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「湿地と水:命を育み,暮らしを支える」
"Wetlands and water: supporting life, sustaining livelihoods"
湿地条約(ラムサール,イラン,1971)
第9回締約国会議
ウガンダ共和国カンパラ,2005年11月8−15日
1.世界の全ての地域にある湿地及び水資源は、人々及び社会にとって重要なサービスを提供するとともに、地域住民及び先住民が強い文化的な結びつきと持続可能な利用の慣習を育んできた中心的場所であることを意識し、
2.湿地は地域住民及び先住民にとって特別に重要なものであり、彼らは自らの文化的な遺産に関する事項について確固とした見解を有しているに違いないことをまた意識し、
3.多くのラムサール条約湿地がその生態学的な機能に結びついて重要な文化的価値を有していることを重ねて意識し、
4.ラムサール条約は、当初から、文化的活動が湿地の生態学的プロセスによって決定され、また生態学的プロセスが文化的活動の影響を受けるという相互作用があることを認識するとともに、条約前文において湿地の文化的価値の重要性を認識していることを想起し、
5.ラムサール条約の基本的理念である湿地の賢明な利用のためには、湿地の文化的価値が人間と湿地とのつながりの強化・再確立に役立つことがあることから、湿地の文化的価値を真 摯に考慮することが必要であり、また条約において文化的価値に対する認識を深めることが必要であることを認め、
6.第8回締約国会議で採択された決議Ⅷ.19「湿地を効果的に管理するために、湿地の文化的価値を考慮するための指導原則」、及びその実施の必要性に留意し、
7.⒜ 第7回締約国会議において採択された決議Ⅶ.8「湿地の管理への地域社会及び先住民の参加を確立し強化するためのガイドライン」及び ⒝ 決議Ⅷ.10の「条約湿地の指定に関する1つ以上の現行の基準とともに適用される ﹍ 生物多様性に関連する社会経済的及び文化的価値そして機能に関して条約湿地を指定するための追加的な基準及びガイドライン」に関する段落30を同じく考慮し、
8.ラムサール条約湿地の指定手続きに湿地の文化的重要性を含めることに関して、2003−2005年の3年間に科学技術検討委員会(STRP)により実施された作業を意識し、
9.ラムサール条約がその所掌範囲に湿地と関連する文化遺産を扱う多国間協定や地域協定及びその他の国際団体と協力して作業しなければならないことを考慮し、かつ文化遺産の保護において世界遺産条約が果たす役割に留意し、
10.「湿地管理における文化と知識」に関する第9回締約国会議技術セッション2でなされた発表と議論に留意し、
締約国会議は、
11.締約国に対して、重要な文化的価値を有する湿地のさらなる事例研究を特定し分析し、それらを広く周知し、これにより文化的な過程と湿地の保全と賢明な利用との間に存在する関係性についての知識及び理解を深めるよう奨励する。
12.国際的に重要な湿地を特定するための現行の基準を適用する際に、適切な生態学的な価値に加え、物質的なものか否かに関わらず、湿地の起源やその保全など生態学的な機能に結びつく重要な文化的価値の例を有する場合は、その湿地は国際的に重要であると考えて良いということに合意する。
13.締約国に対して、総合的・統合的なアプローチの開発に寄与するために、湿地管理計画だけでなく湿地政策及び湿地戦略にも文化的価値に関する事項を組み入れることを、またその成果を広めることを重ねて奨励する。
14.ラムサール条約に基づき、本決議に関して実施される施策は、他の国際協定に基づく締約国の権利及び義務と矛盾しないことを強調する。
15.ラムサール条約湿地の指定に適用できる以下を文化的な特徴として特定する:
ⅰ)湿地の生態学的特徴を維持するような伝統的な湿地の管理及び利用の知識と方法の適用が実証されており、湿地の賢明な利用のモデルとなる湿地、
ⅱ)過去の文明が湿地の生態学的特徴に影響を及ぼしてきた、類をみない文化的伝統あるいは記録を有する湿地、
ⅲ)湿地の生態学的特徴が、地域住民及び先住民との相互作用に依存している湿地、
ⅳ)聖なる場所といった非物質的な価値が存在し、その存在が湿地の生態学的特徴の維持に強く結びついている湿地。
16.ラムサール条約事務局に対して、文化的価値の手引きの提供に関する決議Ⅷ.19の段落17に規定された作業を、広く参加型の工程を通じて、完遂するよう指示する。
17.ラムサール条約事務局に対して、上述の活動を調整するために、STRPからの支援を得つつ、常設委員会の監督のもと、地域代表の均衡をとって、湿地の文化的価値に関する学際的な作業部会を設立するよう要請する。
18.ラムサール条約事務局に対して、2006−2008年の3年間の条約の作業に文化的な価値を組み入れるために実施した活動、および習得した経験を分析し、その結果を常設委員会および第10回締約国会議(COP10)に報告するよう重ねて要請する。
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URL: http://www.biwa.ne.jp/%7enio/ramsar/cop9/res_ix_21_j.htm
Last update: 2008/10/30, Biwa-ko Ramsar Kenkyu-kai (BRK).