ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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第70話 いざ!黄金の島、日本へD BackNext

の地で、見たり、聴いたり、味わったりしたものが素晴らしく感じ、それを他の地に持って行って同じように経験しても、どうもしっくりこないことがある。僕の友人が、バリ島で食べるマンゴが大好きで、どうしても日本に持って帰りたく、日本への持込禁止と知りながら、少量を隠してハンドキャリーしたんだ。 そしてバリで味わった感動をもう一度!と喜んで食したところ、あれ?この程度の美味しさだったっけ? やはりバリ島の茅葺き屋根の下で、涼しい風を浴びながら食べるマンゴと、日本でこたつに入って食べるマンゴとでは、同じ味でも、”味わい”が違うのだろうか。
同様に、バリ島でバリ絵画に感動し、そこで購入した絵画を、自宅に持ち帰り、壁に掛けても、何だか浮いてしまう、という話も聞く。絵そのものの良さは同 じだが、周りのとの色合いや、他の調度品との調和が必要となってくるのだろうか。そう思う人は、思い切って部屋をアジアンテイストに変えれば、より一層、バリ絵画も引き立つかも知れない。
マデは、日々接する日本の色目を感じることによって、徐々にだが描く色のトーンが変化してきている。街で見るファッション、百貨店の内装、レストランの色、料理の色まで、それら全てが彼の描く絵に良い意味で影響を与え、画が日本の部屋により調和するような色合いになってきた。

うして、実演販売も順調に進行していると安心していたある夜、M女史から国際電話が入った。

「マデさんがちょっと元気がなくなってきたんだけど、理由がよく分かんないのよ。定期的にはバリ島の自宅に電話をかけて奥さんと話しているんだけど・・・・どうしたらいいかな?明日休みだからどっか連れてってあげようかしら。」

仕事を始めての数日間は、とにかく皆、このイベントを離陸させることに必死で、マデもストレスを感じる暇もなかったのかもしれない。それが安定飛行に入ると、今まで見えてなかったものが見えたり、他のことを考える余裕ができるが故に、悩みが生じるのだろうか。これが一週間ほどのイベントなら問題ないが、この先、まだまだ続く。
ある程度のストレスは、これはもうしょうがない。仕事なんだからマデに我慢してもらうしかない。 彼は少なくとも皆に必要とされる人間であり、周りのスタッフも彼に「敬意」を持っている。そういった思いは、言葉が通じなくとも態度で通じるものだ。 マデは僕の想像できないストレスを抱えて、長い期間、日本で仕事をやり遂げたわけだが、それができたのは、M女史を始めとした周りのスタッフたちが彼に対して常に「敬意」を持って接し続けたからだと思う。
僕はM女史からの電話に対して、満足な返事もできず、ありきたりな場所へ連れて行ってあげることを提案しただけだった。 東京タワー、浅草、ディスニーランド・・・我ながら芸が無いと思う。 しかし、休み明け、彼女からmailで、マデに対する粋な計らいを知って、こちらまで嬉しくなってしまった。

みの日、彼女はまず「上野の森美術館」に案内したんだ。 おそらくバリ島にいたら、一生お目にかかれないような、世界の巨匠たちの原画がそこに展示してある。マデだって同じ画家だ。彼は展示してある絵を一画づつゆっくりと、特に自分の好きな画に対しては時間をかけて見て周った。 かなり興奮しているようだ。彼の上気した顔を見てM女史も嬉しくなった。
そして、夕方からは、マデのアテンドはM女史から彼女のスタッフKさん(男性)にバトンタッチされた。Kさん自身も彫刻のアーティストだが、「お笑い系」にも属すことができるような、大変に愉快な方だ。昼間、画を鑑賞したと聞いたKさんは、今度は写真のアートをマデに見せたいと言って新宿に向かった。
そこは美術館ではなく、5坪くらいの狭いスペースに所狭しと、ビニールに入った写真集が並べてある「ビニ本」屋だ。 これだけのコレクションは、バリ島ではお目にかかれないであろう。 店内に入るや否や、マデは固まってしまった。生まれて初めての経験だ。そして落ち着きを取り戻し、「上野の森美術館」でそうしたように、時間をかけて吟味した。「美術館」とはまた違った興奮があるようだ。彼の上気した顔を見てKさんは不安になった。
(ここでマデさんが本当にビニ本を買ったかどうかは僕は知りません)

こうして、マデも仕事上の苦悩はあるにせよ、心優しいスタッフに囲まれながら、出張も後半に入っていく。来週は、初めての経験となる新幹線に乗って京都に向かう。うまく「フジヤマ」が見えれば良いが。

(2005.10.10)

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