ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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第27話 シガラジャへ BackNext

下ろす景色にしばし心を奪われる。 ココナッツツリーが生い茂り、その下に棚田が広がっていく。その先には海が広がっている。木々の緑と澄み切った空の青さのコントラストが目に眩しい。 きれいだな…・ここはバリ島北部で一番大きな街シガラジャから、車で30分ほどの山の中腹。 田んぼとココナッツツリーの壮大な景色を見た瞬間、不思議なことに、何か非常に遠いところへ来てしまった自分を感じた。 日本で自分が生まれ育った場所にもまったく同じ田んぼはあるが、田んぼと共にある景色は松の木であり杉林であり川の土手であった。 だからバリ島で田んぼとココナッツツリーの群集の対比を初めて見たとき、その違和感が異国にいるという自分を一層際立たせたのかも知れない。 また、幾重にも重なるココナッツツリーを遠くから眺めていると、自分と景色の距離感がよくつかめなくなる。 景色がまるでバリ島絵画によくある「細密画」のように二次元的になり、ずっと見ていると頭の中で景色が「二次元」と「三次元」を交錯するようで、目が回ってきそうな感覚に陥る。

田に囲まれる格好で人口数百人足らずと思われる集落が見える。 ここらではインドネシア語ではなく、その地域のバリ語が今でも日常使われている、と同行してくれたバリ人の友人が説明してくれた。 観光とも無縁で、きっと昔ながらの生活様式を守って暮らしているのだろう。

術の村ウブドも、かつてはこんな風だったのだろうか。と僕の大好きなウブド村に想いを馳せる。 バリ島に長く住む友人が言うには、10年前だったら宿も数件だったらしい。 その時からすると世界の観光客で賑わう今のウブドは誰も想像できなかっただろう。 短い期間に急激に新しい技術、物、人などが入り込んだものだからウブドでは過去、現在、未来が混在しているような感じだ。 電話が初めてウブドに引かれたのは10数年前らしく、いまだに電話も無い所も多い。 僕の友人はこの村に工芸品の生産依頼をしているが、電話が無いから、商談は全てそこまで行ってしなければならないそうだ。 その反面、既に街ではインターネットサービスをするところができ始めたりしている。 日本で通信手段としてダイヤル式電話が普及し始めてから、プッシュホンになり、親子電話ができ、国際電話も簡単になり、FAXの出現に驚き、e-mailでのボーダーレスの交信ができるまで50年ほどかかっている。 しかし、ここでは50年前から10年前までの40年間の村の変化はほとんどなく、過去10年間はそれまでの何十倍ものスピードで変化している。 村の人々はこのような変化をどのように捉えているのだろうか。

が観光地としてさらに開発され、ウブドの良さが失われていくと嘆く人もいる(何故か外国人が増えることを外国人が嘆いたりする。) しかし僕が見る限り、そういった心配は無用のように思える。バリ人の生活を見ていると、自分たちに本当に有用なものと、そうでないものの区別をうまくしているように見える。 闇雲に外国の技術や文化に迎合せず、伝統的な生活習慣に従って生きている姿がウブド村の魅力だ。 いまでも習うダンスといえばソシアルダンスではなくバリ舞踊であり、絵画も伝統的なバリ手法、音楽も洋楽ではなくガムランだ。 マクドナルドもケンタッキーも無い。 だからこそ外国人もここへ来て、ウブドに住む人々の昔ながらの生活習慣を尊重して生きている姿に、自分たちには無い、もしくは忘れかけている大切な何かを感じるのかもしれない。

ガラジャからの帰り道、バリに遊びに来た日本人の友人が教えてくれた有名な"笑い話"を思い出した。

魚を釣っている人に向かってある人が話し掛けた。


「何時から釣っているんだ?」

「8時からだけど」

「じゃあ、明日から6時から始めたらどうだ」

「 なんのために?」

「もっと沢山釣れてもっと儲かるではないか」

「そうしたらどうなるんだい?」

「そうしたら今度はボートを買って、人を雇ってさらに儲かるだろ。」

「そうしたらどうなるんだい?」

「そうしたら会社を作って君は社長になるんだよ」

「そうしたらどうなるんだい?」

「君は好きなことをして暮らせるではないか」

「…好きなこと?」

「そうさ、ところで君の好きなことは何?」

「釣りなんだけど…・・」


実のところこの笑い話には笑えなかった。あまりにも大切な事を言っているようで。この作者は本当に"笑い話"としてこの話を作ったのだろうか。

(1999.9.19)

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