Swan 琵琶湖水鳥・湿地センターラムサール条約ラムサール条約を活用しよう | ●資料集第9回締約国会議

ラムサール条約 第9回締約国会議
決議.8:戦略計画実施の合理化

日本語訳:
「ラムサール条約第9回締約国会議の記録」(環境省 2008年)より了解を得て再録. 

  PDF  (147,環境省)

条約事務局原文:
 英語   フランス語   スペイン語 

「湿地と水:命を育み,暮らしを支える」
"Wetlands and water: supporting life, sustaining livelihoods"
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第9回締約国会議
ウガンダ共和国カンパラ,2005年11月815日

決議.8
ラムサール条約「20032008年戦略計画」の実施の合理化

1.決議.25において締約国は20032008年におけるラムサール条約履行の基礎となる「20032008年戦略計画」を採択したことを想起し

2.ラムサール条約「20032008年戦略計画」は、締約国会議の採択に先立ち、締約国、条約の国際団体パートナー(IOP)及び政府間組織、NGOを含む、その他の組織との幅広い協議を通じて常設委員会によって作成されたことを意識し

3.「19972002年戦略計画」を締約国及び他の機関が実施したことにより、条約に首尾一貫した形でいっそうの効果がもたらされたことを認識し、しかし湿地の保全と賢明な利用を地球全体で統一のとれたやり方で実現するには、課題が山積しさらに増えていること、及び20032005年間の「条約の作業計画」(決議.26)として合意された20032005年の地球規模の目標のほとんどが、第9回締約国会議(COP9)までに達成されていないことを意識し

4.湿地の保全と賢明な利用という条約の目標を達成するために締約国が条約を促進し履行するにあたっては、総括的であるが簡潔でまた使いやすい文書が役に立つことを意識し、かつ諸資源とスタッフの時間の見地から、常設委員会が条約の履行効果をモニタリングできるような明確な文書が必要であることを認識し

5.各締約国は、「戦略計画」の実施の度合い、実施に当たっての資源配分、及び守るべき時間的な枠組みを随意に選択出来るということも再び認識し

締約国会議は、

6.本決議に添付された「20062008年における『ラムサール条約20032008年戦略計画』実施の枠組み」を、決議.25で採択された条約「20032008年戦略計画」の実施に関して常設委員会がより良い進展をもたらすための作業ツールとして用いること、当該文書がその3年後に再検討、編集、変更を受けるものと確認した上で承諾する

7.条約事務局に対して、この枠組みの本文をCOP9で採択された決議を取り入れて修正するよう指示し、また、条約事務局に対して、この枠組みに将来の科学技術的課題および優先順位に関する決議Ⅸ.2付属書を添付して、「20032008年戦略計画」を今後3年間に実施するための「20062008年作業計画」となし、その作業計画を、常設委員会からの承認を得た後に遅滞なく、締約国及び他の関係団体へ回覧するように同じく指示する

8.「20062008年における『ラムサール条約20032008年戦略計画』実施の枠組み」は、20062008年の3年間において条約履行を促進し、モニタリングし、計測する新しいアプローチの成否を、条約事務局と常設委員会が検証する際の基礎を提供するものであることを確認し、また常設委員会に対して、COP10で検討出来るように「20092014年戦略計画」作成のための全体的かつ包括的な手続きを策定し実施するよう指示する

9.常設委員会に対して、決議Ⅸ.1付属書Dと決議決議Ⅸ.5における報告事項を考慮に入れ、「20062008年における『ラムサール条約20032008年戦略計画』実施の枠組み」を基にしてCOP10用の国別報告書の様式を簡略化するように、また、その作成に当たっては以下の要領で、新しい様式が締約国の報告書作成全般の負担が確実に軽減されるように要請する

)今回や以前の締約国会議で採択された決議で必要とされるあるいは要請される内容の重複をを減らすこと、
)報告要件を少なくとも総量で増加させないため、新たな報告要件に対しては必ず既存の要件を減少させること、
)追加情報の収集を求めることよりもむしろ、他の関連条約や協定の報告要件やそれらを目的として収集された情報の活用方法を考慮すること、
)特に2010年生物多様性目標など、ラムサール条約に基づく報告から他の条約に基づく同等の報告過程への寄与も考慮すること。

