ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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第33話 外見は大切!? BackNext

リ島在住、もしくは長期滞在の日本人と、観光で来ている日本人との区別は比較的簡単だ(特に女性は)。 まずは、ファッション。観光客の帽子の装着率は高く、バッグなどは肩から斜めがけにしている人が多い。 身に付けているものはバリ島で手に入るものとは明らかに違うものだ。 次に化粧の仕方と髪型。特に若い女性のそれは非常にセンスが高い。 僕もしばしその美しさに立ち止まって、バリ人の男たちと一緒に彼女らを目で追ってしまう。 そして目配せだ。観光客は好奇心に満ちた目で周りを見まわしながら歩いているので、すぐに見分けがついてしまう。

そんな身だしなみにうるさい彼女らでもバリ島に長く滞在するにしたがって、だんだんとファッションや化粧に無頓着になってくる人が多い。 そもそもファッションに気を使うのは、その機能性もさることながら、それを身に付けることによって人に評価される(またはされたい)ためである。 僕も香港在住の頃、アルマーニのネクタイなどを締めている時など、友人に会う際、わざとネクタイのブランドネームが見えるように反転させたり、 ポールスミスのジャケットのロゴが見えるように椅子に掛け、「あれっ、ブランドネームがこんなとこに付いてる」なんてわざとらしく言っては友人から笑われたものだ。 しかしバリ島でいくら頑張って、「これが今年の流行の素材!」「ルイビトンの最新デザインはこれ!」とこ言ったところで、 暑いバリ島ではその機能が生かされないし、またバリ人もそういうものに高い評価を与えない。 よってお洒落する張り合いがだんだんとなくなってくるのである。

ちろんバリ人にはバリ人のファッションのポイントはある。冠婚葬祭のときに身に付ける伝統衣装などに個性を表わす。 以前、結婚式に参加する男性のファッションが目を惹いた。 彼はパープルのサテン地に綺麗な花の刺繍があしらっている腰巻きをしていた。彼らはこういった時にお洒落を楽しむのだろうか。

リ島に移住当初、僕の身だしなみはまだ“外国の匂い”がしていたのだろう。 街を歩くと、観光客目当ての物売りたちの商売熱心なアプローチに閉口した。 しかし、徐々にバリ島で買い揃えた短パン、Tシャツを身につけ、肌の色も褐色になり、無精ひげを生やすようになったら以前ほどは声を掛けられなくなった。 鏡を覗き込むと一昔前とは違う自分がいる。以前に比べ頬や首筋がスリムになり、褐色の肌が一層若く見せる(気がする)。 そして無精ひげのせいで、なんとなくアーティストっぽく見える(気がする)。 ミュージシャンかな?それとも画家かな?いいなぁこのワイルドな感じが…フフフ

る本で読んだが、「自分」には三つあるそうだ。自分が評価する「自分」、他人が評価する「自分」、そして本当の「自分」。 僕は自分では気に入った、このアーティストのような感じのままで香港出張した際に、自分が評価する「自分」と他人が評価する「自分」に大きな隔たりがあるのを知ってショックを受けることになった。

 まずは香港空港での荷物検査で、トランクを隅から隅まで調べられた。 こんなことは何度となく空港を利用しているが初めての経験だ。 最初は密輸入の取り締り強化月間か何かなのかと思ったが、そんな事ではないらしい。 僕以外の人はフリーパスで通過していく。どうやらこの税関のスタッフはアーティスト(の真似)の雰囲気を理解しないようだ。

 そしてその晩、友人に会う為にセントラルに向かう途中で今度は警察官に呼び止められ「IDカード」(香港居留カード)の提示を求められた。 3年前に中国に返還されたとはいえ、香港は依然、特別区で、中国人といえども簡単には入境できない。 しかし、「黄金の地、香港」に夢を託し、または犯罪目的で不法に入境してくる中国人が後を絶たない。 どうやら僕はその手の人間に間違われたらしい。警察官は無線で僕のIDナンバーを本部に連絡し照会する。 こんなことも初めての経験だ。この警察官も不法入境者とアーティスト(の真似)の区別がつかないらしい。

 そしてもっとショックだったのは本屋での出来事。バリ島には日本の書籍店は無い。 なので香港に行くと活字に飢えている僕はどうしても日本書籍店に長居することになる。 そこの古い香港人スタッフは僕のことは以前から知っているが、その時には若い正義感に燃える新入社員しかおらず、 僕のそばにツカツカと近寄ってくるやいなや「立ち読みお断りです!」えっ!……言葉を失った。 僕は無言ですぐに床屋へ向かった。アーティストの道は険しい。

流のアーティストや俳優、またスポーツ選手などがどんなファッションをしても「さま」になるし、カッコいい。 長髪にしようが、無精ひげを生やそうが、ピアスを付けていようが彼らがすると違和感がない(アンドレ・アガシのように)。 彼らから発する一流人としてのオーラが外見を超越してるからだろうか。 逆に中身がついていってない人間が彼らの外見を真似したところで、中身が外見に負けてしまって滑稽に見えてしまう。 この香港出張でそれが良く理解できた。

て、我が家の向かいには不思議なおじさん(50歳くらい)が住んでいる。 おじさんが身にまとう物といえば、常にバティックの腰巻きだけ(ターザンみたいだ)。 おじさんはいわゆる文化的な(と僕らが思っている)生活とはかけ離れている。 敷地内は椰子の木やマンゴの木が生茂り、ガチョウや牛、鶏、犬、猫とともに共存している。 家の塀はブロックやレンガではなく、自然の断ち木を拾い集めてきて上手に組み合わせて作っている(小野田少尉みたいだ)。 朝、顔を合わせると大きな声で「パギー!(おはよう)」と笑顔で挨拶してくれる。 たまに我が家の大家さんのところへ来ては勝手に売り物のお菓子を食べ、怒られているが、子供のように「デヘヘヘヘ」と笑ってごまかしている。 憎めないおじさんだ。

 ある日、それまでは挨拶しか交わしたことがなかったおじさんが、いきなり流暢な英語で話し掛けてきた。 その瞬間、僕が常日頃いだいているおじさんのイメージと一致せず、まるで別人のように感じ返事に窮してしまった。 一体この人の過去はどうなっているのだろうか。今度ゆっくりとお話を聞かせてもらいたい。 外見からはうかがい知れない興味深い話が聞けそうな気がする。

(2000.4.10)

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