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「一緒にトーナメント出ない?」
と Nさん(バリ在住の日本人男性)からお誘いを受けた。 トーナメントとはゴルフではなくテニスのことで、「一緒に」とはダブルスでの出場を意味する。
学生時代、友人にテニスの基本を教わって以来、ラケットを握る機会はそれほどなかった。 と言うもの、テニスは僕にとって自ら進んでプレイしようとするスポーツではなかったからだ。
言い方を変えれば、テニスにそれだけの魅力を感じていなかったからだ。
ところが、二年ほど前、Nさんご夫妻(共に日本人)と初めてテニスをご一緒する機会があり、 そのとき、お二人のテニスに真剣に取り組む姿勢に影響され、それ以来、
久しくこれほど夢中になったものは無いというほど、僕はテニスの虜になった。
Nさんの奥さんが僕の先生なのだが、彼女が繰り出す球が、速いトップスピンボールで、それがすごくかっこいいんだ。
「俺もこういったボールを打ちたい!」
それを願ってこの二年間練習してきたようなもんだ。 お二人に励まされ、煽てられながら練習した甲斐もあり、今では何とかストロークはかっこつくようになった。
しかし、トーナメントに出場するとなると、サーブができなければ始まらないではないか。 これが僕にとっては大問題なんだ。
何とか練習をあまりしないで、サーブがかっこつくようにならないかと、テニス雑誌や教本を読んだのだが、そんな都合よく上達する方法はないようだ。 あるレッスンプロは雑誌でこう言ってた。
「サービスの上達は練習量に比例する」
当たり前すぎるほど当たり前のの言葉なのだが、これは一般プレーヤーがサーブの練習をいかに疎かにしていることを指している。 言い換えれば、
「上手くなりかたっから一人でサーブの練習してみろよ」
ということなのだろう。 よし、やってやろうじゃねぇか!
ということで、僕は今日の昼間、仕事の合間を見つけ、サヌールビーチホテルのテニスコートに向かった。 二面あるうち、一面が空いていたので、僕はそこで、一人でひたすら最近教えてもらった回転系のサーブを打ちまくった。
もう一面のコートでは、3名ほどの西洋人が、かなりレベルの高いテニスを繰り広げていた。 しかし、聞こえてくる会話は、聞いたことがない言語だ。いったいどこの国から来た人なのだろうか。
30分も練習すると、いくら帽子をかぶっているとはいえ、頭の中がボイルしそうになる。 頭に水をかぶり、休憩していると、その3名のなかの年長者(60歳くらい)が話しかけてきてくれた。
自分たちはモスクワから9年前バリ島にやってきた。一緒に練習しているのは息子と孫だ。バリ島では観光業を営んでいるが、モスクワ在住のころは、テニスのコーチをしていた。自分は20歳のとき、ソビエトでランキング2位になったことがある。・・・・・
どうりで上手いわけだ。とても60歳とは思えない力強いテニスをする方だ。 現在のプロテニスの上位には、ロシア出身の選手が多い。そういった人たちの大先輩になるんだな。
ひたすら上手くないサーブの練習をしている僕を哀れにおもったのだろうか。そのおじさんは、帰り際、
「明日も自分たちも練習するが、お前も加わらないか?」
と誘ってくれた。 ありがたいお誘いだ。どこの馬の骨ともわからない、しかも彼らよりかなりテニスが下手な日本人を誘ってくれるとは。
折角だ、明日、練習に加わってみよう。
また一つの出会いを与えてくれた、大いなる何かに感謝して。
(2005.9.6)
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