10.全ての締約国、常設委員会、科学技術検討委員会(STRP)、条約事務局、及び条約のIOPに対して、条約の履行効果を評価する“成果重視”の生態学的指標(決議.1付属書D)の適用を含め条約を促進し、履行し、その実績をモニタリングするという新しい挑戦を始めるために、「20032008年戦略計画」及びその附属事項を使用することを強く要請する


付属書
20062008年における『ラムサール条約20032008年戦略計画』実施の枠組み

前文

1.2002年11月1825日に、スペインで開催されたラムサール条約の第8回締約国会議(COP8)は、20032008年に条約を適用するための『戦略計画』を採択した。この『戦略計画』は、賢明な利用原則の完全な適用を達成し湿地資源を保護するために、条約が湿地の保全とその持続可能な利用に一層広範なアプローチを採るべきことを認めた。この計画を発展させ、簡素化して、2005年11月にウガンダのカンパラで開催されたCOP9は、第二期の3年間において、『戦略計画』とともに本「枠組み」を用いることに合意した。COP9は、一連の戦略を通して5つの最終目標[訳注]を達成すべきことに合意した。最終目標のそれぞれには、その効力を測定するために主要成果領域(KRA: key result areas)及び主要実績尺度(KPM: key performance measures)を備えている。この「枠組み」は、また、科学技術検討委員会(STRP)が開発中の条約の履行効果を評価する“成果重視”の生態学的指標と互いに関連しあう。

[訳注]
この語 GoalCOP8の翻訳では「総合目標」の語を用いたが、COP9翻訳より最終到達点の意味を伝えられる「最終目標」を採用することにしたい。以前の決議の翻訳を読む場合には「総合目標」を「最終目標」と読み替えていただきたい。

2.本「枠組み」は、『20032008年戦略計画』(決議.25)の解釈を助け、また以下に寄与する。

私たちは何に関わるのか?−条約の使命

3.「全世界における持続可能な開発の達成に寄与するため、地方、地域及び国内行動と国際協力を通じて、すべての湿地を保全し、賢明に利用すること。」条約は、持続可能な発展をあらゆる所で達成することを通じて人々の健康と福利に貢献するため、湿地の保全と湿地の持続可能な利用とを統合することが必要不可欠であることを強調する。

私たちは何を達成したいのか?−私たちの最終目標

湿地および水資源の保全と賢明な利用

最終目標1.湿地の賢明な利用:自国の領域内の湿地の賢明な利用を確保するために、必要な際は生物多様性条約(CBD)が定義するエコシステムアプローチを特に適用しつつ、(決議Ⅸ.1付属文書Aにおいて修正を加えた湿地の賢明な利用に関する手引きを含む)必要かつ適切な手段及び措置を、全ての締約国が策定し、採択し、利用するよう奨励し支援すること。
 条約の第3条1項,第4条3項,第4条4項と,第4条5項を実行する。

最終目標2.国際的に重要な湿地:「持続可能な開発委員会第13回会合(CSD13)」の決定事項実施への寄与と2010年生物多様性目標の実施としての条約湿地のモニタリング及び管理を含め、「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」を、全ての締約国が適切に実施するように奨励および支援すること。
 条約の第2条1項,第2条2項,第2条5項,第2条6項,第3条1項,第3条2項,第4条1項と,第4条2項を実行する。

最終目標3.国際協力:「ラムサール条約の下での国際協力のためのガイドライン」の活発な適用を通じた国際協力を促進し、特に湿地の保全と賢明な利用のために追加の財政援助および技術援助を動員すること。
 条約の第5条を実行する。

条約の管理

最終目標4.実施能力:条約がその使命を達成するために必要な実施機構、資金および能力を確保する。
 条約の第6条,第7条と,第8条を実行する。

最終目標5.加盟:条約の加盟を世界の全ての国に広める。
 条約の第2条4項と第9条を実行する。

私たちが欲することをどうやって行うのか?−(私たちの戦略)
達成したい結果とは何か?−(私たちの目指す主要成果領域−KRA
私たちはどれほど効果的であるのか−(私たちの目指す主要実績尺度−KPM

注記:
この節の主要戦略はそれぞれつながりのある最終目標のひとつと同じ番号がつけられている。このつながりに加えて、戦略と「主要成果領域」のいくつかは、必然的に最後には1つ以上の最終目標を満たすことになる。「主要実績尺度」は、条約事務局が常設委員会と協働して測定する。項目『予算への影響』は、わかっている場合に特定の費用と、必要とされる条約事務局職員の時間目標(stt: staff time targets)を示す(合計値は 19 stt を想定)。各戦略は、『戦略計画』の該当する実施目標を参照する。1つの戦略が1つ以上の「実施目標」を含む場合は、戦略の明確さを確保するために、目標の文言を多少変更した箇所がある。

