割り木をくべる。火ふき竹で火をおこす。こうごうとしたおくどさんで激しく煮上がるあんこ、飛び上がるあんこを横目に手早くかいを回す。一瞬の加減を見抜いて火を抜き、炊き上げる。 正に戦場だ!  
 
                               
                               子供の頃、毎日見ている光景は忘れられません。現在、かまどはガス釜に変わっていますが、ほぼ当時のままでの手炊きにこだわっています。 
 
                               
                               最中の決め手はあんこ。おいしいあんこを炊くには、良質の地下水を使った自家製生餡(あん)に限ると幼少の頃から教えられてきました。手間ひまかかっても自家製餡にこだわるのはその為です。 
 
                               
                               自前のおいしい生餡を使って高温で炊き上げています。気候の状態を肌で感じながら、一瞬のタイミングで火を止めます。寒天などを使わない為、あんこの煮詰めが勝負です。(納得いかなかったら再度火をつけ、数秒で止めることもあります。)加減は母、私、家内の3人で一緒に見ます。正に緊張の瞬間です。50年携わってきた母でも未だに難しいといいます。炊き上がったあんこは昔ながらの紅鉢(べにばち)にあけられます。 
 
                               この時何とも言えない伝統を感じます。 
 
                               
                               一晩じっくりと休ませたあんこを使ってお箸で詰めるのもこだわりです。へらはあんこが練れやすく、昔からお箸を使ってやさしく手詰めしています。パートさんにもお箸の持ち方から習ってもらってます。 
 
                               
                               皮は滋賀の羽二重餅を使用。芳ばしい香りを大事にしたいので、焼き方にもわがままを聞いてもらってます。 
 
                               
                               豆は北海道十勝産。昔からの豆の専門業者が選別したものを、毎年、何度も炊き比べて、その年の最良のものに決めています。 
 
                               
                               香り、芳ばしさを特に大事にしてますので、冷凍は一切しません。毎日手詰めにこだわり、香りを逃がさないように工夫しています。 
 
                               
                               最中にかける思い、わがままをたくさんの方に聞いていただき、この最中は継承されてます。お客様をはじめ、関係者のみなさまには感謝いたします。 
 
                                                                              
 
                                                   万吾樓店主  
                               
                               
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