ESTATE★椰子の木の下で 〜バリ島ずっこけ物語〜
  ひょんなことから、突然バリ島へ移住してしまった日本人家族の日々の喜び、驚き、感動を綴ったエッセイです。
バリ島生活泣き笑い。これから行き着く先は・・・!?
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第98話 本が好き BackNext

ーロッパのとある国(英語圏ではない)の、とある人が、世界の文学を読破したいと思っていた。ただ、全ての言語を勉強し、その国の原書を読むことは不可能に近いので、世界文学が一番翻訳されている言語を一つ選び、その言語をまずマスターしようと試みた。そうすれば、多くの文学作品を読む事ができる。

そして調べたところ、その言語は英語ではなく、なんと日本語だったそうだ。実際にその人がそのために日本語を勉強したかどうかは定かではないが、日本人がいかに読む事が好きな民族なのかを表す興味深い話だ。

僕自身は漫画で育ち(祖父の家が漫画書店だった)、学校が推薦する図書など読んだ事も無く、国語は苦手な科目だった。だが、30歳のときに海外に住み始めたのをきっかけに、急に活字が好きになってしまった。(だって外国のテレビ番組観ても分かんねぇんだもん。)
そう言えば、それまで読書に縁遠かった人が、刑務所に収監されたとたんに、文学作品が好きになったりすると聞いた。刑務所では読書以外に楽しめる物が少ないからだそうだ。

僕は今までどれだけ本に助けられてきたことか。
悩んだとき、また人生の岐路にたったときに方向を指し示してくれたのは本だった。そんな本の大切さ、有り難さを大人になって知った僕は、娘が幼少の頃には、なるべく本が好きになるよう、また日本語に親しめるように、寝る前にはベッドタイムストーリーを読んで聞かせてあげるようにしていた。

日本の実家から送られてきた昔の装丁の「シートン動物記」や「ファーブル昆虫記」もそれらの一部だった。そもそもそれらは僕が幼少のころに両親がプレゼントしてくれたものだが、当時活字が嫌いだった僕は全く読んだ事がなかったものだ。
30年経ってやっと開いた本に僕も娘も夢中になり、一緒に感動を共有したものだ。親からのプレゼントは無駄になってなかった。

そしてさらに日本語に慣れ親しませようと、香港出張したときに、「Dr.スランプあられちゃん」全巻を古本屋で購入して来て、当時6歳の娘にプレゼントした。このあられちゃんを読んでからは、娘は読む方も描く方も漫画へと夢中になっていく。
まぁあたりまえだな。だって面白いんだもん。

***

本の「MANGA」が世界に輸出され、日本の”文化”として認識されて久しい。どこの国に行ってもその翻訳された日本漫画の多さに驚かされる。ヒーロー系、冒険系が中心の欧米のものに比べ、日本のそれらは設定も細やかで、奥が深い。だから大人でも楽しめるんだろうな。”Death Note” などは社会風刺の本当に優れた作品だと思う。
日本に来た外国人が、社会人が漫画を読んでいる事に驚いているとの記事を見た事があるが、そもそもcartoon と manga は同じじゃないんだ。

小説だろうが漫画だろうが、それを支えるストーリーテラーとしての創造する力は、日本人は世界のトップクラスだろうな。文学界では、年々、数多くの優れた作家がデビューするし、アニメの分野も同様だ。(たまに日本人の活字離れが進んでいるという記事を目にすることがあるが、それは本当か?)

***

ンドネシア人は本に対する興味はどうなんだろうか。それを知るには本屋に行くのが一番だ。どのジャンルの本が多いかで、その国がうかがい知れて面白い。

僕がよく訪れるインドネシア大手の書籍店「グラメディア」は、800平米ほどの、ここでは大きな書店だ。インドネシア語ができない僕が本屋に行くと言っても、探すのは写真中心の本(インテリア関連など)だけだけど。

漫画(9割は日本漫画の翻訳本)や、学習参考書を除くと、一番占有率の大きいジャンルは宗教コーナーだ。イスラム教とヒンドゥー教の関連本が多いなか、キリスト教、仏教コーナーも公平に設けられている。
建築や内装、またアート関連の重たい本が非常に充実している。これはちょっと意外だ。
ビジネス関連、啓蒙書、自己啓発ものなどは、まあまあの充実度だ。

ただ日本に比べ大きく違うのが、小説の量だ。日本の本屋であれば、作家名別の「あ行」から「わ行」まで文庫本だけでも相当数を置いている。
しかし、インドネシアの小説家はかなり限られており、小説に限っては翻訳本がほとんどかな。「ロストシンボル」(ダン・ブラウン著)などはすぐにインドネシア語に翻訳され、山積みされて販売されるし、「1Q89」も日本で発売後、まもなくして翻訳された。

インドネシア語のオリジナル小説が少ないのはしょうがないことだと思う。インドネシアはまだ建国60数年の若い国家だ。
日本のように奈良時代から長きにわたって文(ふみ)に親しんで来た民族とは比べられない。

第二次世界大戦以前は、この群島国家には、島ごとに特有の文化・言語が存在し、また一部の地域ではアルファベットではない特別な文字が使用されてきた。そして建国後、アルファベット表記のインドネシア語を共通語として定め、多くの違った民族がコミュニケーションをはかるための手段とした。世界を相手にするビジネスマンの共通のツールが英語のように。

***

リ島では、学生を中心に、本を読む人が増えているようだ。書籍店に並べられる小説の数が年々充実してきていることがその証拠だ。特に外国文学が読書好きのインドネシア人を惹き付けているようだ。
ただ、親しい知人に言わせると、インドネシア語の翻訳本は、原書の表現の良さが多く失われてしまうとのこと。でもそれはしょうがないだろ。翻訳が原書を超えられるわけないんだから。

今後、翻訳のレベルがますますアップしていくに従って、それらの本が多くのインドネシア人に影響を与えていくことだろう。そしていずれかは、インドネシアから世界へデビューする作家が現れるかもしれない。

(おしまい)
(2011.6.7)

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