戦略1.1(実施目標1.1)
条約の履行、特に賢明な利用原則の適用について情報を提供し、また支援するため、湿地資源の規模及び状態を適切な地理上の規模で、記述し、評価し、モニタリングする。(締約国。STRPの助言、条約の国際団体パートナー(IOP)の支援で)

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • 目録を完成させていない締約国が、条約の「湿地目録の枠組み」に従って行動を起こし、湿地の重要性、条約湿地候補地、再生されるべき湿地、十分に代表されていない湿地タイプの位置、また特に貧困根絶戦略との関連で湿地の持つ生態系の恩恵/サービスに関する情報を含めた包括的な国内湿地目録を、可能な限り、完成させ、普及させること。
  • 条約事務局が管理するメタデータベースをウェブ上に構築、すべての国別湿地目録に関する情報を掲載すること。
主要実績尺度(KPM
  • 利害関係者全てが湿地目録を入手できること。
予算への影響STRP業務計画、ウェブデータベース開発、0.5 stt

戦略1.2(実施目標2.1+2.2)
賢明な利用原則が効果をもって確実に適用されるよう、すべての締約国が、影響評価や価値評価を含む、国家レベルあるいは超国家レベルの政策、法律、制度や実践を策定し、見直し、必要に応じて修正して、実施する。また、出来うるならば、湿地の賢明な利用を確実なものにするため各締約国が講じうる適切な政策手段を特定する。(締約国,条約事務局)

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • 少なくとも50の締約国が、水質・水量評価に着手すること。
  • すべての締約国は、国家湿地政策あるいは同等の政策手段を、貧困削減戦略、水資源管理、水の効率化計画、「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(WSSD)の目標に沿った持続可能な開発のための国家戦略など、他の戦略的な計画策定過程に十分に組み込むこと。常設委員会/条約事務局は、国内法や制度の包括的な見直しを開始し、できれば完了できる締約国を、少なくとも100か国、特定すること。
  • 常設委員会/条約事務局は、湿地に影響を与える政策、プログラム及び計画に対する戦略的環境影響評価を持った締約国を、少なくとも50ヶ国特定する。
主要実績尺度(KPM
  • 締約国が策定し、実施する政策、戦略およびプログラムの数。
予算への影響:条約事務局職員の時間、0.5 stt

戦略1.3(実施目標3.13.3)
十分に代表されていない生態系タイプに焦点を合わせつつ、湿地の賢明な利用を達成するための方法論を開発し普及させることにより、水の供給、沿岸保護、洪水防止、気候変動の影響緩和、食料安全保障、貧困削減、文化遺産及び科学研究における湿地の重要性に対する認識を高める。(締約国、条約事務局、IOP

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • 地方と国レベルでの貧困削減目標及び食料と水の保障計画の実現に寄与する、湿地の賢明な利用のプログラムやプロジェクトが策定され実施されること。
  • 「泥炭地地球的行動計画のための調整委員会」の活動を通じて、「泥炭地に関する地球的行動のためのガイドライン」(決議.17)が完全に実施されること。
  • 湿地の賢明な利用と管理において、湿地が有する社会・文化遺産が十分に考慮されること。
主要実績尺度(KPM
  • 全ての締約国に対して達成された条約湿地の生態系の恩恵/サービスの分析。
予算への影響:分析に費やす事務職員の時間、0.2 stt

戦略1.4(実施目標3.4)
統合的水資源管理(IWRM)の実施の観点から、特に領土管理、地下水管理、集水域・河川流域管理、沿岸及び海域計画策定、気候変動対策などに関するすべての締約国の計画策定に、また国、地域、都道府県および地方レベルでの意思決定過程に、湿地の保全と賢明な利用の政策を組み入れる。(締約国、STRPIOP

