ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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目指せ ジャカルタ!

第86話 目指せジャカルタ! BackNext

学二年生の後期に入ったある日、学校で両親に向けての修学旅行の説明会があるとのことで、僕たちは夫婦で参加した。
てっきり先生が修学旅行の予定表などを用意して、両親たちに説明するものばかりと思っていたのだが、壇上に立つのは、娘を含んだ4人の「修学旅行実行委員」の生徒たちだ。

オーバー・ヘッド・プロジェクター(OHP)に映し出された画像を追って、生徒たちはマイクを持って40人ほどの父兄に向けて説明を始めた。パワーポイントを使って作製されたと思われるこのプレゼンの質の高さに、僕は驚いてしまった。この資料は君たちが作ったの??

修学旅行の趣旨から始まり、自分たちがどこで何を勉強し(遊び)たいのか、その勉強は何に役立つのかなどを、調べ上げたスケジュールに沿って解りやすく説明してくれる。両親たちも生徒のプレゼンに真剣に聞き入っている。
日本のバイクメーカーの工場見学や、プラネタリウム見学、水族館、遊園地などなど、バリ島には無いのもばっかりだ。よく皆、調べてきたものだな。


回、両親たちに説明会を開いた一番の目的は、二種類の行き先の違うプランの、どちらが修学旅行として適切かを両親たちに打診することにあった。

第一案は『ジャカルタ→バンドゥン 3泊4日』 日本にあてはめれば、    『東京→日光』といった感じかな。

第二案は『スラバヤ3泊4日』

両案のプレゼンの最後に、それぞれの案の費用予測を細目に分けて説明を受ける。エアーチケット代、ホテル代、現地でのバスチャーター、目的地での入場料などなど。そして財団からの補助金を差し引いて、生徒一人あたりの負担額が算出されている。

僕は生徒たちの説明のこの段階で、「感心」を通り越して、ただただ「感動」だ。小学校の低学年から知っている生徒たちが、いつの間にこんなに立派に成長してしまったの?
しかし、こういう風に導いた先生も偉いなぁ。生徒たちの自主性、旅行に対する思い入れを尊重し、こういった資料を作らせたなんて。


て、この二案は費用の面で大きく隔たりがあった。第一案は飛行機を使うので、フェリーを乗り継いでいく第二案に比べ倍以上の費用負担となる。両親たちを召集した最大の理由はここにあった。

生徒たちはジャカルタに行きたいに決まっているんだ。プレゼンの時間配分でも第一案が8割占めていたことでもそれはよくわかる。ただ、費用の面で両親がどう判断するか・・・
いつの間にか、会場の後方には、成り行きを心配する生徒たちが集まってきている。

採決の結果、第一案の『ジャカルタ→バンドゥン』の方向で計画を進めることとなった。生徒たちも一歩前進して一安心だ。

この学校そのものはまだ若く、幼稚部から中等部二年までしかない。こういった遠いところへの修学旅行は学校として前例がないので、自分たちで一から考えていかなければならない。それは大変なことだろうが、逆にそういう境遇だからこそ、生徒間や先生とも深い絆で結ばれているように見える。



決を終え、次に、両親たちとの質疑応答に移った。両親たちから様々な質問、意見、提案が飛び交う。生徒が答えられる範囲を越える質問に対しては、先生が応じていった。

「ジャカルタは今の季節は洪水が多いようだから、もう少し延期したらどうか?」

「このエアラインは、安いかも知れないが、高くてももっと安全なエアラインに変更したらどうか」

「私の親戚がxxエアーに勤務しているからもっと安くチケットを手に入れることができる」

「ジャカルタに行くのだったら、ここも訪問したらどうか」

などなど。

この説明会の少し前に国内線がカリマンタン島の山中で消息を絶って、二週間もの間、機体が見つからなかったことがあった。国土が広すぎるためか、捜索方法に問題があるのか、おそらくその両方が原因だと思うのだが、そんなこともあって、安全面に対して、ちょっと皆、過敏になっていたようだ。

第一案にほぼ決定したとはいえ、安全性や費用の面で、まだ全面的に賛成できない両親もいる。やっぱジャカルタは遠いんだよな。大切な子供を心配するのはあたりまえだ。いろんな議論が出尽くした後、この学年の両親のまとめ役であるお母さんの言葉で、この質疑を終えた。

「生徒たちがこうして一所懸命に計画した修学旅行だから、私たちも協力して何とか実現させてあげましょうよ。」

その通りだ。

旅行日程と航空会社を見直すと言うことで、その日の説明会を終えた。



日後、学校から帰宅した娘が、何やら浮かない顔をしている。

「修学旅行全体の費用が、当初の計画よりもオーバーしてしまった。一度決まった個人負担額を増やすことは難しいなぁ。あ〜どうしよう。何か良い方法はないかなあ。」

選択肢はいくつかあるではないか。
僕からのアドバイスは

1)宿泊数を減らしたり、行く場所を減らすことによって、出費を減らす。
2)両親に寄付を募ってみる。

という二点で、

カミさんからのアドバイスは

3)学校で何かを販売して稼ぐ。

娘たちは、1)の提案は到底受け入れ難いようだ。
早速、彼女らは、もう一度両親たちに寄付を募ることに決め、また校長先生の了承のもと、学校で販売してお金を稼ぐという行動に移った。

カミさんも協力して、毎日、マドレーヌを沢山作り、娘に持たせ、売上アップに貢献。そして娘も、普通のジュースより、手間はかかるが利益率の高い粉ジュースを作って販売した。

生徒達がそれぞれ働き、協力した結果、見事予算が達成でき、無事『憧れのジャカルタ』に行ける事になった。よかったねみんな。

この手作り修学旅行実現のプロセスで、生徒達は教科書からは学べない多くのことを学んだことだろう。企画力、調査力、計画性、説得力、協力性、実現力、そして「思いやり」だな。
皆、また一つ成長したようだ。

***

この『中学二年の修学旅行』は、生徒達にとって一生の思い出になることだろう。皆、気をつけて、そして存分に楽しんできてください。

(2007.6.24)
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