ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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第32話 妖しげな夜A BackNext

の店のシステムはと言うと、まずカラオケのある個室は1時間単位で室料が決まっており、女の子をはべらす場合も同じく1時間単位で一人いくらと決まっている。 そして飲食は別料金。非常に分かり易い。相棒のところへ戻ると、彼はニヤニヤしながらしっかり両手に女の子を抱えている。
「おまえの分も選んでやっといたぜ!」って。
バカヤロー、そういうのは大きなお世話っていうんだよ!と二人でガハハハと大笑いしながら4人で部屋へ入った。二人とも既にテンションが相当高い。

 さてと、飲み物が運ばれてきて4人で「かんぷぁ〜〜い♪」。ここで僕らは重大な事に気が付いた。…言葉が通じない… 相棒も言葉が通じないものだから、いきなり「ボディランゲージだ!」とか言いながら女の子の体を触ろうとして怒られている。 彼は勘違いしている、ここはキャバクラではなくカラオケを楽しむ場所だ。僕は会話を楽しもうと四苦八苦だ。
「サヤー(私は)…ぺらぺらぺらぺら(全部日本語)ぺらぺらぺらぺら……YA!」
最後の「YA!」は元気一杯だが通じない(当たり前だ)。そうだ! 数字ならわかるぞ「サトゥ(1)、ドゥア(2)、ティガ(3)……」(チーチーパッパじゃないんだよ)



っきの高いテンションはどこかに行ってしまい、しだいに重苦しいムードが漂い始める。 気を利かせて女の子が日本語カラオケをかけて盛り上げようとする。「上を向いて歩こう」だ。

♪……涙が〜こぼれ〜ないよおおに……♪(本当に涙がこぼれそうだ)
♪ひとーりぼおっちのよる〜♪(いいかげんにしろ!)

相棒は早く「楽しいこと」をしたいらしく、懸命に身振り手振りで口説いている。
「ここじゃなくて、みんなで俺のホテルの部屋で飲み直そう」
「俺のホテルはずげぇロマンチックだぜ」
しかし、女の子たちにあっさり断られ、結局一曲も歌わず、30分でそこを後にした。

う深夜12時を過ぎている。明日は朝6時にフィッシングに出発だというのに。 相棒を送ろうと車を運転中、あとホテルまで3kmというところで運悪く後輪がパンクしてしまった。よりによってこんな真夜中に…。
ジャカルタの方では「パンク強盗」という、故意にパンクさせて金品を略奪する犯罪が流行っていて、最近ではバリ島でも現れるという噂だ。 しばらく車の中で外の様子をうかがっていたが大丈夫そうだ。早速ジャッキを取り出し、スペアータイヤと交換だ。 しかし悪いことは重なるものだ、ジャッキがうまく作動しない。 20分くらい路肩ですったもんだし、あきらめてパンクしたまま徐行して帰ろうと、100mほど進んだら車の修理工場があるではないか。 もちろん真夜中でクローズしているが、その工場の横で3人ほどのバリ人の家族が男ばかり軒下で時間をつぶしている。 ダメもとで、隣りの修理工場のジャッキを貸してもらえないか尋ねた。 一人が勝手に壁を乗り越え工場内に入り、探してきてくれたが、備品は鍵のかかっている倉庫に保管してある為、借りられない。

っていると、そのバリ人のお父さん(45歳くらい?)が子供に何やら命令し、2〜3分のうちに8人くらい若い連中が集まってきた。 皆、目をこすっている。そりゃそうだ、もう夜中の一時近い。何が始まるのか? 僕自身が良く分っていない。 すると、皆がパンクしたタイヤのそばに集まり、ボディを手で持ち上げる 姿勢に入った。えっ!人力で持ち上げるの? 僕が驚いていると「サトゥ(1)、ドゥア(2)、ティガ(3)」(さっき練習済み)の掛け声とともにあれよと後輪を浮かせ、その隙に、どこからか持ってきたホイールをボディの下へ挟み込みタイヤを浮かせることに成功した。
役立たずの僕は見ているばっかりで、月明かりの下、手際良く皆が分担してあっという間にタイヤ交換が完了した。 僕はお礼に先のお父さんに謝礼を渡し、深く御礼を申し上げ、非常に気持ちの良い思いを残したまま帰路についた。

「いやぁー今日はいい経験ができたよ」と相棒。 先のカラオケクラブでの落胆はこれで帳消しだ。彼はバリ人の親切心、相互扶助の一端に触れ、いたく感激している。 そして、どうしてそんな風にになれるか考え込んでいるようだ。 さっき集まってくれた彼ら一人一人の一生涯の収入は、相棒だったらきっと数ヶ月で得ることができるだろう。 しかし、彼らが当たり前としてやってのける、自分の能力を皆で分かち合う(助け合う)という行為は、先進国と言われている国の人間は往々にして苦手ではないだろうか。 どちらが豊かなのか分らない。


「うばい合えば足らぬ、わけ合えばあまる
うばい合えば憎しみ、わけ合えば安らぎ」

相田みつを著「にんげんだもの」より

(2000.3.3)

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