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • すべての締約国が、水資源管理と水の効率化計画に関するWSSDの目標達成に貢献するため、国内の水資源管理に関する意志決定を支援するための生態系への水の配分と管理に関する手引きを策定し終えること。
  • 河川流域イニシアティブ(RBI)が完全に運用されていること。
  • 湿地、及び気象変動の影響緩和と適応における湿地の役割に関する情報を完成させてあること。
主要実績尺度(KPM
  • 国際的な環境統治(ガバナンス)の一環として設定されたIWRM計画における条約の役割。
予算への影響STRP業務計画−およびRBI管理−RBIが実施可能であれば、地球環境ファシリティ(GEF)基金からの追加支援あり(GEF資金が配分されれば 1.5 stt、さもなくば 0.5 stt)。

戦略1.5(実施目標4.1)
再生と回復をすることが有益であり、環境、社会及び経済面で長期的な利益を生じるような優先順位の高い湿地を特定し、その再生に必要となる措置を講じる。(締約国、条約事務局、IOP

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • 失われた湿地、または劣化した湿地を有するすべての締約国が、再生を優先すべき湿地の特定を完了すること。また少なくとも 100の締約国において、再生プロジェクトを進行させ、あるいは完了させること。
  • 湿地再生に関する新しい事例研究と手法に関する情報が、条約のウェブサイトの湿地再生に関するページに追加されること。
予算への影響:ウェブサイト管理のための職員の時間、0.1 stt

戦略1.6(実施目標5.1)
湿地系への外来種の侵入を防止、抑制または根絶するための手引きを作成し、標準的な手順と行動を促進する。(締約国、STRP,その他の機関、IOP

主要成果領域(KRA
  • COP10までに、締約国は、様々な機関や過程により開発された手段や手引きを適宜活用し、侵入種が湿地生態系にもたらす問題を特定し終え、明確かつ体系的な方法で文書化すること。
主要実績尺度(KPM
  • 一般的に使用できる侵入種の管理に関する総括的かつ最新の手引き。
予算への影響:諸機関への働きかけの為の職員の時間、0.2 stt

戦略2.1(実施目標10.1)
「国際的に重要な湿地のリストを将来的に拡充するための戦略的枠組み及びガイドライン」(ラムサール賢明な利用ハンドブック第7巻)を適用する。(締約国、STRP

主要成果領域(KRA
  • COP10までに、「条約湿地指定の戦略的な枠組み」を実施するすべての締約国は、要請されているとおり、自国の状況に適合させること。
主要実績尺度(KPM
  • 新たな条約湿地の指定とともに提出された適切な管理計画策定工程の数。
予算への影響:条約湿地リストへの新たな情報の追加及び同リスト管理のために必要な職員の時間、4 stt

戦略2.2(実施目標10.2)
「条約湿地情報サービス」の保守を行い、絶えず最新の情報によって更新する。また、「条約湿地データベース」を、国際的に重要な湿地リストにさらに湿地を指定する際の指針ツールとして活用する。(締約国、STRP,条約事務局、IOP。適切ならばその他の機関・組織)

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • 条約事務局が、必要な更新のすべて、及び新たな湿地の指定のすべてを、最新の湿地情報票(RIS)の様式によって受け付けること。
  • 「条約湿地データベース」の機能性及び利害関係者にとっての利便性を向上させること。このため、特別な報告やその他の成果の出版だけでなく、同データベース、条約湿地目録のウェブ上のプレゼンテーシヨン、条約のウェブサイトやその他の双方向システムの相互のリンクも行う。
主要実績尺度(KPM
  • 「条約湿地データベース」の情報を、重要な情報源としてすべてのラムサール利害関係者が使うこと。
予算への影響:ウェブサイト管理と外部のデータベース管理(年間20万スイスフラン)のための資金付けのための職員の時間、1.0 stt

戦略2.3(実施目標11.1)
すべての条約湿地の生態学的特徴を維持する。(締約国、条約事務局、IOP

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • 規模のより大きな条約湿地,湿地保護区、その他の湿地のゾーニングの手法(勧告5.3及び決議Ⅷ.14)、並びに規模が小さかったり特に影響を受けやすい特定の条約湿地及びその他の湿地のための厳密な保護の手法が確定されること。
  • 条約湿地管理のための部門横断的な委員会が設置されること。この委員会は、関係政府機関、地元社会の代表者、そして民間企業を含むその他利害関係者で構成するものとする。
主要実績尺度(KPM
  • 条約の第3条と第8条2項のもとでの義務を果たすため、ラムサールハンドブック第8巻で提示された一連の統合的なラムサール条約湿地管理用の手段を、COP9にて採択となった補則手引きとともに活用している締約国の数。
予算への影響:条約事務局が締約国を支援するための中核予算、0.4 stt

