ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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第66話 いざ!黄金の島、日本へ@ BackNext

「誰か来てくれる画家いないかしら?」

友人のM女史から国際電話が入った。  彼女が所属する会社が、今回、日本の百貨店で開催される「アジアンフェア(仮  題)」に参加することが決定し、その販促活動の一環して、バリ人画家を招聘  し、実演販売しながらイベントを盛り上げたいとのこと。招聘期間は約40日。  彼女はまだ若いにも拘らず、今回のイベントの責任者に抜擢され、是非ともそ  のイベントを成功させたいと頑張っている。

バリは芸術の島とも呼ばれ、バリ舞踊、バリ絵画、バリ伝統音楽、などは世界的 にも有名で、「バリ絵画」も世界の絵画の中で一つの芸術のカテゴリーとして存 在する。  そしてそのバリ絵画も、手法、モチーフなどによって様々なジャンルに細分化さ れる。プンゴセカン画法、細密画法、カマサン画法・・・などなど。

今回の彼女の希望する画家に対するリクエストを要約すると。


 1)男(できればイケメン、さらに贅沢言えばジャニーズ系)

 2)細密画の画家

 3)かたことでも日本語が話せること。


画家の容姿は関係無いような気がするのだが、販売のプロの彼女に言わせると、 こういった実演販売では、男女にかかわらず、容姿は売上を左右するそうだ。 しかし、バリ絵画に関しては、僕は門外漢だ。ちょっと調査期間をもらい、 もう一度こちらから連絡する約束をし電話を切った。

て、僕のネットワークの中で日本語の話せる画家は二名ほどいた。 その中の一人のグスティ(仮名)は、M女史が希望する細密画を専門とする。さら に彼の芸術家としての血筋は非常に高く、純粋なバリ画家の名家の出だ。また性 格は高慢でなく謙虚で、責任感が強いことは、今までの付き合いで分かっている。 何せ40日間も日本に滞在することになるのだから、いくら絵が上手だからといっ て、いいかげんな画家を推薦するわけにはいかない。技量以上に、そういった人となりを重視しても、グスティが適任だ。
ただ一点気になることは容姿かな。M女史がリクエストする「ジャニーズ系」と はかなりかけ離れた、典型的な「おらおら系」の35歳だ。どちらかと言えばワイ ングラスよりも一升瓶が似合う男だ。
早速、彼が住むウブドにバイクを飛ばし、直接会って、今回の件に関して打診し てみた。 僕の想像していた通り、彼は日本で仕事ができることを喜んでくれた。彼の奥さ んも横に座って喜んでくれている様子だ。僕は「日本出張」というプレゼントを 持ってきた季節外れのサンタクロースの気分だ。

「日本」という国は、東南アジアの発展途上国からは「黄金の島」と呼ばれるほ ど、憧れの強い国だ。日本に働きに出て、まとまったおカネを持ち帰ってきて家を建てた、などという 真実かどうかわからない話が大げさに伝わっているせいか、未だ見たことの無い 日本に対して、行きさえすれば黄金が手に入るようになるという誤解がある。
インドネシア人の日本に対する認識は、前述のように極端ではないとはいえ、日本に対する憧れが強く、そこで働きたがっているインドネシア人が多いのは確かだ。僕自身、カラオケのお姉ちゃん始めとして、男女に関係なく、日本で働く場所を紹介して欲しいと、今まで何度か頼まれた。そんな彼ら彼女らは、日本に入国するのに査証(ビザ)が必要なことすら知らない。

今回の画家招聘に関しては、招聘する側の日本の会社も全く問題なく、グスティ 自身もOKだ。 早速、彼の顔写真と、過去の作品(細密画)を撮影し、その晩、M女史にmailで送 信した。
彼女からの反応は素早く、グスティを招聘することに決定し、二ヵ月後に迫った イベントまでにお互いがすべき事をmailで確認しあった。 グスティ側がすべきことは、イベントまでに必要な枚数を画き上げることと、パスポート及び日本入国ビザの取得だ。

日後、再度、打ち合わせのため、グスティを訪ねた。何だか顔色が今ひとつだ。ちょっと嫌な予感がする。


 「(日本滞在)40日は長すぎます。2週間になりませんか?でもヒロさん(僕のこ と)が一緒に日本に行ってくれるなら40日でも大丈夫です。」


おいおい、今さら何を言い出すんだ。俺だって付いていってやりたいが、こっち だってバリ島で仕事があるんだよ。日本では既にM女史が、彼の写真や作品の画像 を持って、百貨店に対してプレゼンに入っているっていうのに。

小一時間ほど、説得を試みたが、彼は僕が話せば話すほど、怒られている子供の ように、どんどんしぼんでいってしまう。M女史には申し訳ないが、グスティは残 念ながら諦めよう。彼は絵の実力もあり、真面目な男だ。きっと絵も良い評価を 得るだろう。しかし、長い滞在を嫌がる彼を、強引に日本出張に誘ったとしても、きっと満足な仕事などできないのではなかろうか。途中で体を病む結果にな りかねない。

しかたがない、もう一度人選をやり直しだ。急がなければ。

(2005.9.18)

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