ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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第42話 お引越しA BackNext

港在住当時は、2度ほど香港内で引越しをしたが、その時は会社からの援助もあったので、引越し専門会社にお願いした。こちらが何も準備をしなくとも、7-8人のスタッフが梱包材を持ってきて、手際よく食器などの割れ物なども丁寧に梱包し、あっと言う間に引越しが完了したことを覚えている。確か、引越し費用は金額的には日本円換算で10数万円だったかな。香港の引越し業者のスタッフは、非番の消防隊員とその時は聞いた。どうりで皆、動作が機敏で、重たいパッキンも軽快に運んでいたような気がする。

リ島には海外発送を専門とするカーゴ会社は大変に多いが、国内の引越しを専門に扱う会社はあるのだろうか。もしあったとしても、僕は節約のためそのような業者を使わないだろう。今度の引越し先は2kmほど離れた場所だ。それほど離れてはいないし、軽トラックで往復すればわけないだろう。

軽トラックを持っている友人(レストラン経営)に相談したら、軽トラと伴に二人のスタッフも派遣してくれることになった。
香港からバリ島に移住した当時は、結構、身軽で来たのだが、2年間バリ島に滞在した間に、いろんな物が増えている。特に移住当初、バリ島で見るチーク材でできた家具の安さに驚き、喜び勇んで、ダイニングテーブル、カップボード、キャビネットなどを買い揃えた。その他、自転車、食器、ステレオコンポ、勉強机などなど・・
それらの物も含め、結局5往復で引越しは完了した。

カミさんと、からっぽになったお世話になった家を掃除し、我が家の番犬2匹を車に乗せた。この番犬二匹(オスとメス)は兄弟で、大家さんの犬が産んだバリ犬をいただいた。
大家さんの犬は非常に体格もよく、近所の犬のボス的存在だった。不審者には激しく吠え飛びかかるので、近所の人からは恐れられていたが、僕たちにとっては大変に頼りになる番犬で、よく押し売りなどを追い払ってくれた。
ただ、体が非常に汚いのには閉口した。バリ人は一日に何回か水浴びをする習慣があり清潔だが、バリ島の犬は汚いのが多い。
しかし、今日でこの犬ともお別れとなると、その汚さも忘れ、体を撫で回してしまう。

そして、最後に大家さんの奥さん(以下イブ)や娘さんたちが僕の車のところまで見送りに出てきてくれた。カミさんがお別れの挨拶をしたところ、突然にイブの目から涙がこぼれ落ち、そのまま泣き始めてしまった。僕はこういった状況が苦手で、
「早く車に乗って!」とカミさんを促し、挨拶もそこそこに車を発進させた。

・・・僕たち家族は涙を流してもらうほどの存在だったのだろうか・・・

僕にとって大家さんは大家さんであり、それ以上でもそれ以下でもなかった。我が家は大家さんに隣接していたが、お互いにくっつきすぎず、かといって疎遠というわけでもなく、程良い距離感を持ってお付き合いさせて頂いたと思う。

ブと僕たちはそれほど会話をしたわけではないが、いつも大家さんやイブが見せてくれる笑顔のお陰で、どれだけ移住当初不安に感じていたバリ島生活が助けられたかわからない。こうして離れてみると、今さらながら、大家さんの家族の存在が大きかったことが身に染みる。

そんな穏やかで優しいイブに、僕は一度大変に怒られたことがある。
ある日、原因はつまらないことだが、昼間、自宅でカミさんと大喧嘩になってしまった。カミさんは泣きじゃくり、それを見た娘も
「ママ泣かないでー!パパ怒んないでー」と言いながらわんわんしゃくりあげながら泣いている。僕は家にいるのも不愉快で、裏口から外に出たら、そこに我が家の異変を察したイブが立っており、凄い形相で僕を睨みつけている。
僕はそれを無視して、頭を冷やすために外にでた。そして暫くして戻ると、まだイブは心配そうに我が家を眺めている。と、そこにはイブだけでなく、どこで知ったのか近所の人たちも皆んな集まってきて、遠巻きに我が家の中をうかがっている。(見世物じゃないんだよ〜)

「もう、大丈夫ですから」僕は無理に笑顔を作って見物に来た皆を安心させ、引き取ってもらった。イブには僕の笑顔は通用せず、相変わらず怒った顔で僕を睨み、バリ語できつく諭された。イブの言う意味は理解できなかったが、そんなことはどうでもいいんだ。大切なことは、いつも弱いものを大切にしなさいってことなんだろうな。理屈など関係無く、イブはいつも弱いものの味方だった。

ブが僕たちの娘を見る眼差しは、祖母のそれであり、カミさんを見る眼は母親のそれであった。娘は、自分が親以外からも愛されていい存在という事を教わったことだろう。言葉以上に大切な何かを教えてくれたような気がする。

こうして、イブとの出来事を思い出しながらキーボードをたたいていると、今更になって涙腺がゆるみ、液晶画面の文字が揺れる。

・・・本当にありがとうございました。あなたの傍にいた二年間は、僕たち家族の人生にとってかけがえの無いものでした。 あなたに教わった「優しさ」を自分のものにできますように・・・。

(2001.12.25)

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