schrammeln


ウィーンといえばワルツ、ワルツといえばヨハン・シュトラウス。でも、同じ19世紀のウィーン
の面影をいまに伝える音楽に、シュランメルンというウィーン独特の郷土音楽があります。
19世紀の中頃に、ウィーンのヨハンとヨーゼフのシュランメル兄弟の作曲と演奏で人気を
博したために、シュランメルンと呼ばれるようになりました。

クラシックのように格式ばらない音楽で、どちらかと言えばホイリゲ(居酒屋)でいっぱい
ひっかけながら陽気にたのしめるダンス音楽で、ウィーンでは正統なクラシック音楽の範疇
を意味する E-musik ではなくて、娯楽音楽を意味する U-musik の範疇に分類されます。

親しみやすいポルカやワルツのメロディにのせて、ウィーンへの愛情いっぱいのウィーナー・
リートがうたわれる曲も多く、シーチンスキーの「ウィーン、わが夢の都」などはウィーンの市歌
のひとつともいえ、ウィーンっ子に親しまれています。

ホイリゲでは、最低でギターとアコーディオンの二人で演奏される場合が多いかと思いますが、
これにヴァイオリンやクラリネットなどを加えてクァルテット、クィンテットで演奏される場合もあり
ます。特に、ウィーンフィルの楽団員のアルフォンス・エッガー氏とマルティン・クービック氏の
ふたりが中心メンバーのウィーン・フィルハーモニア・シュランメルンは演奏技術も高いうえに
ウィーン独特のうた心もたっぷりで、たいへん聴き応えのあるアンサンブルですが、現地での
人気の高さとはうらはらに、日本での公演は商業的に難しいものがあるらしく、年々その公演
数が減りつつあるのは、残念なことです。96年に大阪のザ・シンフォニーホールでの公演が
ありましたが、やっぱりちょっとハコが大きすぎたみたいで、次の来日公演では大阪公演が
なくなってたのは、残念です。せめて、いずみホールとか、200-300人規模の小ホールでも
やってくれていたら、関西圏のシュランメルン・ファンが楽しむことができたのですが。

春先や初秋のお天気のよい一日、たまの休日にお庭の木陰でワインにサンドイッチでも
つまみながらシュランメルンなんぞを聴いていると、もう、こんな幸せなことはないのです!
(「木陰」のある「お庭」があれば、のはなしですが.....)



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