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ラムサール条約 第7回締約国会議

決議.18 河川流域管理

日本語訳:環境庁,2000年[了解を得て再録].

 英語   フランス語   スペイン語  (以上,条約事務局)    PDF  (環境省のインデックスページ)


「人と湿地:命のつながり」
"People and Wetlands: The Vital Link"
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第7回締約国会議
1999年5月1018日 コスタリカ サンホセ

河川流域管理に湿地の保全と賢明な利用を組み込むためのガイドライン

1.土地利用や地下水管理、集水域・河川流域や沿岸域の計画策定、その他のすべての環境管理に関する、国、都道府県、地方の計画策定と政策決定に、湿地の保全と賢明な利用を統合することを締約国に対し要請する「19972002年戦略計画」の実施目標2.2を想起し、

2.さらに、水資源管理と湿地の保全の統合を進めるにあたり、湿地の水文学的モニタリングネットワークの確立や、伝統的水管理システムと経済評価方法の研究を含めた各種の行動を実行し、河川流域の管理に国内ラムサール委員会及び地元の利害関係者を参画させ、学際的研修を支援し、水に関係する諸機関と連携することを締約国に対し求めた「ラムサールと水」についての決議.23を想起し、

3.湿地は、その生態学的及び水文学的機能によって水資源系全体の本質的な一部分を成すものであり、系を構成する要素として、また生物の多様性とそれに関する生産力の豊かな中核部分として管理されるべきであること、それゆえ湿地は地元住民やその他の多くの集団の経済的、生態学的、社会的な安全保障に寄与するものであることを意識し、

4.湿地、特に陸水生態系の保全と賢明な利用を目指す行動における、主要な協力機関としてのラムサール条約の役割が遂行される道筋となる、生物多様性条約との協力の覚書及び付随する共同作業計画を歓迎し(決議.4)、

5.また、「世界的な水危機に対するラムサールの役割の定義」と題した分科会での発表を通じて、本締約国会議に提示されたように、世界各地における淡水資源への需要増大を意識し、

6.淡水管理への戦略的アプローチについての報告の一部としてラムサール条約施行への支持を提案した、「アジェンダ21」の実施状況を見直し評価するための国連特別総会(1997年6月)、及びそれに続く1998年5月の持続可能な開発委員会の会議で認められた淡水資源の重要性に留意し、

7.また世界水協議会、地球水パートナーシップ等の、統合された水資源管理を推進するために計画された水部門関連諸機関に加え、世界ダム委員会の現在のイニシアチブに留意し、

8.分科会を通じ、本締約国会議は「河川流域管理に湿地の保全と賢明な利用を組み込むためのガイドライン」を詳細に検討し議論したことを認識し、

9.本締約国会議が、多くの関連する決定を通じて、締約国のための各種手引き、すなわち国家湿地政策の策定(決議.6)、法制度の見直し(決議.7)、湿地の管理への地域社会及び先住民の参加(決議.8)、湿地と水路に関する広報、教育、普及啓発の促進(決議.9)、カルスト等の地下水文系の指定(決議.13)、奨励措置(決議.15)、影響評価(決議.16)、国の計画の一環としての湿地の復元(決議.17)、ラムサール条約の下での国際協力(決議.19)についての手引きを採択してきており、それらはいずれも、湿地を河川流域管理へ組み込むという、より包括的な課題に密接に関連し、その構成要素となっていることを認識し、

10.付属書のガイドラインとそれに付随するケーススタディーや教訓を作成する上で、作成執筆者、「地球環境ネットワーク」の支援のために、情報や経験を寄せてくれた方々に感謝し、

締約国会議は、

11.本決議の付属書にある、「河川流域管理に湿地の保全と賢明な利用を組み込むためのガイドライン」を推奨し、すべての締約国に対し、そのガイドラインを必要であれば各国の状況に合わせて調整しつつ、優先的に適用するよう要請する。

12.決議.23と「19972002年戦略計画」の実施目標2.2を実施する努力を強化すること、また付属書のガイドラインを実施することによってそれを行うことを、締約国に対し求める。

13.さらに、付属書のガイドラインを実施する際に、上述した関連事項についての、また、本締約国会議で採択される手引きを考慮に入れ、それらを統合的アプローチを通じて適用するよう、締約国に対し要請する。

14.資金・人材が許す限り、関連する国や団体に加え、他のすべての関連環境条約の事務局、専門・技術機関、関連地域機関、河川流域管理当局、ラムサール担当窓口に 、そして特に、水の管理に直接の利害を持つと認められる上述の諸機関に、本ガイドラインをはじめ本締約国会議で採択される関連ガイドラインの利用を可能にするよう、ラムサール条約事務局に対し指示する。

15.さらに財源が得られるならば、世界ダム委員会の活動を積極的にフォローし、かつその活動に参加して、関連するテーマについての情報を締約国に提供し、また世界ダム委員会が得た結果とその将来にわたっての意味合いについて第8回締約国会議に報告するよう、ラムサール条約事務局と科学技術検討委員会に指示する。

16.特に生物多様性条約の署名国でもある締約国に対しては、本ガイドラインの主要な要素である奨励措置(決議.15)及び影響評価(決議.16)の分野でのさらなる手段開発において、これら二つの条約間で採られているパートナーシップ・アプローチに留意しこれを支援するよう奨励する。

17.近隣諸国にまたがる河川流域を有する締約国に対し、ラムサール条約の第5条及び「同条約の下での国際協力のためのガイドライン」(決議.19)に従って、近隣諸国と協力して、適切な場合には本ガイドラインの適用を目指すよう促す。

18.関係諸国の特別な状況やを制約を考慮に入れた、統合的水資源管理での計画立案、プロジェクト評価、意思決定の支援及び手引きとなるよう、すべての多国間及び二国間の援助提供者がガイドラインを考慮するよう推奨する。

19.科学技術検討委員会に対し、資金・人材が許す限り、湿地の生態系の機能を維持するための水の配分と管理の分野における現状の知識を見直し、その結果を第8回締約国会議に報告し、可能であればこの問題について締約国の手引きをするよう指示する。

20.さらに、締約国及び他の関連機関等に対し、それぞれの国でガイドラインを促進・実施する実験的活動あるいはプロジェクトを展開し、またそうした活動によって達成した成功例や学んだ教訓を第8回締約国会議及び他の関連する会議(生物多様性条約等)に報告するよう奨励する。


付属書

河川流域管理に湿地の保全と賢明な利用を組み込むためのガイドライン


「記録」表紙

[英語原文:ラムサール条約事務局,1999.Ramsar Resolution VII.18 "Guidelines for integrating wetland conservation and wise use into river basin management", May 1999, Convention on Wetlands (Ramsar, 1971). http://ramsar.org/res/key_res_vii.18e.htm.]
[和訳:「ラムサール条約第7回締約国会議の記録」(環境庁 2000)より了解を得て再録,琵琶湖ラムサール研究会,2001年6月.]
[レイアウト:条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]


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Last update: 2006/09/27, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).