ラムサール条約　第６回締約国会議
決議Ⅵ.９：生物多様性条約との協力

第６回締約国会議
ブリズベン，オーストラリア
1996年３月19−27日

決議Ⅵ.９：生物多様性条約との協力

1. 決議５.１として採択された『釧路声明』の中の「ラムサール条約が生物多様性条約と緊密に活動し、湿地の生物多様性保全に主導的な役割を果たすのは自然なことである」という言葉、そして２つの条約の事務局の間で積極的な協力をするよう求めている点を想起し、

2. 湿地の多様性が地球規模の生物学的多様性の重要な要素であることを強調し、

3. 環境関連の条約の業務で協調をすることを促進することで、限られた資源を最大限に有効活用し、業務の重複を避ける必要性を最確認し、

4. 1996年１月19日に署名されたラムサール条約事務局と生物多様性条約事務局の協力のための覚え書きを歓迎し、

5. 湿地及び生物多様性両条約の締約国である国々が、条約の履行と両条約の締約国会議の際の姿勢を調整する傾向が強まりつつあることを賞賛とともにここに記録し、

6. 生物多様性条約の第２回締約国会議の「他の生物多様性関連の条約との協力」に関する決議Ⅱ／13が「それらの条約の管理機構および生物学的多様性に関連する国際的な法的機関が各々の次回会議において、当条約の目標・目的の履行のため貢献できる方法を検討する」と呼びかけていることを記録にとどめ、

7. ラムサール条約の1997−2002年戦略計画の行動７.２.３が、締約国、ラムサール事務局及びパートナー機関に対し「特に国家生物多様性戦略の中に湿地関連の項目を含めること、そして湿地に関連するプロジェクトの計画と実施について、生物多様性条約との協力・協調を強めること」を求めていることに言及し、

8. 今回の会議の分科会Ｃでの湿地及び生物多様性両条約の間の協力に関する討議を考慮に入れ、

締約国会議は、

9. ラムサール事務局にその業務計画の中で、生物多様性条約事務局との間で署名された協力のための覚え書きの履行に高い優先順位を与えることを求める。

10. 生物多様性条約の要求事項に応じ国家レベルで策定される計画、プログラムあるいは戦略、そして特別なプロジェクトの中に、湿地の生物多様性についての項目が含まれるよう確保して、生物多様性条約の目標達成に積極的に貢献するよう、各締約国のラムサール条約担当省庁に奨励する。

11. 生物多様性条約の科学上および技術上の助言に関する補助機関（ＳＢＳＴＴＡ）と情報を交換し、活動の協力協調を図り、常設委員会を通じてそれらの結果について締約国会議に報告することを、ラムサールの科学技術検討委員会（ＳＴＲＰ）に求める。

12. 生物多様性条約の目標と目的の履行に対して、ラムサール条約が貢献することを考慮する要請を歓迎する。

13. ２つの条約に対する取り組みの協調を強めることにより、生物多様性条約の地球規模での生物多様性の保全のための幅広い業務の中で湿地分野でラムサールが貢献できるよう、締約国に要請する。

14. 1996年11月４日から15日まで開催予定の生物多様性条約第３回締約国会議の議題に、（常設委員会または事務局による）湿地の生物多様性保全のためラムサール条約を施行してきた際に達成された進展と遭遇した問題点についての報告を含め、これにより２つの条約の対象が互いに補完的であることを記録するよう要請する。