ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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第69話 いざ!黄金の島、日本へC BackNext

の日M女史は、夜明け前に家を出て成田に向かった。初めて会うバリ島の画家マデを出迎えるためだ。 既に写真で顔を知っているとはいえ、上手く出会えなかったらどうしよう、という不安がよぎる。 僕は、マデが成田での入国審査を無事に通過できるかどうかが、問題ないと領事館から言われてはいたが、最後まで心配だった。だからM女史にも、マデに成田で出会ったら、まず携帯からmailを送信してくれるように依頼しておいた。
朝9時頃になって、待ちに待ったマデの画像を受信した。成田エクスプレスの座席にちょこんと座っているその姿は、俯きがちでちょっと元気なさそうだ。初めての飛行機で、しかも夜間飛行だったので、おそらく睡眠は充分ではないであろう。 マデが無事に日本に着いて、M女史に出会えたことで、ひとまず僕の役割は終わった。 残すは彼の奥さんに、マデが無事に到着したことを電話で知らせるだけだ。

テルへチェックインした後、まずは食事ということになり、マデの食べたいものをM女史が尋ねたところ、「そば」という答えが返ってくる。 え??M女史も今までいろんな外国人を招聘し、アテンドしてきた経験からいって、いきなり「蕎麦」が食べたいという外国人は初めてた。彼女もまだマデと出会って数時間しか経っていない。片言の日本語での会話だけに、彼女がマデの気持ちを推測して物事を進めなければならない。 マデさんはきっと食事も日本的なものにして早く日本に馴染むように努力しているのだろうか・・・ とやや訝しくも思いつつ、美味しいと評判の「そば屋」に向かった。
しかし、マデは一口だけ「ざるそば」を食べただけで、箸を置いてしまう。どうして??蕎麦を食べたいのでしょ? 身振り手振りで会話し、ようやく彼が食べたいのは、「蕎麦」ではなく「焼きそば」(ミーゴレン)ということが判明した次第だ。
会って間もないうちから、早くもこういった思い違いが起こる。さらに悪いことに、マデは使い慣れた大切な辞書をトランクに入れ忘れてしまったんだ。どうするんだこれからのコミュニケーションを。 M女史からの電話でそれを知った僕は、すぐに辞書を速達便で送ることを約束し、そしてマデには覚えている日本語の単語をできるだけ今のうちに控えておくように忠告した。
明日からは仕事だ。遊びではない。前途はそんなに容易ではないことを、M女史はこの蕎麦の一件で気付かされ、気合を入れ直した。

ていよいよ仕事だ。実演会場もは既にバリ島の様々な画法の絵が、テーマ別に綺麗に額装されて展示してある。その一角にある空間は これからマデが実演するスペースだ。 マデは到着するなり、早速バリニーズのコスチュームに着替え、画板に向かった。 水を得た魚とはこういうことを言うのだろうか。彼は着慣れた衣装で画板を持つや否や、周りに人がいるのも気にせずに一心に筆を動かし始めた。一番自分が安心する場所を見つけたようだ。 画板に向かっている彼は、バリの衣装も手伝ってセクシーに見える。昨日成田に着いたときの、しょぼんとした顔とは大違いだ。こちらが声をかけるまで、何時間も座って描き続ける。その集中力は僕ら凡人には理解できない。
ただ、彼が本来の力を発揮するまでは数枚の絵を無駄にしたようだ。 これは「時差ボケ」ならぬ「五感ボケ」とでも言い表したら良いのだろうか。彼の五感は、今まで経験したことのないもので満たされてしまっている。外にはバリ島でいつも見る緑もなく、空の色も違う。 耳に入ってくる音は日本語だけだ。味も違えば、湿度も違う。さらに重力までバリ島とは違う(らしい)。 彼は、バリ島とは違うエネルギーを持つ日本で、感覚のチューニングに多少時間がかかる。そのエネルギーの違いが、微妙に彼の描く絵に影響を与えてしまったようだ。

演も3日もすると、マデもエンジンがかかってきて、少し余裕も見えてくる。 その余裕の気持ちが絵に表現されるのか、お客様からの特別注文も徐々に入ってくるようになり、彼はホテルに帰ってまでも残業しなければならないという、嬉しい悲鳴だ。 まずまずのスタートと言えそうだ。
東京が終われば、彼もまた別のイベント会場のある、京都や名古屋へ移動しなければならない。 この先、どんなハプニングが待ち受けているか分からないが、とにかく元気で、怪我も病気もせず、スケジュールを全うして欲しいと、遠いバリ島から祈った。

(2005.9.28)

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