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市場での買い物が嫌いだった理由の一つは、買い物する度に
「俺だけ(値段を)ふっけかけられてんじゃねぇか?」
という被害者意識を持ってしまうからだった。
まだ買い物に慣れてなかった頃、僕は売る側に舐められまいと、値段を聞く度に気負っていた。眉間にシワを寄せ、できる限り低い声色で、そしてわざとぶっきらぼうに
「おい、これ1キロいくらだ」
といった感じで。
相手が「○○ルピアよ」と言えば、それが高いか安いか全く分からない僕は、とりあえず
「高けーなぁ、もっと安くなんじゃねぇの?あー?」
と、睨みを効かす。(お前はチンピラか?)
「じゃ XXルピアにまけてあげる」
なんだよ話せば分かんじゃねぇかよ。俺って交渉上手?と自分の値引きに満足したのも束の間、他の客(バリ人)にはもっと安く売っているのを目撃してしまいショックを受ける。
あれ?さっきの僕の演技はいったい・・・・
***
市場での価格はスーパーに比べれば、絶対に安い(はずだ)。だから、普段自分がよく購入する食材のスーパーでの販売価格をある程度把握しておいた方がいいだろう。全く無防備で『戦う』より、情報という武器を持っていた方が何かと安心。
(実際に市場での買い物に慣れていなかった頃は、買い物が『戦い』のように感じられたものだ。緊張を強いられる)
僕はもう、今では市場内の馴染みの店でしか買わないが、最初の頃は、よく複数店舗で価格を訊いてから購入した。ただ、同じアイテムでも店によって鮮度が違うから、価格だけで買う店を決めるのも危険だ。

先日、魚屋で鯖(さば)の値段を尋ねたら、二つの価格を言うんだ。
昨日仕入のものと今日仕入のものが別々の大盆に盛られおり、当然今日仕入の方が高い。ここのおばちゃんは正直でそれ以来、いつも魚はそこで買うようにしている。
また冒頭の僕の失敗のようなことを避けるために、他のお客さんが価格交渉して買うのを横目で見ながら、いくらで買ったかをチェック後、買うのも良いかもしれない。
客(おばちゃん) |
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「これ1kgいくら?」 |
店(おばちゃん) |
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「4,000ルピア(約52円)」 |
客 |
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「3,000でいいか?」 |
店 |
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「3,500だ」 |
客 |
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「OK じゃあ5kgちょうだい」 |
というように慣れた客、特に食べ物屋を商売にしている客は、一発で店側の言う値では買わない。
最初の言い値に対し、客はそれより若干低い価格を、何のてらいもなく平然と言い返す。すると価格は上の会話のようにその中間点に落ち着く。
ただ、この”言い値よりも若干低い価格”の按配が慣れていないと難しい。店側がRp10,000というのを半値のRp5,000にしろ、と言うのはもうルール違反だ。
値引交渉するならば、せいぜい二割くらい低い価格、この場合で言えばRp8,000から交渉を始めるのが普通のような気がする。
すると、Rp9,000に落ち着くわけだ。
先日も乾物の魚を買っている中華系の金持ちそうなマダムが、Rp10,000ルピアの言い値に対し、Rp8,000で応戦し、結局Rp9,000に落ち着いた。
僕もそのやりとりを見て、そのマダムの直後、同じだけ購入しRp10,000札を出したが、いつまで経っても1000ルピアのおつりは返ってこないんだ。
あれ? まっいいか。小心者の僕は文句が言えない。値切って物を買う場合には、必ず買う前に双方の合意が必要だ。

市場のそこかしこで、上記のような価格交渉のミニバトルを見ることができる。しかし僕はと言えば、今ではほとんどの場合、店側の最初の言い値で買ってしまう。というのも、言い値そのものが既に非常にお買い得価格だといいうことと、値切り交渉できるほどの量を買わないからなんだ。
***
市場ではレシートなどは存在しない。一店舗で何種類も購入する場合は、計算に要注意だ。折角、安く買っても計算間違いされたら意味がない。
おばちゃんたちは非常に暗算に長けているとはいえ、間違いを起こすこともある。
「市場は最後まで僕に気を緩めさせてはくれない。」
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