戦略2.4(実施目標11.2) 条約湿地の状況をモニタリングし、条約第3条2項に規定されているとおり、条約湿地に影響を与える変化について遅滞なく条約事務局に通知し、また問題対処の手段として、モントルーレコード並びにラムサール諮問調査団(RAM: Ramsar Advisory Mission)を適用する。(締約国、条約事務局、IOP

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • すべての締約国が、条約第3条2項に従い、その条約湿地の生態学的特徴が、人間活動が原因で、変化した、または変化しつつある、あるいは変化するおそれがある場合は、遅滞なく条約事務局へ通知すること。
  • モントルーレコードに記載されていて、RAMを受け入れていないすべての条約湿地について、締約国が、同調査団の派遣をCOP10までに要請すること。
  • STRPによる“成果重視”の生態学的指標のうちの妥当なものの実施。
主要実績尺度(KPM
  • 条約湿地指定および管理計画策定と並ぶ条約の統轄手続きの一部としてモントルーレコードが使用されること。
予算への影響RAMの為の職員の時間と資金、0.2 stt

戦略2.5(実施目標12.1+12.2)
国境をまたぐ湿地に依存する生物種のモニタリングと管理のための協力を含め、国境をまたぐ湿地と集水域の目録及び統合的管理を促進する。(締約国、条約事務局、IOP

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • すべての締約国が、国境をまたがる湿地を特定し、適切な場合、共同管理の仕組みを締約国が特定すること。
  • 国境をまたがる集水域や沿岸系を有する締約国は、適切な場合、共同管理委員会・機関の構成員となること。
主要実績尺度(KPM
  • 特に「アフリカ・ユーラシア渡り性水鳥保全協定」(AEWA)、「アジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略」、「西半球シギ・チドリ類保護区ネットワーク」及び「中央アジアフライウェイ・イニシアティブ」などによって例示できるような、湿地に依存している移動性の種のための条約地域規模の湿地のネットワークやイニシアティブを準備すること。
予算への影響:進展をモニタリングしたり訪問の為の職員の時間、0.2 stt

戦略2.6(実施目標12.3)
条約のもとにある現行の地域協定を支持し、さらなる協定を促進する。(締約国、条約事務局、IOP

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • 「地中海湿地委員会」(MedWet/Com)とその関連行動計画、「地中海湿地イニシアティブ」(MedWet)とその「調整ユニット」が引き続き進展を続けること。
  • 「ラムサール条約の枠組みにおける地域的取組を発展させるための手引き」(決議.30)を適用して、条約に基づく地域的取り決めを策定すること、その結果として新しい地域イニシアティブならびに地域センターが設立されること。
主要実績尺度(KPM
  • 地球規模の視野から見た、条約の地域規模の作業の効果。
予算への影響:追加的なイニシアティブの立ち上げを支援するために中核予算に新たに必要となる資金、0.6 stt

戦略3.1(実施目標13.1)
他の組織との協調:国際的、地域的な多国間環境協定(MEA)やその他の機関とパートナーとして協働する。(締約国、条約事務局)

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • CBD−ラムサール共同作業計画」及び「ボン条約/AEWA共同作業計画」が実施され、「CBD生物多様性連絡調整グループ」の正式メンバーとなること。ユネスコ「人と生物圏プログラム」(MAB)共同作業計画が実施されること。それら「共同連絡グループ」および「生物多様性連絡調整グループ」への参画などを通じて、砂漠化対処条約UNCCD)と国連気候変動枠組条約UNFCCC)との協力活動が強化されること。
  • WSSDの目標に沿って、「アフリカ開発のための新パートナーシップ」(NEPAD)の行動計画にラムサール条約に関連する課題と仕組みを十分に組みこみ、関係締約国が、それを実施すること。
  • 国連水関連機関調整委員会(UN-Water)をはじめとして、国連環境計画(UNEP)、国連開発計画(UNDP)、および他の国連の関係機関との連携関係を構築すること。
主要実績尺度(KPM
  • 国家、地域及び国際間レベルにおける、生物多様性関連条約との連帯関係の効果。
予算への影響:主に職員の旅費など連絡調整業務を支援するために中核予算に必要となる資金、0.5 stt

