ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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物売り

第30話 物売り BackNext

リ島で観光客の多い地域を歩いていると、とにかく声をかけられる事が多い。 まずは観光名物の一つである「物売り」だ。「物売り」の認可をもらっている証拠でもあるブルーのTシャツを着て、大きめなアタッシュケースを持ち歩く彼らは、道行く観光客の前に立ちはだかり突然ケースを開ける。 中身はシルバーアクセサリーであったり、腕時計であったり、ブランド物(本物?)の化粧品であったりする。 僕は最初から彼らから買う気がないので、声をかけられても相手の目を見ないでずんずん歩いていく。 冷やかしで見るのはお互い時間の無駄と思い、ひたすら無視を決め込んでいる。

る日、ヨーロッパ人と思われる人の良さそうなおじさんが、ナイキのロゴ入りの帽子を5個ぐらい彼らから購入していた。 するといつのまにか物売りの仲間たちが数人集まってきて、このおじさんへ次の商品を売ろうと囲んで待ち構えている。 僕はどのように展開するか興味があったのでちょっと離れて観察していた。 おじさんはこれ以上買わないと言っているのだか、最初に帽子を売った男は非常に真面目な顔をして「(仲間の物売りを指して)こいつからも買ってやってくれ、 こいつには小さな子供が3人いて、経済的に大変なんだ」。これを見て思わず笑ってしまった。そのおじさんも苦笑いしている。 「子供が3人いて…」というのは甚だ疑わしいが、僕は彼らの相互扶助精神を垣間見るようで微笑ましい気持で眺めていた。 おじさんはというと何やらしかたなく買い足したようで、すぐに小走りに逃げ去って行った。



実は、このブルーのTシャツを着た「物売り」たちには、クタ地域で会いたくても今は会えない。数ヶ月前に施行された新しい法の規制で禁止になってしまったからだ。 それに加え、レギャン通りで楽しめた屋台も営業を禁止となった。確かにレギャン通りも歩き易くなり、渋滞も多少緩和されるようになったようだが、 いなくなると逆にクタらしさが失われるようでちょっと寂しい感じもする。彼らは今どうしているのだろうか。

て、次なる呼びかけは「トランスポート?タクシー?」とハンドルを持つしぐさをして近づいてくるお兄ちゃん(或いはおじさん)だ。 実際に営業ライセンスを持っているかは甚だ妖しいが、僕の車に乗り切れない時やタクシーが捉まらない時など彼らの世話になることもある。 何故か彼らは髭を生やしていることが多く、価格交渉はまずUSドルで言ってくることが多い。 USドルで言った方が僕らが割安感を感じるとでも思っているのだろうか。

おばちゃんかなかバリ島では一人にさせてくれない。ビーチに行けば今度はマッサージおばさん、マニキュア(ペディキュア)おばさん、三つ編みおばさん、サロン売りおばさんなどなど。 何故かビーチはおばさんばっかり。たまに痩せた初老のおじさんが帆船の形をした凧やビーチボールなどを売り歩いているが、 彼らはおばさんのように積極的にお客さんに声をかけるのではなく、ひたすらお客様から声をかけてもらうのを待っている。 おじさんは寡黙だ。真っ黒に日焼けした痩せた体で、ひたすら凧を揚げている。深めにかぶった帽子の奥から覗くふたつの目はどこを見ているのだろうか。
先日、新手の物売りに出会って笑ってしまった。彼らは「カツラ」を持ち歩いて販売している。 そのカツラは金髪で女性用ではなく男性用だ。そのお兄さん自身もかぶっているが、一昔前のアメリカのアイドルスターのような髪型だ。 こんな暑いバリ島でそんなものをかぶっていたら頭が蒸れそうだ。こういうものは外で売り歩いて売れるものなのだろうか。 観光客で買う人はまずいないだろうし、地元の人で買うとしたらジョークのネタにしかならないと思うのだが…




て、車に乗ったら乗ったで、別の呼びかけが待っている。新聞売り少年だ。彼らは交差点で待ち構えており、赤信号で止まるとすかさず運転席の横にやってくる。 僕の車は冷房がないので常に窓は全開だ。それをいいことに窓越しからハンドルの上にジャカルタポストやバリポストなどメジャーな大衆紙を乗せてくる。 彼らは日本のスポーツ新聞(1-2日前のもの)を持っていることもある。先日、『ダイエー優勝』という見出しが飛び込んできて、ちょっと興味深そうにしていたら、 すかさず少年が「サッマンゴッセン(3万5千ルピア、約500円)」と、ふっかけてきた。「2千でどう?(約30円)」。彼は返事しない。 そうこうしているうちに信号は青に変わってしまった。
交差点にはその他、いろんな物売りが現れる。大統領選挙たけなわな頃、バリ人が強く応援するメガワティ氏の政党グッズ(Tシャツ、旗、ステッカー…)なども販売されていた。 赤い地にバッファローを描いたその政党グッズを見て、日本から来た知人は、バリ島は全住民がシカゴブルズ(NBA)のファンなのかと驚いていた。


度は芸人?だ。ある日、赤信号で止まると、いきなりギターを持ったお兄ちゃんが運転席の横でがなりながら弾き語りを始めた。 かまえができていなかった僕は一瞬何が起こったのか良く分からなかった。 こんなところで弾き語りを始めたって落ち着いて聴いていられないし、なにしろエンジン音(僕の車はディーゼルでうるさい)と周りの車の騒音でよく聞こえない。 しかし、何でまた交差点でなのだろうか。弾き語りを聴かせるのだったら、どこか人通りの多い場所でギターケースを広げて道行く人に聴いてもらうか、 レストランのテーブルを周って「おひねり」をもらうのが普通と思うのだが。もしくはビーチに行って甲羅干ししている観光客相手にするとか… ちょっと聴いただけだったが、お兄ちゃんの実力は僕の『結婚しようよ』(吉田拓郎)とさほど変わりはない感じだ。 実力はともかくとしても、彼の意気込みは少しは買ってあげたい。今度交差点で出会ったら、後ろの座席に乗ってもらって次の交差点までインドネシアのラブソングを数曲歌ってもらおう。 そして僕も日本の懐かしのフォークソングを彼のギターを借りて披露しよう。 日・イ文化交流だ。しかしそれっきり流しのお兄ちゃんには会えずじまいだ。職を変えてしまったのかな。もしくは渋滞の多いジャカルタへでも行って、今も交差点で唄っているのだろうか…



今日もバリ島の海、山、街で、「物売り」と「お客」との間で小さなドラマが繰り広げられていることだろう。 「高い、安い」、「買う、買わない」、「騙し、騙され」、「泣き、笑い」…
みんながハッピーでありますように。

(2000.1.16)

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