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2009年、留学斡旋会社V社が主催する説明会がサヌールのプラザホテルのボールルームで開催されるとのことで、家族三人で訪問した。
そこには、オーストラリアを始めとする１０カ国くらいの教育関係者が待機しており、個別に対応してくれていた。僕らはどこの国の人に相談すればいいか分からなかったので、とりあえず、娘は自分で主催者（V社）に、自分の学びたい方向性を説明し、相談にのってもらった。
V社の担当者は、オーストラリアの４年生大学を卒業しており、他の国のことは詳しくないが、と前置きした上で、自身の体験も含め、オーストラリアで学び、生活することとはどういうことか大変に熱心に説明して下さった。
入試資格（TOEFLの英語検定）、生活費のこと、アルバイトのこと、ルームシェアのことなどなど。
興味が尽きない。
やはり体験者の”生の声”は本当に貴重だ。
僕は当初、斡旋会社と聞いて、失礼ながら ”なんだかちょっとあやしい”感 は否めなかった。しかしこのV社とはその後、ずっとお付き合いすることになるのだが、大変に親身で、僕らではネットを駆使しても到底手が届かない貴重な情報を簡単に提供してくれる。
その貴重な情報の一つは、V社経由で外国で学んでいるインドネシア人、そして卒業後インドネシアに帰国した人たちのネットワークだ。
やはり、実際にそこで学んで来た人の実際の話を聞きたい。娘が興味を示す大学を卒業したインドネシア人、または在籍中の学生のemailアドレスを教えてくれて、コンタクトするように勧めてくれる。
”こんなに簡単に人のアドレス教えちゃっていいの？？” と思うのだが、そこはインドネシア、「ティダ・アパアパ」大丈夫だ。
ところで斡旋会社V社に依頼し進学した場合の、僕が払う手数料はどの程度なのだろうか。あまりに高いようであれば、自分たちで大学へ一から手続きしようと考え、ある大学の年間授業料をネットで調べてみた。
すると、V社を経由しようがしまいが、僕が支払う授業料は、大学の指定する金額だけなんだ。
ただ、V社を経由すると、大学側からV社に対して、入学後手数料が支払われる。そうであれば、存分にV社に協力を依頼しようではないか。
この留学説明会を終えた後、娘の気持ちは日本以外の国へ少し傾いて行く。それを見抜くように、V社から娘に電話が。
「TOEFL専門の先生に生徒の空きができたから、学んでみたらどう？」
（TOEFL＝Test of English as a Foreign Language）
日本も含め、どこの国へ進学するか決めかねていたが、英語圏の国で勉強したいのであれば、入試以前にTOEFLの結果がボーダーライン以上かどうかがまず問われる。
英語圏の国に進学するしないにかかわらず、本人は英語力を高めたいと言うので、V社が推薦するS先生（オランダ人女性）に英語をお世話になることになった。
４ヶ月間のS先生からの英語特訓の末、本番のTOEFL試験。４時間もかかるこの試験で、娘はほとんどの大学が求めるボーダーラインをクリアする点数を得ることができた。
おめでとう。よく頑張ったね。
今から思えば、このS先生を紹介して下さったことだけでもV社には、感謝の気持ちがいっぱいだ。その後、娘はS先生から英語を学ぶだけでなく、人生観含め、様々な影響を受けるようになる。
TOEFL試験が終わってからも、心理カウンセラーでもあるS先生より「character building」という、ちょっと僕らには馴染みの無い分野の個人レッスンを受講する。娘の話を聞くと、人格形成、心理学、哲学、などが融合したような科目だ。
レッスン中は自分と深く向き合わざるを得ないため、
「とっても疲れるけど、新しい発見が毎回あって、とても楽しい」
そうだ。
そしてS先生のネットワークを通じ、娘がさらに身につけたいと思う事柄が自然と彼女の手元にやってくるようになった。それは僕から見ると驚くべき流れだった。
この流れを外から僕はみていて、この子がこれから進む方向は、日本ではないんだな、と思い始めていた。
そしてしばらくして、ある英語圏の国の教育省に属するP氏と出会いが、娘の進路が決定づけていく。
（続く）
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