ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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第43話 またまた引越し BackNext

2000年の9月に、また引越しをした。これでバリ島で3回目だ。
今回の物件は、娘の学校の友人のお父さんの紹介だった。
そこは数年前に新たに丘陵地が開発されたところで、昔からのバリ人の住居ではない。そのため、バリニーズだけでなく、ジャワ島、ロンボク島、スラウェシ島などからの移住者も多く、約200世帯ほどが居住している。

カミさんと娘は、その家を初めて見に行った時に、そこから見える景色に心を奪われた様子で、何の迷いもなく即決してしまった。東向きの二階のベランダからは広大な田園が広がり、その先に遠くアグン山を望む。
丁度、見学に行ったとき、アグン山の麓くらいからダブルレインボーが現れ、生まれて初めて見るその二重の虹に、家族三人とも何とも言えない幸せな気持ちにさせられた。
「ここに住んでもいいんだよ。」と見えない何かの声無き声を聞いたような気がした。

度の引越しには、犬二匹の他、前の借家で生まれた雌猫二匹も加わり我が家もだんだんと賑やかになってきている。
オス犬のケンタは、新しい土地に興奮してしまい、近所中を走りまわって手当たり次第にメス犬に求愛する始末だ。ちょっと目を離した隙にもうメス犬と接ながっているんだ。主人の僕としては、何か大変に恥ずかしい思いだ。

「この犬、お宅の犬?」と近所の奥さんに笑いながら訊かれ
「そうです、どうもすみません」と、訳も無く、まぬけに謝ってしまう。
そのまま放っておいたら今度は娘が
「パパー!!ケンタが大変だよ!白いワンちゃんと一緒に、なんか痛がっているよ」
と駆け込んでくる。娘よ、それは痛いんではなく、気持ちがいいんだ。

しかし、こんなとき、他の親はどうやって説明するのだろうか。
僕の好きな本の一つ「リトルトリー」(アメリカ先住民の少年のお話し)に出てくるお祖父さんなら、きっと生命誕生の神秘や自然の驚異を交え、優しさを持って子供に教えることができるのだろう。僕にはまだまだほど遠い。

***

本でも地域の住民が協力して行なうものがある。祭りもそうだし、ドブ掃除などもそうだろう。それと同様なことが僕の住んでいる村でもある。
それは、「雑草抜き」と「夜の見廻り」だ。

「雑草抜き」は毎月一回、第一日曜日の午前7時からスタートだ。
おのおのが鎌などを持ちより、村のリーダーの指示により村の公共の場所の雑草を掃う。これには暗黙の了解があって、女性は参加する必要がないんだ。では、旦那が日曜日の朝から仕事にでかけている家庭はどうするかというと、別に参加する必要はなく、それに対しても何のおとがめもない。協力できる男たちだけが参加すれば良いというスタンスは非常に僕も気に入っている。

引越し後、初めて僕がその「雑草抜き」に参加し、出欠席をとるリーダーのところへ出向いたときに、住所、名前などを訊かれた。
「住所は?」
「xxx通りのxx番地」
「名前は?」
「ヒロ」
リーダーは出欠席表の一番下の空欄に僕のことを書き込んだ。

通常、姓を名乗ったとしても「スズキ」「ホンダ」のようにインドネシアで有名な日本名でなければ、通じにくい。だから僕はいつも自分の名前のヒロアキを短縮し、ヒロと名乗ることが多い。
そう発音しても「HIRO」ではなく、「HERO」(ヒーロー)とキムタク扮する検事にされてしまうことも多いが、そういうときは悪い気はしないので、あえてそれ以上は訂正しない。

ーダーが間違い無く僕の名前を書き込んだかどうかを確かめようと、その出欠席表を覗きこんだら、僕の名前が「HIRO」ではなく、なんと「ERO(エロ)」って書かれている。バカヤロー、よりによってそんな間違い方するか!これでは僕ら一家は「エロファミリー」で、娘は「エロ親父の娘」と呼ばれてしまうではないか。
それは何としても避けなければならない、僕は必死に訂正をお願いした。

「H(ハー)、I(イー)、R(何て言ったっけ)、O(オー)」だ!
まったく、頼むよ。

村では日本人はおろか外国籍の者は私たち家族だけである。
その僕を珍しがってか、いろんな人が「雑草抜き」の最中に声をかけてくれる。
「どのくらいバリにいるんだ?」
「奥さんも日本人か?」
「子供は何人?」
「仕事は?」
皆、訊いてくるのは同じ質問ばかりだが、不思議なことに年齢を訊かれたことはないような気がする。これは、香港で生活していたときも同じだ。外国人は僕らの年齢には、あまり興味がないようだ。
ところが、これが日本人同士の場合、知り合った早い段階でお互いの年齢を知るようになる。僕も相手が日本人だと、つい年齢が気になって尋ねてしまう。
何故だ?

「雑草抜き」で知り合った村の数人に僕の簡単なプロフィールを話したので、すぐに村全体の皆が僕ら家族のことを知るようになった。
この村に限らず、バリ島では口頭での情報伝達が非常に早い。

***

リ島で3回目の借家となったこの家の自然環境は抜群だが、かなり不便なところに位置している。日用品の買い物に行ったり、病院に行くにしても、また友人に会いに行くのにも結構時間がかかる。
香港からバリ島へ移住した当初だったら、もしこのような借家を見つけたとしても、不便過ぎておそらく住まわなかったと思う。過去3回の借家を振りかえると、僕たちがバリ島での生活に慣れるに従って、よりローカル色の強い地域に移り変わって行っていることがよく分かる。

買い物にしてもスーパーが近所にないので、カミさんはワルンと呼ばれる小さな食材店で済ますことが多い。このワルンで売られている品目は少なく、またその日によって品物が違うので、カミさんは買い物をする前に献立を考えることができず、売っている物を見ながら献立を考えるようになった。
「今日は新鮮なレバーがあった」
「めずらしく鮪を売ってた」
「豆腐があったから味噌汁を作ろう」
という具合である。

売る方も買う方も無駄がないのが好い。
当たり前の物が、常に当たり前にないところで手に入ると、ちょっとした物でも嬉しく感じてしまう。一昔の日本もこうだったような気がする。

(2002.6.30)

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