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赤道近辺一帯に多いデング熱。
バリ島でも罹患する人は多い病だ。どの程度多いかというデータはないが、僕の周りのバリ人のなかでは、罹ったことの無い人の方が少ない。中には5回も罹ったという人がいるくら一般的な病だ。だからと言ってバカにはできない。インドネシアやインドでは毎年デングで病死する人が後を絶たない。
2010年のある日、カミさんが高熱を発っした。とりあえず日本からの風邪薬を飲み安静に。通常であれば、一旦熱が引いたら、そのまま快方に向かうはずが、熱が上昇下降を繰り返す。
「デングっぽいな」
翌日、早速クリニックで血液検査。
デングであれば、血小板の数値が低くなるのですぐにわかるが、その時のカミさんの数値は、正常値ぎりぎりのラインだった。
ドクターとしては、その時点でははっきりとデング熱とは断定しなかった。しかしカミさんは、その夜、高熱、倦怠感、吐き気、食欲不振、の他、新たに、強烈な四肢の関節の痛みに見舞われた。歩けないほどに痛いと訴える。
「こんなのデングの症状にあったっけ?」
翌日、再度ドクターを訪ね、チェックをすると、血小板の値はそれほど変化していないが、容態は悪化している。
「これはチクングニア熱の可能性が高いですね。」
なんだって?
この初めて聞く「チクングニア熱」とは、スワヒリ語の「折り曲げる(that which bends up)」に由来しているそうだ。その名のとおり、体のそこらじゅうが痛くて、老人のように体を曲げて脚を引きずってしか歩けないんだ。
このチクングニア熱はデング熱同様に、蚊を媒体として感染する赤道付近特有の病気だ。
薬を処方しようにも、特効薬はなく、たくさん水を飲み、蚊を避けて安静にしていろと言う。蚊を避ける理由は、患者のためではなく、これ以上の他者への感染を予防するという意味でなんだ。
正常?な蚊が感染している患者を刺し、そしてその蚊が他の人を刺したらその人も同様にチクングニア熱に感染してしまう。
そしてまさに「その人」が僕になってしまった。
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カミさんがチクングニア熱の疑いを持たれてから数日後、全く同じ症状が僕にもあらわれ、カミさんの症状を追いかけるように5日間ほど寝込む。
実はこの病気のやっかいなのは、熱が引いてからなんだ。食欲は戻っても、後遺症としての間接の痛みは増すばかり。困るのはトイレだ。和式のトイレで一旦しゃがんだら、立ち上がるのに激しい痛みをこらえて30秒はかかる。
また、指の痛みは強烈で、プラスチックボトルのジュースの蓋なども開けられず、包丁の扱いも柔らかい物に限られるほどだ。
夫婦揃ってこんな状態が約一ヶ月続き、痛みが完全に消えるのに三ヶ月もかかった。デング熱と比べ、死亡率は遥かに低いが、後遺症が長引くのがこの病の特徴だ。
あるイタリア人がここでチクングニア熱に感染し、熱がまだあるうちに本国に帰国したところ、そこの蚊を媒体として急速に感染が拡大したという話を聞いた。
そういうことを聞くと、風土病のある土地から帰国した人が、入国の際、空港で健康状態を自己申請するのは大切だと思う。
とにかく南国で熱がでたら、軽視せずに、そこの土地のドクターにまず診てもらうのが一番だ。あたりまえだが、土地のドクターはそこの風土病に詳しい。
今日も我が家では、カミさんが「蚊取りラケット」を振り回し、蚊をやっつけるのに忙しい。
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チクングニア熱に関しては次のURLを参照して下さい。
http://idsc.nih.go.jp/disease/chikungunya/aboutQA/about.html
(おしまい)
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