ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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塀に車が!

第88話 塀に車が! BackNext

ミさんから僕の携帯にかかってくる電話は、第一声の「もしもし」のトーンやスピードで、これから話される内容が、歓迎できるものか、そうでないかがすぐに判断できてしまう。
その時の電話の第一声もちょっと早口で上ずった感じだったので、これは何かあったな、と瞬時に緊張する。

「車が我が家の塀に突っ込んできて塀が倒れた!すぐに帰ってきて!」

なに〜? そもそも我が家の塀は、車が突っ込めるような位置にはない。道幅5m足らずの90度のL字コーナーの内側に家はあり、そこをカーブするときには、速度を10km以下にしないと難しい。
さらにカーブ手前には、減速させるための小さな起伏が設けられている。だからどういう状況で、車が突っ込んできたのか想像ができなかった。


話を受けて20分後くらいに帰宅した。既に事故現場には、近所の男も女も子供も集まってきている。僕が車を降りるとすぐに、近所に住む事故を起こした当人が、申し訳なさそうな顔をして近づいてきた。
この狭い道で車の運転練習中、強引にUターンする際にアクセルとブレーキの操作を間違えたという。とにかく、誰も怪我人がでなかったことが一番だ。
壊れた塀を見やると、いつも「雑草抜き」作業などで一緒になる近所の面々が、黙々とブロックや破片などを片付けてくれている。ご近所といっても、挨拶を交わす程度で、それほど付き合いが深いわけではないが、皆、当たり前のように作業してくれている。
我が家の駄犬、ケンタ君は、いきなり車が突っ込んでくるは、いろんな人が押しかけてくるはで、さっきから吠えまくっている。

何をどうしていいか、分からずに僕が佇んでいると、比較的近い間柄のお隣さんであるバリ人のご主人が近づいてきて、有難い提案をしてくれた。

「今、俺の家は改装中で職人が4人入っている。その中の二人を明日この塀の修理にまわそう。おそらく雨さえ降らなければ一日あれば(修繕は)充分だ。必要なセメント、ブロック、鉄筋などは(事故を起こした)彼に今日中に買ってきてもらうようにするが、それでどうだ?」

それでどうだ?と訊かれても、そんな有難い提案に異存などあるわけないじゃないか。早速彼は、修理に必要な材料を書き留め、事故の当人に買いに行かせた。
カミさんも片付けを手伝ってくれている人に何か冷たいものでも、と思いアイスコーヒーを給仕した。しかし皆、一口飲んで顔をしかめている。カミさんは僕がいつも飲むような糖分抜きで出してしまった。忘れていたんだバリ人が甘党なのを。


かしとっても不思議だ。塀が壊されて普通は不愉快になるところだが、逆に気持ちの良い思いをさせてもらっている。
我が家はこの事故の当事者なのに、な〜んにもせずにただ見ているだけ。全部 周り近所の人が、僕一人では何にもできないということ見越して当然のことのようにヘルプしてくれる。僕が逆の立場だったらこういうことが自然にできるだろうか。
無免許運転していた彼を責めるわけでもなく、皆、壊れてしまった壁を修復する最善の方法は何か、ということだけを考えている。

これが日本だったらどうだろう。まず警察がやってきて事故証明を作成し、無免許の彼から調書を取る。次いで保険屋が査定をして・・・・という順序を踏んで、壁の修復までには時間がかかることだろう。長くなるほど精神的にもきつい。


あくる日、予定通り職人さんが二人やってきて一日で塀を修繕してしまった。以前よりも見違えるように綺麗に仕上げてもらい、何だか申し訳ないな。

この「塀を壊される」という貴重な体験の中で、周りの人からまた大切な何かを教わった。自分はまだまだだな。皆様、本当にどうも有難うございました。


(2007.7.9)

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