ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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第34話 遠 足 BackNext

「遠足」と「運動会」。これは僕が小学生の頃の、大好きだった2大イベントだ。 その他「学芸会」などもあったが、この二つのイベントの楽しさに比べれば、足元にも及ばない。 僕は「かけっこ」がそれほど早いわけではなかったが、運動会の持つ雰囲気が好きだった。 スタートラインでの緊張感、親も一緒に友達と食べる昼の弁当、綱引き、玉入れ…・特に僕は先生も生徒と一緒に加わった競技が好きだった。 普段はちょっと近寄り難い「教える」立場にある先生が、生徒と同じ立場になって同じ楽しさを共有できることが僕にとっては嬉しく、急に先生が身近に感じたものだ。

そして「遠足」。遠足には学ぶことも目的とした、どこかへ何かを見学しに行くものと、ハイキングの2種類があったが、僕は断然、ハイキングが好きだった。 僕の育った付近には自然が多く、ハイキングする場所には事欠かなかった。 山の頂上で友達と食べる弁当は格別の味があったものだ。子供は(大人もそうかもしれないが)基本的に自然とともにいることが好きだ。

て、娘が通っているバリ島の小学校で、初めて遠足で海に行くことになった。 床が透明ガラスになっているボート(グラスボトムボート)に乗って、珊瑚礁や魚を見に行くというものだ。なかなか楽しそうだな。 実は娘のクラスメートのお父さんが、ブノア(という場所)でマリンスポーツの会社を経営しており、そのお父さんの好意で、一年生全員(といっても9人)を招待してくれたのである。 親も参加していいという。持つべきものは友達だ。学校に集合した時点から子供たちは大はしゃぎ。 皆の車に分乗し、ブノアの海岸に向かう。着くやいなや、子供たちは我先に水着に着替え、浅瀬の海で遊び始める。 海では、バナナボート、ジェットスキー、パラセーリング、水上スキーなどを楽しむ観光客で賑わっている。

待して下さったお父さんの好意で、その日は特別に親たちも子供たちもパラセーリングを無料で体験させてくれるという(普通は一回USD15)。 しかし、面白いことに男の子達は怖がってやろうとしない。逆に女の子の方が恐い物知らずのようだ。 普段、日本人の女の子を軟派するのに忙しいビーチボーイのお兄ちゃんも、この日は子供に大サービスだ。 子供一人では危険なので、一緒に空を飛んでくれる。娘も空に舞い上がる貴重な経験をさせてもらった。 一生忘れないことだろう。

して、皆で今度はボートに乗って、魚や珊瑚を見ながら海亀の生息地へ向かった。遠くの水平線を眺めていると、一台のジェットスキーが近づいてくる。 操縦しているのは日本人の女の子のようだ。そして座って操縦する彼女の後ろには、バリ人のお兄ちゃんが立った姿勢で彼女の肩につかまっている。 よく見るとお兄ちゃんの股間がぴったり彼女の背中にくっついているではないか。二人を隔てるものはお兄ちゃんの薄いビキニパンツだけだ。

「バカヤロー!うらやましいじゃねぇか、(じゃなくて)恥じを知れ、恥じを!!」

彼女はちょっと緊張しているようだ。その緊張がジェットスキーのスリルからくるものなのか、はたまた背中に触れる「いちもつ」からくるものなのか定かではなかったが… お兄ちゃんは、僕の気持を逆なでするように、笑顔でこっちにピースサインを送ってくる。

「なにがピースだ、バカヤロー!おまえなんか、おまえなんか……ちきしょー!!」

僕の心の叫びは届かない。

亀の生息地に着くと浦島太郎に出てくるような大きな海亀が30匹以上もいて、子供たちは亀の背中に乗ったり、餌をあげたりと大はしゃぎだ。 もしかすると僕自身、生きている海亀を直接見るのは初めてかもしれない。 その日はその他、大蛇を肩に乗せたり、ふくろうを抱いたり…子供たちも大人たちも生まれて初めての経験を沢山させてもらった。

9人のクラスメートはミックスが多く民族はさまざまだ。イタリー、フランス、ドイツ、中国、日本…彼ら彼女らの国籍を越えたつながりが見ていて微笑ましい。 みんなの明るい未来を期待せずにはいられない。 今や日本人も25組に一組は国際結婚だそうだ。今後、様々な分野で情報のボーダーレスが進むに従い、民族との融合も益々進んで行くことだろう。

戸時代、他の藩へ旅することは特別な許可が必要であったわけで、今の海外旅行よりも簡単ではなかっただろう(まさしく藩が国だった)。 逆に未来に目を向けると、国という概念は未来においては、今で言う「県」もしくは「出身地」みたいな感覚になっているのではないだろうか。 そうなったら地球人という、国籍ならぬ「惑星籍」が地球には一つ存在するだけだ。パスポートもなくなる。

遊ぶ子供たちを観察しながらそんな未来が意外と早く来るような予感がした。

(2000.5.6)

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