戦略3.2(実施目標14.1)
専門知識と情報の共有:専門知識と情報の共有を促進する。(締約国、条約事務局)

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • 締約国が国別報告書のための情報管理に費やす時間が短縮され、にもかかわらず、質がより高く、また時間的にも適切な報告が作成されること。
主要実績尺度(KPM
  • 調和のとれた情報管理と報告システムが存在し、それが適切なMEAと共有されていること。
予算への影響:条約事務局での職員の時間、0.5 stt

戦略4.1(実施目標6.1)
地域住民、先住民、及び文化的価値:地域住民や先住民、特に女性や青少年が、文化的価値のダイナミックスに関する理解も含め、充分な情報の提供を受けた上で、湿地の保全と賢明な利用に積極的に参加することを奨励する。(締約国、条約事務局、IOP

主要成果領域(KRA
  • COP10までに、「地域住民及び先住民の湿地管理への参加を確立し強化するためのガイドライン」(ラムサールハンドブック第5巻)の適用に関するさらなる手引きが作成されること。
  • COP10までに、条約の作業に湿地生態系の文化的な恩恵/サービスを含めるための取り組みが策定されること。
主要実績尺度(KPM
  • 全ての締約国において湿地の参加型管理が一層高まること、および湿地における文化的な生態系の恩恵/サービスの重要性の認識が啓発されること。
予算への影響:条約事務局職員の時間、0.25 stt

戦略4.2(実施目標7.1)
民間部門が湿地の保全と賢明な利用に参画するよう働きかける。(締約国、条約事務局)

主要成果領域(KRA
  • COP10までに、民間部門が、湿地に影響を与える諸活動や投資を行うにあたって、賢明な利用原則(ラムサールハンドブック第16巻)を適用すること。
主要実績尺度(KPM
  • 特に条約湿地において、湿地の賢明な利用に民間部門の関与がいっそう多くなること。
予算への影響:条約事務局職員の時間、0.25 stt

戦略4.3(実施目標8.1)
賢明な利用原則を適用するための奨励措置を促進する。(締約国、条約事務局、IOP

主要成果領域(KRA
  • COP10までに、50の締約国が、湿地の賢明な利用を促進するために、政策、法律や制度的枠組みの見直しを実施していること。
主要実績尺度(KPM
  • より優れた積極奨励型、または規制型の奨励措置の考案、実施、モニタリングおよび評価。
予算への影響:条約事務局職員の時間、0.1 stt

戦略4.4(実施目標9.1)
一般市民の参加と広報、教育、普及啓発(CEPA)を通じ、湿地の保全と賢明な利用を促進するための広報・教育・普及啓発プログラム(決議.31)を支持し、このプログラムのあらゆるレベルでの実施を支援する。(締約国、条約事務局、IOP

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • 少なくとも50の締約国が、国内でのCEPA活動計画を策定すること。
  • 少なくとも75の締約国が、1ヶ所以上の湿地教育センターを条約湿地に設置すること。
  • ウェブサイトの再設計、包括的なメディア戦略、「世界湿地の日」を促進する斬新な取組を含めた、条約事務局の普及啓発戦略の再設計を完了すること。
主要実績尺度(KPM
  • 条約の活動の全ての局面においてCEPAが使われる範囲。
予算への影響:条約事務局職員の時間、世界的な対外的な製品のデザイン及び供与の為の資金供与、0.16 stt

戦略4.5(実施目標15.1+15.2)
国内外の投資によるものを含み、湿地に影響を与えるすべての開発計画において、環境保護措置と影響評価が不可分の要素として確実に盛り込まれるようにする一方で、湿地の保全と賢明な利用を支援するための国際協力を促進する。(締約国、条約事務局、IOP

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • 二国間援助機関を有する締約国が、貧困削減や他のWSSD及びMDGの目標と優先事項に関連した湿地の保全と賢明な利用のプロジェクトに対して優先的に、その援助機関が資金提供を行うよう奨励すること。
主要実績尺度(KPM
  • 銀行、金融機関、民間の投資家や開発業者などの国際開発機関が提案する援助金、借款及び開発プロジェクトが、環境保護措置と環境影響評価を含んでいること。
予算への影響:条約事務局職員の時間、0.1 stt

戦略4.6(実施目標16.1)
締約国会議からの要請に応えるため、条約の管理、各種の機構、またプログラムに必要な資金を提供する。(締約国、条約事務局)

