く。合計8教科(こんなに勉強するの?)。その中でインドネシア語での授業5教科、英語での授業3教科。一年生のうちから8教科もあるのか…・・
まるで自分がこの8教科を勉強するような気分になり憂鬱になってしまった。
それぞれの学校は個性があり、ポリシーを持って子どもの教育にあたっているのはよくわかる。 そもそも僕たちのような外国人を対象としてカリキュラムを組んでる訳ではないので、娘にとって大変となるのは当たり前だ。
逆に学校側からしてみても外国人をインドネシア人と同様に教えていくことは大変のことと思う。僕達のような外国人を受け入れようとしてくれるだけでも感謝せずにはいられない。
日本だったら公立私立問わず、こうも簡単に外国人を受け入れてくれるのだろうか。
もし、僕がここバリ島で小学校を作るとしたらどんな風にするだろうか。 自分が勉強嫌いだったから極力必須科目は少なくしたい。インドネシア語と英語と算数だけ。日本語は家で教えるしかない。英語は僕も嫌いだが、この言語は今や世界の共通語となってしまっているから仕方が無い。
また英語と日本語で読み書きができたら、きっと世界の良書の大半は読むことができるのではないだろうか。 上記三科目以外は田んぼで米を作ったり、畑を耕し野菜を作ったり、またそれでインドネシア料理を作ったり、海で珊瑚を観察したり、マグロを釣りに行ったり、夜の授業で星を観察したり、牛の世話や乗馬をしたり、バリ舞踊、木彫り、楽器演奏、サーフィン………バリ島ならではの授業?ができそうだ。
もちろんこんなのに点数付けなんかしない。通知票などは無くす。動物や植物への愛情、アートの素晴らしさ、自然の驚異、美しさを肌で感じるような授業をし、仲間と協力する楽しさを覚え(意味の無い競争は絶対に止めさせる)、なお且つそのなかから本人が興味を持つものを導いてあげれたら最高だな。いろいろと考えが膨らんでくる。
教育方法に関して考えていたら急に最近読んだ本のことを思い出した。「神との対話」A(サンマーク出版)だ。 この本では、今の全世界の混乱から脱出する方法として「子供たちへの教育」の見直しに関して助言している。素晴らしい内容で僕は読みながら鳥肌が立った。そこで言っていることは、子どもには“生きるための概念”を教えなさいと。
覚えたものの答えを出すことに重点を置くのではなく、問いかけることを主眼にせよと。そしてそこで推薦する科目として次のようなものがあった。 「紛争の平和的な解決」「愛情ある関係の要素」「身体と精神と魂」「喜ばしい性的表現」「科学と霊性」などなど17項目。内容は素晴らしいのだが、果たして教えることのできる人がいるのだろうか。
バリ島には霊性やエネルギーの高い人が多いと聞くので、その様な人から教わることができるかもしれない。このような科目は子どもだけでなく大人も一緒に参加したほうがよさそうだ。
沖縄で、20代の女性が小学校から高校まで学校を設立したと何かの記事で読んだ。 その学校は文部省の管轄ではないため、大学受験の資格は得れないが、「個性を尊重」する教育を掲げ、注目を浴びている。
すごいなぁ…この若き女性校長先生のバイタリティー! どのような教育を具体的にされているか知らないが、彼女の勇気と夢に、バリ島にいる僕たちも勇気づけられる。
さあ、もう新学期も間近だ。どこの学校に行かせるべきか早く決めなければ…・
(1999.8.3)
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