主要成果領域(KRA
  • COP10までに、条約の管理が改善され、決定事項が一層の効果をもって普及すること。
主要実績尺度(KPM
  • 条約が効率よく効果をもってその責任を果たすことが可能となるような適切な財源と財政支援政策の有無。
予算への影響:条約事務局職員の時間、1.4 stt

戦略4.7(実施目標17.1)
締約国、常設委員会、STRP、および条約事務局が、この戦略計画実施を支援して、極めて効率的、効果的に機能するよう図る。(締約国、条約事務局)

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • 重要な問題の発生に対処できるよう、包括的かつ柔軟な条約事務局の人事方針を整えること。
  • 国別報告書が締約国会議毎に『戦略計画』の実施に関する評価・報告を行うために利用されると共に、6年間の『戦略計画』の中で、次期3年間に向けた枠組みが更新・用意されること。
主要実績尺度(KPM
  • 条約の諸機関が、その職員時間の目標を充分に活用し、合意された運用規則と業務計画を実行する為に充分な資金および運営管理上の支援を持っていること。
予算への影響:条約事務局職員の時間、4.2 stt

戦略4.8(実施目標18.1)
湿地の保全と賢明な利用を実現するために、締約国の機関内部の能力の向上を図り、締約国内の機関相互の協力を促進する。(締約国)

主要成果領域(KRA
  • COP10までに、現行の湿地の保全と賢明な利用に責任を有する政府機関の見直しが行われ、体制の更新が確立されること。
予算への影響:条約事務局職員の時間、0.2 stt

戦略4.9(実施目標19.1)
条約のIOPやその他の機関との協働による恩恵を最大限活用する。(条約事務局、IOP

主要成果領域(KRA
  • COP10までに、各IOPと条約事務局は、適切かつ必要がある場合に複数のIOPによる共同作業など、条約を支援するための共同作業計画を策定すること。
主要実績尺度(KPM
  • IOPの現在進行中のプログラムに組み込まれた、条約の科学的、技術的及び政策的な作業に対する支援。
予算への影響:条約事務局職員の時間、0.5 stt

戦略4.10(実施目標20.1)
特に開発途上国や経済移行国などにおいて、湿地の保全と賢明な利用に関わる機関や個人にとって必要な研修の内容を特定し、適切な対応を行う。(締約国、条約事務局、研修センター、IOP

主要成果領域(KRA
COP10までに
  • 既存または計画中の研修センター同士をつないで、「オランダ内陸水管理及び廃水処理研究所(RIZA)」と条約の共同研修事業を完全に実施すること。
  • 少なくとも半数の締約国が、国や地方レベルで必要な研修内容を検討し終えていること。
  • すべての締約国が適切な能力育成事業をもつこと。
主要実績尺度(KPM
  • 能力育成が条約の活動の一部として認められ、理解されていること。
予算への影響:条約事務局職員の時間、0.5 stt

戦略5(実施目標21.1)
条約への加入:条約の締約国を全世界に確保する。(締約国、条約事務局)

主要成果領域(KRA
  • COP10までに、を少なくとも160という締約国数を達成する。
主要実績尺度(KPM
  • 過去3年間を上回る条約加盟国の増加率。
予算への影響:条約事務局職員の時間、0.1 stt

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[英語原文:
ラムサール条約事務局,2005.Resolution IX.8 "Streamlining the implementation of the Strategic Plan of the Convention 2003-2008", November 2005, Convention on Wetlands (Ramsar, 1971). http://ramsar.org/res/key_res_ix_08_e.htm.]
[和訳:
表紙「ラムサール条約第9回締約国会議の記録」 「ラムサール条約第9回締約国会議の記録」(環境省 2008)[この決議のPDFファイル: http://www.env.go.jp/nature/ramsar/09/9.08.pdf]より了解を得て再録,琵琶湖ラムサール研究会,2008年.]
[レイアウト:
条約事務局ウェブサイト所載の当該英語ページに従う.]
[フォロー:
決議Ⅹ.[x]SC37文書「2009−2014年戦略計画案」(DOC. SC37-10)), 【解説10】, COP10への国別報告書[環境省], ラムサール条約20062008年作業計画(英語原文), 決議Ⅷ.25決議Ⅷ.26 .]

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URL: http://www.biwa.ne.jp/%7enio/ramsar/cop9/res_ix_08_j.htm
Last update: 2008/06/01, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).